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魔法で遊んでいた世間知らずな田舎者、都会に出たら怪物扱いされました  作者: 鳥助


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22.最後の試験(1)

 翌日、私は再び王立グランセリア魔法学園を訪れた。どうやら、試験はこの場所で行われるらしい。


 だけど、その場所に辿り着いて、驚いた。


「あれ? 皆さん、どうしてここに?」


 そこには、あの四人が待ち構えていた。少しぶっきらぼうにレイチェル様が口を開く。


「私がきっかけを作った身だから、見届けないでどうするの」


「……とても心強いです」


 もう会えないかと思っていたけれど、こうして気にかけてくれたおかげで少しだけ緊張が緩む。


「私もユフィの試験を見届けたいからね。応援しているから」


「僕は君の魔法に興味があった。どんな魔法で試験を突破するのか気になってね」


「私はもちろん友達としてユフィちゃんを応援しにきたんだよ!」


 理由はそれぞれだけれど、三人も私のことを気にして来てくれたようだ。一人では心細かったから、その気遣いがありがたい。


「皆さん、ありがとうございます」


 そうお礼をいうと、四人は違った反応を見せてくれた。それを見て、また心が和んだ。


 五人で待っていると、建物の方からアーヴェル様が近づいてきた。


「ほう、これは大勢だな。みんな、ユフィのことが気になるのか」


「違うわ。言い出したんだから、見届けないと不誠実でしょ」


「ふっ、そうか。証人が他にもいてくれて助かる。では、現場に移動しよう」


 ぶっきらぼうに話すレイチェル様にアーヴェル様が笑う。それから、歩き出した。


「あの……今日の試験って何をするんですか?」


「解体工事だ」


「解体工事?」


「古くなった倉庫がある。解体するには難しい位置にあり、放置されていたんだ」


 それが本当に試験になるのだろうか? 疑問に思いながら歩いて行くと、古い塔が見えてきた。その塔は建物と繋がっているにも関わらず、一つだけ古臭い印象があった。


「あの塔は王立グランセリア魔法学園が建てられる前から現存していたものだ。利用価値があり、建物を作る時に一緒に繋げていた。だが、時間が経つにつれて劣化が激しくなってきた」


「じゃ、じゃあ……建物を傷つけさせずに、あの塔だけを解体するってことですか?」


「そういうことだ。ユフィが思う、最善の形で解体して欲しい」


 ……正直言って難しい試験だ。壊すことはそんなに難しくはない。魔力をぶつけるだけで壊してしまうだろう。だけど、それが出来ない環境にある。


 繋がっている建物は現在も使われている。その建物を傷つけさせないために、壊し方に工夫をしなければならない。


 魔力をぶつけて壊したら、その破片が建物を傷つけるかもしれない。だから、普通の考えではこの塔は壊せない。


「意地の悪い試験ね。ただの力比べじゃない、魔法の性能を試す一面もありながら、魔法使いとしての判断力まで見ようとしている」


 レイチェル様は塔を見上げながら、静かにそう言った。確かに、その通りだと思う。


 単純に強い魔法を使えるだけなら、塔を壊すこと自体は難しくない。けれど、今回求められているのは、塔だけを壊し、その周囲にある建物には一切被害を出さないこと。


 つまり、魔力の強さだけではなく、魔法をどこまで正確に操れるのか、そして周囲の状況をどれだけ把握しているのかまで試されている。


「それに、塔の状態も問題ね。あれだけ古いなら、どこから崩れるか分からないわ。下手に一部分だけ壊せば、全体が予想外の方向へ倒れる可能性もある」


 ロゼリア様が塔の周囲を見回しながら言った。


「建物と繋がっている以上、衝撃そのものを抑えなければならない。魔法で破壊するなら、破壊した瓦礫の処理まで考える必要があるだろう」


 アルベルト様も真剣な表情で塔を観察している。


「つまり、壊せばいいってわけじゃないんだね! どこを壊して、どうやって安全に崩すのかまで考えないといけないんだ!」


 最後に、ミレイ様も驚いたように声を上げた。三人の言葉を聞いて、私は改めて塔を見上げた。


 思っていた以上に難しい。ただ強い魔法を使えばいいのではない。どんな魔法を使うのかを考え、その魔法によって何が起こるのかまで予測しなければならない。


 しかも、失敗すれば学園の建物を壊してしまう。それをしてしまえば、不合格になってしまうだろう。


 何か良い魔法はあるだろうか? 物を落とさないで、自分の手で動かせるような魔法……。


「ユフィ、何か良い魔法は思い浮かんだ?」


 その時、ロゼリア様が話しかけてくれた。だけど、ロゼリア様の顔を見た瞬間――私はハッと閃いた。


 そうだ、あの魔法――物を浮かせる魔法を使えばいいんだ。

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