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宝石竜と赤い瞳の王子  作者: 森谷玻乃
夏の長期休暇 3年生
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「アメシスト公爵とか研究機関とかの話は置いておいて、2日後には学校に行くけど、ガーネットは準備はできてる?」

 と、私は尋ねた。

「ああ。そちらは問題無い。必要な物が全てマジックバッグに入っていることも見たし、全て揃っていた」

 と、ガーネットは言った。

「明日は学校の前は馬車がいっぱいで大変なんだろうね」

 と、翠玉が言った。

「見に行くのは駄目だからな。…今回、黄玉が誘拐されたことは、ファセリア鑑定師、ニールス先生、リシア先生、レムリア先生にも説明して、警戒するよう伝えてあるそうだ」

 と、ガーネットが言った。

「2日後は学校に行って、すぐに教室に行けば良いの?」

 と、私は尋ねた。

「城で朝食を摂って、いつもより早めに学校に行く。校舎の前に空間魔法で転移して、黄玉と翠玉はすぐにそれぞれレムリア先生の研究室とニールス先生の研究室に行ってくれ。俺は寮の自室に行って、家具の設置など準備をする」

 と、ガーネットは言った。

「ガーネット1人で大丈夫?」

「ああ。大丈夫だ。ありがたいことに、大変なときは友人も手伝ってくれる」

「それは良かった。じゃあ、姉さんはレムリア先生の研究室、僕はニールス先生の研究室だね。…レムリア先生が姉さんから魔法の話を聞きたがって、これから研究したいことも聞きたがって、始業に遅れるかもね」

 と、翠玉に言われた。

「本当にそうなりそうだから、嫌なこと言わないで…」

 と、私が言うと、

「レムリア先生は担任する教室が無いし、黄玉と翠玉は授業に出るかどうかは自由だから、間に合わなくても平気だ」

 と、ガーネットにも言われた。

「間に合うように頑張る」

「さっき、2日後の授業の予定を見たけど、魔法の授業は無かったし、そのままずっとレムリア先生の研究室に居たら?」

 と、翠玉に言われた。

「研究室から出ない方が安全かもしれないな…。それが良いかもしれない」

 と、ガーネットにも言われた。

「教室の皆にもニールス先生にも挨拶したいし…」

「それは別の日とか、魔法の授業のときとかで良いんじゃない?」

「姉さんも僕も、授業は好きに受けられるけど、義務じゃないし」

「ずっとレムリア先生と研究するのも楽しいけど、色々あったから今、先生はずっと上機嫌というか、魔法やそれに関することに熱中しているから、それに付き合うのは私の方が疲れそうというか、うっかり魔力切れになりそう…」

 と、私は言った。

「それはそれで困るね…」

「ああ。魔力切れになって校内で元の姿に戻られたら困る」

「いっそ、2人にはずっと魔法の実験場に居てもらうとか?」

「それも良いかもしれない」

 と、翠玉とガーネットが言うので、

「良いかもしれない、じゃないから!私が休むためにも教室に行く!授業も受ける!」

 と、私が宣言すると、

「休むために授業を受けるとは、何だかおかしいな。まあ実際、そんな感じになりそうだが」

 と言ってガーネットが笑って、翠玉も一緒に笑っている。

「私にとっては笑い事じゃないんだけど!困ってるんだけど!」

 と言っても、2人共笑っている。


 何だか疲れたので、翠玉にどいてもらってソファに倒れ込んだ。


「…冷静に考えてみると、研究室に閉じこもるか魔法の実験場に入り浸るのが安全かもしれない。でも、研究室はともかく、魔法の実験場に入り浸ると派手な魔法を使ってほしいと頼まれて、いくら周りが森で囲まれているとはいえ、目立つことになりそう」

 と、私が言うと、

「…それはそれで困るような、学校の敷地内だから気にしなくても良いような、判断に困るな」

 と、ガーネットが悩んでいる。

「もし、レムリア先生が急に“魔石の素材となる石を拾いに行きたい”と言ったらどうすれば良い?」

 と、私はソファから起き上がって言った。

「そのときは数人の護衛を連れて、空間魔法で行ってくれ。護衛は騎士達に頼んでも良いし、メル達に頼んでも良い」

 と、ガーネットが言うと、

「お声掛け頂ければお供致します」

 とメルが言って、テオとロルーナとミランが一礼した。

「わかった。もし石を拾いに行くときは護衛をお願いするよ」

 と、私は言った。



 夕食の時間になり、私達は席に就いて食事をした。

「明日は、俺達は学校を休み、2日後から学校に行くことになった。2日後の朝食はいつもより早い時間に摂り、空間魔法で学校に行くことになる」

 と、ガーネットがメル達に伝えた。

「畏まりました」

 と、メルが答えて、4人揃って一礼した。

 食事が終わると、それぞれ自室に戻った。


「明日はずっと部屋にいるのかー?つまんないぞ」

 と、ルリタマが出てきて言った。

「ルリタマは学校に行くのは楽しみ?」

 と、私は尋ねた。

「楽しみだぞ!あるじとレムリアを手伝えば、魔力かおかしがもらえるぞ!」

「それ目当てか。たぶん、学校が始まったら何かお願いすると思うから、またよろしくね。ちゃんとお礼の魔力か魔石かお菓子は用意しておくから」

「わかったぞ!お礼、もらえるなら頑張るぞ!」

 と言って、ルリタマはマジックバッグに戻った。

 トキワはもう寝ているようだったので、起こさないようにそっと植木鉢が入ったバッグを降ろして、私も休んだ。



 翌朝。

 いつも通り、ガーネットの部屋で3人揃って朝食を摂った。

「ずっと部屋に居ないといけないっていうのも暇だね。何かする?」

 と、翠玉が言った。

「トキワは、ルリタマに教わりながら、私の部屋で魔法の練習をしているけど」

 と、私は言った。

「そういえば、姉さんは今日はトキワの植木鉢が入ったバッグを持ってないね。ルリタマとトキワだけで魔法の練習って、大丈夫なの?」

 と、翠玉に尋ねられた。

「うん。魔法で散らかるような物も落ちると危ない物も無いから大丈夫。…部屋が薬草でいっぱいになっている可能性はあるけど」

「…それ、大丈夫って言わないんじゃないか?」

 と、ガーネットに言われた。

「この間、冒険者ギルドに薬草を売りに行ったでしょ?それで、植物魔法を練習するついでに薬草を増やせばお金になって色々と買い物ができる、とルリタマがトキワに教えたみたいで、最近、トキワがやる気になって植物魔法の練習ばかりしているんだよね…」

 と、私は言った。

「トキワ、魔力切れにならないの?」

 と、翠玉に尋ねられた。

「そこはちゃんとルリタマが様子を見て止めるから大丈夫。それに、私がトキワにあげた結晶に魔力を溜めておけるようになったから、トキワが使える魔力量が一気に増えたんだよね。練習でたくさん魔力を使うと、私がトキワにあげる魔力量も増えるから、今は助手の仕事が無いから良いけど、学校が始まったら私が魔力切れにならないかちょっと心配。レムリア先生に頼まれる魔法の発動と、掃除に使う魔法の発動、魔石作り、ルリタマとトキワにあげる魔力…。本当に大丈夫かな…」

 と、私が言うと、

「そこはルリタマもトキワも考えてくれるんじゃないか?どちらも黄玉のことを心配しているし、ルリタマはよく黄玉が魔力を使い過ぎないように注意している、と言っていたからな」

 と、ガーネットに言われた。

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