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魔法で遊んでいた世間知らずな田舎者、都会に出たら怪物扱いされました  作者: 鳥助


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21.みんなの後押し

 静まり返った部屋。レイチェル様の言葉が重く響いていた。まさか、そこまで言うなんて思ってもみなかった。


 学ぶ環境を整えないのは学園側の責任。そこまで強く主張したレイチェル様の度胸に、胸を打たれた。


 すると、今度はロゼリア様が口を開いた。


「私も、レイチェルの意見に賛成です」


 真っすぐにアーヴェル様を見て、はっきりと伝える。


「ユフィは、この試験で誰よりも優れた結果を出しました。それだけの才能を持った人が、お金がないという理由だけで学ぶ機会を失ってしまうのは、あまりにも悲しいことだと思います」


 ロゼリア様は私の方を見る。その優しい瞳に見つめられて、胸が熱くなった。


「私は貴族です。だから、お金があることが当たり前のような環境で生きてきました。でも、だからこそ分かります。お金がないというだけで、才能のある人が夢を諦めなければならないのは、おかしいです」


 そして、アーヴェル様へ向き直る。そして、頭を下げた。


「お願いします。どうかユフィに、学ぶ機会を与えてください。この学園で、私たちと一緒に魔法を学ばせてあげてください」


 最後の言葉には、心からの願いが込められていた。私のために頭を下げてくれたその姿に熱いものがこみ上げてきた。


「僕も、レイチェルの意見は正しいと思う」


 今度はアルベルト様だった。腕を組みながら、静かにアーヴェル様を見つめている。


「魔法の才能というものは、ただ優れているだけでは意味がない。正しい方向へ導き、さらに伸ばしてこそ価値がある。この子は、自分がどれほどの力を持っているのかすら理解していない。そんな才能を、このまま放っておく方が問題だと思う」


 私の胸がドキッとした。自分がどれほどの力を持っているのかすら理解していない。私は理解しているつもりだったけれど、周りにはそう見えていたって事だよね?


「学園には、知識を教えるだけではなく、生徒の才能を正しく導く役割もあるはずだ。この子が一人では気づけないことを教え、その力を正しく使えるようにする。それも、学園が果たすべき役割の一つじゃないのか?」


 アルベルト様の言葉に、アーヴェル様は何も答えなかった。すると――。


「私も! 私もユフィちゃんが学園に来てほしい!」


 ミレイ様が元気よく手を上げて、訴える。


「だって嫌なんだもん! せっかく仲良くなった友達と、ここでお別れするなんて嫌! 昨日まで知らない人だったけど、もう友達なんだから!」


「……友達」


 その言葉が、胸に響いた。私のことを友達だって思ってくれているの? まだ、会って間もないのに……そう思ってくれる?


「そうだよ。ユフィは私の友達! だから、一緒に学園に行きたいの!」


 ミレイ様は真っ直ぐにアーヴェル様を見つめる。


「お金がないなら、どうにかすればいいじゃない! ユフィが頑張って試験に合格したんだから、今度は学園が頑張る番だよ!」


 あまりにも真っ直ぐな言葉だった。理屈なんてない。だけど、その言葉が強く胸に響いた。


 会って間もない四人がここまで私のために言葉を尽くしてくれる。とても不思議で、とても温かい。感じたことのない胸の高鳴りを感じた。


「――なるほど」


 アーヴェル様が確かめるように目を瞑った。


「会って間もない子たちにここまで言わせるとは……。ユフィ、君はなんという星の下で生まれたんだ」


「えっ?」


「人の心をこれほどに動かす。それは常人では無理なこと……。君は本当に何者なんだ?」


 その問いに、私は答えられなかった。田舎者という言葉を使えなかった。私は本当に何者なのか? それは、私自身の分からない。


「そんな人物を正しく導くのも、学園の役目だな」


「では、ユフィを学園に通えるようにしてくださいますか?」


 レイチェル様が尋ねると、アーヴェル様はゆっくりと目を開いた。


「だが、条件がある」


 その言葉に、みんなの表情が引き締まった。


「条件、ですか?」


「ああ。私はユフィを特別扱いするつもりはない。学費を免除し、寮を用意するのであれば、それに見合うだけの理由が必要になる。君たちが言うように、この子にそれほどの価値があるというのなら、それを私に証明してもらおう」


 アーヴェル様の視線が私に向けられる。


「君は自分自身を過小評価しているが、周囲から見れば君は全く違う。ならば、君自身の言葉と力で、それを示してみなさい」


 私は今まで自分を普通だと思っていた。一人で暮らせるような力しかないと思っていた。だけど、それ以上の何かが本当にあるのだったら……それを示せれば、私は学園に通える?


「これから新しい試験を行う。この試験で、君が援助する価値のある人間だと証明できたなら、諸費用については私が責任を持って手配しよう。必要ならば、生活に必要な支援も検討する」


「ほ、本当ですか……?」


「ああ、約束しよう」


 その言葉を聞いて、私は黙り込んだ。価値の示し方なんて分からない。今までそんなことを考えてこなかったから、余計に。


 だけど、みんなが考えてこの機会を作ってくれた。私はみんなの気持ちを蔑ろにはしたくない。


 そんなみんなと一緒にいたい。


「……分かりました。試験を受けます」


 援助を受けるための最後の試験。それは、今までの試験よりも難しいものになる気がした。

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