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「うん。ルリタマとトキワは、私が魔力を使い過ぎないように気にしてくれる気がするけど、レムリア先生が、今、魔法に熱中しているから、大丈夫かな…」
と、私が言うと、
「レムリア先生も、姉さんのことは大切に思っているし、無理させるようなことはしないでしょ」
と、翠玉に言われた。
「なあ、黄玉。トキワは朝からずっと魔法の練習をしているなら、そろそろ様子を見に行った方が良いと思うのだが…」
と、ガーネットに言われて、私達は様子を見に行くことにした。
私の自室の前に行き、扉をノックして、
「ルリタマ、トキワ、黄玉だけど、扉を開けても良い?」
と聞くと、
「いいぞー」
と、ルリタマが返事をしたので開けると、
「あるじ!おかえりだぞ。あ!翠玉とガーネットもいるぞ!」
と言いながらルリタマが飛んできて、トキワも走って来た。
床は、薬草だらけになっていて、足の踏み場もない。
部屋の真ん中辺りの床に置いたはずのトキワの植木鉢は、薬草に埋まって何処にあるのかわからなくなっている。
「植木鉢、何処?」
と、私が尋ねると、
「部屋の真ん中の薬草の山のどっかだぞ。トキワが色々育てたぞ!…植木鉢の土の中に混ざってた薬草以外の植物の種も芽が出て成長したぞ。だから、薬草もそれ以外も、色々と育ってるぞ」
と、ルリタマが言った。
トキワはふんぞり返っている。
「よく育てたね!」
と、私はとりあえずトキワを褒めた。
「あるじ、このままだとトキワが植木鉢に戻れないから、薬草もそれ以外の植物も全部採集してほしいぞ。翠玉とガーネットも手伝ってほしいぞ。採集した植物はあるじと翠玉とガーネットが好きにしていいぞ」
と、ルリタマが言って、トキワもうんうんと頷いたので、私達は部屋中の植物を採集した。
種類がわからない物もあったので、私が鑑定しながら採集して、マジックバッグに仕舞った。
「薬草をたくさん育てて、何か欲しい物でもあるの?」
と、翠玉が尋ねた。
「ボクもトキワも特に無いぞ。でもでも、あるじがお金に困ったらボク達も困るぞ。だからいっぱい育てたぞ!」
と、ルリタマが言って、トキワも頷いている。
「あ、ありがとう。でもね、お金は十分あるの。レムリア先生の助手をして報酬をもらっているし、ファセリアさんを手伝って報酬をもらったし、お皿を直したり、氷魔法で作った氷を納めて対価としてお金をもらったから」
と、私が言うと、
「それはボク達も知ってるぞ。でもでも、あるじも翠玉もマジックバッグの容量いっぱいあるぞ!だから薬草はいくらあっても困らないぞ!」
とルリタマがふんぞり返って言った。
隣でトキワもふんぞり返っている。
「確かに容量はいっぱいあるけど、薬草しか入らなくなっても困るから、育てる量は手加減してね」
と、私が言うと、ルリタマとトキワは頷いた。
床全体に広がった薬草の採集を終えて、トキワの植木鉢を発見した後、植木鉢に乗ったトキワに水と魔力をあげた。
ちょうど昼食の時間だったので、ガーネットの部屋に戻って食事をした。
昼食の後、テオが来て、
「国王陛下と王妃殿下が夕食をご一緒したいと仰せですが、如何致しますか?」
と、尋ねた。
「ぜひご一緒させて下さい、と返事を伝えてくれ」
と、ガーネットが言うと、テオは一礼して退室した。
「トキワは、最近は植物魔法の練習ばかりしているのか?」
と、ガーネットがルリタマに尋ねた。
「植物魔法を練習することが多いけど、水魔法と風魔法も練習してるぞ。あるじの古くなった服を使って洗濯の練習してるぞ!」
と、ルリタマが答えた。
「黄玉の服、足りてるのか?」
と、ガーネットに尋ねられたので、
「うん。もう古くなって穴が空いた服とかを練習用に渡しているから大丈夫。たまに、風魔法が強すぎて服が破れることもあるけど、最近は成功することが増えてる」
と、私は答えた。
「…風魔法で服が破れるって、黄玉の部屋に置いてある物は大丈夫なのか?」
「水魔法と風魔法の練習のときは、私が一緒に居て、クリアシールドの中で練習しているから大丈夫」
「それなら良いが、気をつけてくれ」
と、ガーネットが言うと、ルリタマとトキワは頷いた。
「他にも練習している魔法はあるの?」
と、翠玉が尋ねた。
「土魔法の練習もしてるぞ。最近は、あるじと森に行ったときに、トキワが自分で土を動かして、植木鉢の土を自分で入れ替えているぞ!」
と、ルリタマが答えた。
「他には?」
「魔法の練習はそれくらいだぞ。でもでも、トキワは自分で石を集めてみたり、色々な物を葉っぱや根っこで持ってみたりして、力も鍛えてるぞ。ボク、元々トキワには力では勝てないのに、さらに勝てなくなったぞ…」
と、ルリタマが言うと、トキワが隣でふんぞり返っている。
「魔法だけじゃなくて力まで鍛えてどうするの?」
と、翠玉が尋ねると、
「あるじの敵がいたら何とかするために鍛えてるって言ってるぞ。トキワはボクみたいに空間魔法で何処かに飛ばすことはできないから、自分の実を投げつけるために力を鍛えているらしいぞ!」
と、ルリタマが言って、トキワがうんうんと頷いている。
「姉さんの周り、最近不穏だからね。ぜひ頑張ってよ」
と、翠玉が言うと、トキワは頷いた。
「トキワ。ちょっと気になったんだが、トキワは今、黄玉からもらった結晶に魔力を溜めたり、出して使ったりしているんだよな?」
と、ガーネットが尋ねると、トキワは頷いた。
「トキワは魔力を溜めることができるってことは、魔石を作ることができるのか?」
と、ガーネットが尋ねると、トキワは左右に揺れた。
「魔力は溜められるけど、溜めた石をとられたら、トキワの活動のためのエネルギーが足りなくなって、トキワがしおれるぞ。だから、魔石にできたとしても、その石を他人に渡すことができないから、あるじみたいに作るのは無理らしいぞ」
と、ルリタマが説明してくれた。
「つまり、一応、魔石は作れるが、他人にそれを渡すことはできないし、他の目的に使うこともできない、というわけか」
と、ガーネットが言うとトキワは頷いた。
「トキワ、ルリタマ、今の話、メモしておいて、リシア先生に伝えても良いかな?」
と私が尋ねると、トキワは頷いて、ルリタマも、
「いいぞ!」
と言った。
「魔力溜まりにいる、他の生き物もそのように自分の魔力を魔石に溜めておくことはあるのか?」
と、ガーネットが尋ねた。
「ボク達使い魔はお弁当とか非常食として魔石を持ってるけど、他の魔物はあんまり魔石は使わないぞ。トキワみたいな植物の魔物も使ってるとこ見たことないし、聞いたこともないぞ。たぶん、魔力溜まりでは周りに魔力があふれているから、魔石を使う必要が無いんじゃないかー?トキワは、周りに魔力が少ないところにいて、魔力を得る方法があるじにもらうことだけだぞ。余った分、捨てるのはもったいないからどうしようか悩んでいるときに、ボクが魔石の魔力を食べているのを見て、同じようにするといいかもしれない、と思ったんじゃないかー?」
と、ルリタマが言うと、トキワはうんうんと頷いた。




