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宝石竜と赤い瞳の王子  作者: 森谷玻乃
アスター魔法学校 3年後期
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 翌朝。

 いつもより早く起きて、私と翠玉とガーネットは朝食を摂った。

 必要な荷物を持ち、

「行ってくる」

 と、ガーネットが挨拶して、私と翠玉もメル達に挨拶した。

「いってらっしゃいませ」

 と、メル達が一礼し、私達は空間魔法で学校へ行った。


 ガーネットは寮に向かい、翠玉はニールス先生の研究室に向かったので、私もレムリア先生の研究室に向かった。

 ノックをして、返事が返ってきてから中に入ると、

「おはよう、黄玉」

 とレムリア先生が挨拶したので、

「おはよう、レムリア先生」

 と、私も挨拶した。


「さて。何があったのかは大体聞いている。黄玉が魔石を投げつけられて侍従と共に誘拐されたことは、私のフローライト家の家族全員と、リシア、ニールスに説明された、と私は聞いている。黄玉、無事で何よりだ」

 と、レムリア先生に言われた。

「ありがとう。それと、心配掛けてごめんなさい」

 と私は言った。

「何を言う。黄玉が謝ることなど何も無い。学校には護衛もいるし、外の者の出入りは厳しく制限されているから、気楽に過ごしてくれ」

「うん。ありがとう」

「で、最初に伝えておきたいのだが、今日はまだ、護衛の状態が整ってなくてな。今日1日だけは、教室には行かず、黄玉の行動範囲は研究室か魔法の実験場、寮のみにしてもらいたい、と言われている。移動には必ず空間魔法を使うように、とのことだ。済まないが、頼む」

「…もしかして、今日も私達は学校に来ない方が良かった?」

「いや、それならそうと黄玉に直接伝えているだろう。来る前に何も言われなかったのなら問題無い。恐らく、護衛は既についているが、万が一に備えてもう少し整えたいから、それまでは念の為あまり動き回らないでほしい、ということだろう」

「わかった」

「済まないな。恐らく、黄玉と私が魔石という情報の扱いに注意しなければならない物を研究しているから、信用できる護衛を選ぶために騎士達も慎重になっているのだろう」

「レムリア先生が謝ることじゃないよ。色々と大変なんだろうな、ということは何となくわかるから大丈夫。…って、護衛が大変なのは、私が色々と思いついてすぐ何か始めるせいだろうから、私がそんなこと言ったら駄目だよね」

「まあ、私も思いついたら何でもすぐに始めるし、それが結果的に国のためになっているから良いだろう。…それはさておき、黄玉!この長期休暇中にあった魔法に関すること、全て教えてくれ!思いついたこともだ!」

 と、レムリア先生は急に前のめりになって迫ってきた。


「わかったよ。まずは、研究とは関係無いけど、話しておきたいことから話すよ。翠玉とガーネットが、魔導具と魔石の研究機関に所属するエミルさんと会って話した。ファセリアさんに協力してもらって、城で会った」

「そうか。翠玉とガーネットは何と言っていた?」

「翠玉は、エミルさんは信用できるって言っていたし、ガーネットは、黄玉と翠玉が信用できると判断したなら何も言うことは無い、って言っていたよ」

「そうか。他に私に話しておきたいことは?」

「ニールス先生から、宝石竜の研究機関について聞いて、エミルさんも所属しているって話を聞いた。宝石竜が好きな人が趣味で集まっているようなところ、と聞いたよ」

「そうか。宝石竜の研究機関については、この学校の中ではニールスが一番詳しいだろうから、気になることがあればそちらに聞いてくれ。私は特に関わりは無いんだ」

「わかった。次は魔法に関することだね」

「待ってたぞ!」

 と、レムリア先生は途端に目を輝かせた。


「まず、王妃殿下から宝石がついたドレスを頂いて思いついたことなんだけど、宝石がついたドレスに魔力を込めたらどうなるか、試してみたい」

 と、私は言った。

「ふむ。確かに、今まではアクセサリーしか考えていなかったが、宝石が飾りとしてつけられるものは、ドレスや靴もあるな。それらも魔力を込めてみるか。…ちなみに、王妃殿下から頂いたドレスはどういう物だったんだ?」

「エメラルド公爵領で先生も参加した会で私が着ていたドレスだよ」

「…ああ!あれか!黒のドレスに赤い宝石がいくつもついてたな。ううむ。今すぐにでも魔力を込めてみたいが、王妃殿下から頂いたドレスでいきなり試すのは気が引ける。一着新たに作るか?まあ、それはまた今度考えるとしよう」

「うん。それと、宝石がついた靴も用意したいね。転ばないように、何か効果をつけられたら良さそう」

「それは良いな!大きな会ではたまに、慣れない靴で足を怪我する方がいるからな。そういうのを防ぐことができたら良いな!宝石は、国王陛下から報酬として頂いた物がいくつもあるから、色々と試してみよう。ドレスや靴だけでなく、ブローチ以外のアクセサリーも作ってみたいところだな」

「うん。それと、魔石について、マジックバッグの中に入れて保管した場合と、それ以外の場所で保管した場合で、魔力が抜けるのかどうか、抜ける場合はどのくらい抜けるのか、調べたい」

「わかった。他には?」

「魔石に傷がついたとき、どの程度の傷でどのくらい魔力が抜けるのか試したい。傷が大きい程抜ける魔力量も多いのか、意外とそうでもないのか」

「わかった。それも、今まで詳しく調べられたことは無いはずだ。魔石は中々手に入らないからな。勿体無くて調べられなかったのだろう。だが、黄玉がいれば魔石は作れるからな。気になることはどんどん調べよう。他には?」

「魔石についてはこれくらい。…トキワ、長期休暇中に色々と練習していたこと、レムリア先生に話して良い?」

 と、私が尋ねると、トキワは頷いた。


「トキワが魔法の練習を頑張ってたよ」

 と、私はレムリア先生に言った。

「黄玉が教えたのか?」

「ううん。ルリタマが教えてた。主に植物魔法を練習してた。私や翠玉が持っている薬草を育てて増やしてたよ。それと、土魔法を森の中で練習したり、水魔法と風魔法で私の古い服を洗濯して乾かしてみたりしていたよ」

「トキワが洗濯と乾燥をできるようになったら、私のローブの洗濯も頼んでみるか」

「それと、トキワが宝石竜の結晶を植木鉢の土の中に埋めて持ってる」

 と、私が言うと、

「何!それは!…何に使うんだ?」

 と、先生は驚いた後、首を傾げた。

「私からもらった魔力のうち、余分な魔力を溜めておいて、必要なときに結晶から出して使うんだって」

 私は、ルリタマが通訳したり説明したりしてくれた話をメモしておいた紙をレムリア先生に見せた。



「ふむ。結晶に魔力を溜めることで、トキワは自分が使える魔力量を増やしているのか。だが、結晶をとられると、トキワのための魔力が足りなくなるから、魔力を溜めて魔石を作れても他のことに使うことはできないのか。魔力溜まりでは周りに魔力があふれているからわざわざ溜めておく必要も無いが、トキワは周りに魔力が少ないところにいるから、余分な魔力も何とかしてとっておきたいと考えて、ルリタマが魔石をお弁当として持っているのを見て思いつき、結晶を黄玉からもらった、ということか。魔力溜まりにいる植物の魔物は、実をつけて、そこに魔力を溜めているが、実が駄目になって無駄になることも多い。落ちた実から芽が出ることは少ない。植物の魔物が増えすぎると魔力溜まりの魔力を消費しすぎてそこが魔力溜まりではなくなる可能性がある…。今まで知られていない情報ばかりだな」

 と、レムリア先生はメモを読みながらぶつぶつ呟いている。

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