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宝石竜と赤い瞳の王子  作者: 森谷玻乃
アスター魔法学校 3年後期
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「そのメモはレムリア先生に見せた後、リシア先生に渡して良いってトキワからもルリタマからも許可を得ているから、後でリシア先生に渡す予定だよ」

 と、私が言うと、

「このメモ、私も写して良いだろうか?」

 とレムリア先生が尋ねた。

 トキワはうんうんと頷いて、私のマジックバッグから、

「いいぞー!」

 と、ルリタマの声がしたので、レムリア先生はさっそくメモを自分で写し始めた。


 メモを写し終えて、私が書いたメモはレムリア先生から返してもらった。

「放課後、リシアに渡してくれ。大喜びするだろう」

 と、レムリア先生は言った。

「放課後、会えるかな?」

「ああ、言い忘れていた。放課後に、寮で一部屋借りて、黄玉と翠玉、ガーネット、私、リシア、ニールスが集まって黄玉が侍従と共に誘拐されたことについて色々と尋ねたいのだが、良いだろうか?勿論、話を聞く許可は国王陛下からは既に得ている」

「良いよ。私から念話で翠玉とガーネットにも伝えておく?」

「いや。翠玉とガーネットにはニールスが伝えてくれるそうだ」

「わかった」

 と、私は頷いた。


「他に話しておくことは…。そうだ。私の母、ファセリアがまた鑑定を頼むことになりそうだ、と言っていた」

 と、レムリア先生が言った。

「私も王妃殿下から聞いた。城で調度品に破損などが無いかを調べながら大掃除がおこなわれるから、ファセリアさんから仕事の依頼があるかもしれないって。…城も大掃除していたんだね。今まで知らなかったよ」

「黄玉達が学校に来ている間におこなわれているから、知らないのも無理はない」

「城の調度品って色んなものがあるから鑑定できるのはちょっと楽しみ」

「普段見ることのできない貴重な物が多いからな。…その分、扱いには注意しなければ。もし壊したら怒られるだろう」

「う〜ん、もし壊しても魔法で直せる物も多い気がするけど。私が見た限りでは、飾られている物は食器と同じように直せそうな物が多かったし」

「それならまだ安心だな。珍しい物を見られるのが楽しみになってきた」

 と、レムリア先生は言った。


「私から話しておくことはこのくらいか。黄玉は、他に話しておくことはあるか?」

 と、レムリア先生に尋ねられたので、私は、

「私の侍女と翠玉の侍従、ガーネットの侍従と、騎士のフラムさんとその部下数名に、国王陛下が特別な許可を与えたと仰っておられたよ。学校の敷地内のような他の人の立ち入りが厳しく制限されている場所でも、何か心配なことがあるときは護衛を頼んで良いそうだよ」

 と言った。

「黄玉達の侍従と、フラム殿とその部下だな。わかった。翠玉の侍従のミランは私の元助手だし、フラム殿やその部下の方々は、学校の授業で護衛してもらったり生徒の魔法の練習を見てもらったりしたからな。私も知っている方々が護衛してくれるのはありがたい」

「…レムリア先生、護衛に来てくれた相手にも魔法を使ってみてほしいって言いそう」

「言わないように気をつける」

 と、レムリア先生は頷いた。


「他に話しておくことは、特に無いかな」

 と、私が言うと、

「わかった。ではまず、魔法の実験場に行こう」

 と、レムリア先生に言われて、私達は空間魔法で移動した。


 魔法の実験場に来ると、

「トキワ、植物魔法を見せてくれないか?植物の魔物が使う魔法を観察する機会なんてまず無いからな。じっくり観察させてほしい」

 と、レムリア先生が言った。

 トキワは頷いて植木鉢から降り、近くに生えている植物に近づくと、魔法を使って急激に成長させた。


「植物魔法を、他の植物を成長させるために使っているのか。攻撃したり、他の植物から養分を吸い取ったりすることは無いのか?」

 と、レムリア先生が尋ねると、トキワは左右に揺れた。

「そういうことは今のところ無いよ。私や翠玉の持っている薬草を成長させてばかりだね」

 と、私が言うと、

「そうだぞ!薬草を成長させて、あるじがお金に困ることがないよう、頑張ってるぞ!」

 と、ルリタマが私のマジックバッグから出てきて言った。

「ふむ。他の使い方は今のところ考えていないのか?」

 と、レムリア先生が尋ねると、トキワは頷いた。

「トキワは、養分はあるじからもらっている魔力で十分だし、攻撃は自分の実を投げつければいいから、植物魔法の他の使い方はする必要がないらしいぞ!」

 と、ルリタマが通訳した。


「実を投げつける攻撃とは、一体どのような攻撃になるのか、見せてもらえないだろうか?」

 と、レムリア先生が尋ねると、トキワは頷いた。

 急に、トキワに花が咲き、実が膨らんで、赤くなった。

 表面が砂糖の結晶で覆われて、光が当たるときらきらと輝く実になったところで、トキワは葉っぱを使って実を取って、私達から離れたところの地面に向かって投げつけた。

 すると、実がパンッと音を立てて弾けて、地面が抉れた。

 地面が抉れたところの周りには、広い範囲に、砂糖の結晶が散らばっている。

「……中々の威力だな。しかも、砂糖の結晶は硬いから、あれが当たっただけでも怪我をしそうだ」

 と、レムリア先生が言った。

「あるじの敵の人間に向かって投げるときは、もっと手加減して、砂糖の結晶もなしにするって言ってるぞ。でもでも、場合によっては手加減なしだぞ!頑張るぞ!って、トキワが言ってるぞ」

 と、ルリタマが言って、その隣でトキワがふんぞり返っている。

「いや、人間相手には手加減してね?森の中で遭遇した危険な魔物に攻撃するときは良いけど、人間相手は駄目だから」

 と私が言うと、トキワはしばらくしてから頷いた。

「なんか、渋々頷いた、って感じだけど、本当に手加減してね。お願いだから」

 と、私が頼むと、今度はすぐに頷いた。


「実を投げつける攻撃がこれだけ強力なら、魔法で攻撃する必要も無さそうだな。だが、攻撃するまでに、花を咲かせて実を大きくする必要があるから、その時間が掛かるところが、咄嗟に攻撃しなければならないとき、少々心配だが」

 と、レムリア先生が言った。

「トキワは元々素早く動くのは苦手だぞ。それに、植物の魔物は人間にあまり知られてないみたいだから、どういう攻撃をするのかも知られてないと思うぞ。だから、トキワは相手の不意をついて攻撃できるぞ」

 と、ルリタマが言った。

「そうか。素早く動くのは苦手だから、どうしても咄嗟のときには間に合わない。だから、相手の不意をついて攻撃できれば良い、ということか。それは確かにそうだな。自分の得意、不得意を考えていて、素晴らしいな」

 と、レムリア先生は感心したように何度も頷きながら言った。



「攻撃についてはわかった。トキワ。次は洗濯と乾燥を魔法でおこなってみてくれないか?この布を使ってくれ」

 と、レムリア先生は言って、自分のマジックバッグから布を出してトキワに渡した。

 トキワは葉っぱで受け取って、まずは水魔法で洗濯した。

 次に、風魔法を使って乾燥させて、布をレムリア先生に返した。

「ふむ。汚れは綺麗になっているし、乾いている。破れたところも無い。十分できるようになっていると思うのだが、まだ練習しているのか?」

 と、レムリア先生に尋ねられた。

「洗濯と乾燥、一度に済ませようとするとまだまだあるじに及ばないぞ」

 と、ルリタマが答えた。

「ふむ。では、この布は使えなくなっても良い物だから、同時にやってみてくれないか?」

 とレムリア先生は言って、もう一度トキワに布を渡した。

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