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宝石竜と赤い瞳の王子  作者: 森谷玻乃
アスター魔法学校 3年後期
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 トキワはレムリア先生から布を受け取って、洗濯と乾燥を魔法で一度にした後、布を先生に返した。

「…生乾きだな。それに、ところどころほつれている。確かに、まだ練習が必要だな。だが、汚れは落ちている。洗濯の方は問題無くできているが、風魔法による乾燥がまだ練習が足りていないのだろう。トキワは、以前から周りの植物に水をあげるなど、水魔法は使ってきたが、風魔法はあまり使っていなかった。だから、風魔法の練度がまだ足りないのだろう。しばらく、風魔法を練習してから、また試してみると、上手くいくのではないかと思う」

 と、レムリア先生は言って、受け取った布を自分の風魔法で乾かして、マジックバッグに仕舞った。

 トキワはレムリア先生の話を聞いて頷いた後、先生に向かってお辞儀した。

「トキワがありがとうって言ってるぞ」

 と、ルリタマが言った。

「どういたしまして。ぜひ頑張って洗濯と乾燥ができるようになってもらいたい。そして、私のローブの洗濯をしてくれ。長期休暇に入る前に黄玉に私の寮の自室を片付けてもらったら、なくしたと思っていたローブが全部出てきてな。そのときに黄玉に一度、全て綺麗に洗濯してもらったが、そうしたら、これだけ着替えがあるなら洗濯の回数は減らせるな、と思って放っておいて、いつの間にか洗濯しなければならない物だらけになっていて、今も困っているんだ」

 と、レムリア先生が言った。


「…せっかく綺麗にしたのに、また、洗濯物だらけになってるの?」

 と、私はレムリア先生に尋ねた。

「ああ。だが、もう少し放っておいてもまだ着替えはある」

「着替えがあるうちに他のを洗濯しないと本当に着替えが無くなるでしょ!今から洗濯しよう!」

「…それもそうだな。わかった。トキワ、魔法を見せてくれてありがとう。ルリタマも、通訳と説明してくれてありがとう」

 とレムリア先生が言うと、トキワは頷いて植木鉢の上に戻り、ルリタマも、

「どういたしましてだぞ!あるじ、がんばれ!翠玉とガーネットには、またレムリアが自室の片付け頼んだって報告しとくぞ」

 と言って、マジックバッグに戻った。



 私は、トキワに水と魔力をあげてから、レムリア先生と一緒に空間魔法で寮に行った。

 レムリア先生に案内してもらって、女子寮にある部屋の中に入ると、部屋のあちこちにローブが掛けてあったり、床に何枚も落ちていたりした。

「…片付けたのに、また散らかってる」

 と、私が言うと、

「今回はローブだけだ。他の物は散らかしてないし、なくしてないぞ」

 と、レムリア先生が言った。

「…つまり、ローブはなくした?」

「…その通りだ」

「また家具の下に入っているんじゃないの?でも、まずはあちこちに掛けてあるローブと床に落ちているローブを何とかしよう」

 と言って、私は見える範囲にあるローブを全て集めて魔法で綺麗にした。綺麗にしたローブは、レムリア先生に仕舞ってもらった。

 次に、部屋の中の家具を全てマジックバッグに仕舞った。

 すると、家具があった場所からいくつもローブが発見された。


「…そうか!棚やベッドの上にローブを置いていて、いつの間にか壁と家具の隙間に落ちていたのか!見つかって良かった」

 と、レムリア先生が言って、全てのローブを回収した。

 家具はマジックバッグから出して元の位置に戻し、ローブは魔法で綺麗にしてから、レムリア先生に仕舞ってもらった。



「次からは、自分で洗濯に出してね。それと、出しっぱなしにしないで、元あったところに仕舞って」

 と、私が言うと、

「わかってはいるが、それができていたら黄玉に頼むことにはなっていない」

 と、レムリア先生が言った。

「それはそうなんだけど、開き直らないで。今回は他の物は散らかさないで済んでいたんだから、これからもこの調子で、物もローブも忘れず仕舞えるよう、頑張って」

「できる限り努力する。自室の片付けまで黄玉に頼むと、黄玉に頼り過ぎだと周りに怒られるからな。だが、困ったらまた頼む」

「…レムリア先生が生活に困ると一緒に研究ができなくて私も困るから、どうしても、というときは手伝うよ。でも、私がこうして手伝うから、レムリア先生がいつまで経っても自分で片付けや洗濯に出すことができないのかな。そうすると手伝わない方が良いのか、悩むね」

「いやいや、これからは自分でも気をつける!だから困ったときは手伝ってくれ!」

「わかったよ」

 と、私は頷いた。


 片付けが終わると、昼食の時間が終わる直前だったので、急いで食堂に行った。


 午後は、今後レムリア先生がおこなう授業の準備を手伝った。



 放課後。

 研究室の戸締まりをした後、私とレムリア先生は空間魔法で寮へ行き、空いている部屋を借りた。

 部屋に入って待っていると、翠玉とガーネット、ニールス先生、リシア先生が集まった。


 全員が揃ったところで、

「姉さんが誘拐されたときのことを詳しく聞きたい、とニールス先生から聞いたけど、何を聞きたいの?」

 と、翠玉が尋ねた。

「どういう状況でどのように誘拐されたのか、改めてお聞きしたいのです。それがわからないと、何に注意すれば良いか、どう気をつければ良いかがわかりませんから。勿論、私もリシア先生もレムリア先生も、黄玉様と翠玉様、ガーネット殿下から話をうかがう許可を国王陛下から頂いております」

 と、ニールス先生が言った。


 私は、町に出掛けたときに、魔導具と魔石の研究機関の人にお茶会に誘われ、侍女が対応している間にその場を離れようとした途端、自分が持っている魔石のクリアシールドが発動したこと、研究機関の人がいる方とは別の方向から飛んできた物から私を庇おうとした侍従と共にクリアシールドに覆われた途端、景色が変わっていつの間にか何処かの部屋の中に転移していたことを話した。


「投げつけられたのは魔石だな?」

 と、レムリア先生に尋ねられたので、

「うん。クリアシールドを鑑定したら、魔石がぶつかった、という説明が出てきたよ。空間魔法が付与されていて、当たった相手を魔導具と魔石の研究機関の一室に転移させる、という条件で付与されていた。だから、クリアシールドに当たったことで、クリアシールドごと、中にいた私と侍従は転移したんだと思う。魔石を作った人の名前は出てこなかったから、魔力溜まりにあった魔石が使われたんだと思う。魔石を投げた人については何もわからなかった」

 と、私は答えた。


「詳しく話して下さって、ありがとうございます。魔石については、もう調べようは無いのでしょうか?」

 と、ニールス先生に尋ねられた。

「私は今のところ魔石が回収されたという話は聞いてないけど、ガーネットはどう?」

 と、私が尋ねると、

「魔石は見つかっていない」

 と、ガーネットは答えた。

「もし魔石があったとしても、黄玉の鑑定結果以上の情報は得られないだろう。魔石の鑑定結果の情報量は、私や鑑定師である母よりも、黄玉の方が多いからな」

 と、レムリア先生が言った。

「そうですか。…今のところ、魔導具と魔石の研究機関の方に気をつける、以外のことはできませんね」

 と、ニールス先生が言った。

「そうね。研究機関の方々が学校に来る日はレムリアと黄玉さん、翠玉さんには安全なところにいてもらう、くらいしか対策のしようは無いかしら」

 と、リシア先生も言った。

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