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宝石竜と赤い瞳の王子  作者: 森谷玻乃
夏の長期休暇 3年生
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 リシア先生の質問に、研究機関の人は、

「そうですね…。研究機関では、目的の魔導具を作る過程で、思いもよらない効果の魔導具ができあがることがあります。最近も、どのように役立てられるか悩む物ができあがりました。風魔法で落ち葉などを吸い込んで集める魔導具を作ろうとしたのですが、何故か書類だけを吸い込む魔導具になってしまいまして、試しに使ってみたときは、部屋中の書類が吸い込まれて…。大変でした」

 と、げんなりした様子で教えてくれた。

「それはそれで、なくした書類や風で部屋の何処かに飛んでいってしまった書類を探すときに役立ちそうですが…」

 と、私が言うと、

「そうですね!そういう使い方ができますね!戻ったら研究機関の方に今のお話を提案させて頂いてもよろしいでしょうか?」

 と、研究機関の人に尋ねられた。

「良いですよ」

「ありがとうございます!」

 と、私は研究機関の人に笑顔でお礼を言われた。



「エミルさんはお元気ですか?」

 と、レムリア先生が研究機関の人に尋ねた。

「はい。元気ですが忙しそうで、本日も残念ながら此方に来ることはできませんでした」

「あなた方はエミルさんと親しいの?」

 と、リシア先生が尋ねると、

「はい。研究機関ではエミルさんと共に研究させて頂く機会も多く、共に魔導具を作っております。最近は、学校に設置した魔導具を共に作りました」

 と、研究機関の人は言った。


 その後も少し話してから、研究機関の人達は私達に挨拶をして離れて行った。

「警戒していたけど、何も無くて良かったよ」

 と、翠玉が言った。

「会に招いたのはエミルさんの知り合いだと黄玉様と翠玉様に伝えていなかったのですか?」

 と、レムリア先生がニールス先生に尋ねた。

「はい。私は、黄玉様と翠玉様がエミルさんとどう関わっておられるのか、詳しいことは知りませんでしたので、何もお伝えしませんでした。黄玉様、翠玉様、申し訳ございませんでした」

 と、ニールス先生が一礼した。

「いや、エミルさんが信用できるからその知り合いも信用できる、とは考えない方が良いだろうし、これで良かったと思う」

「私達のことを考えて下さってありがとうございます」

 と、私達は言った。



 研究機関の人とも会ったし、あとは会話を楽しみながら会が終わるのを待とう、と思ったところで、また1人、誰かが此方に来た。

「ごきげんよう」

 と挨拶すると、

「ごきげんよう、黄玉様、翠玉様、皆様。私は、魔導具と魔石の研究機関に所属している者です」

 と言った。

「研究機関の方には先程もお会いして挨拶しましたわ。何かお話しがありますの?」

 と、リシア先生が尋ねた。

「はい。私は研究機関の中で仲の良い方が彼らとは異なるので、別々にご挨拶させて頂いております」

 と言ってから、研究機関の人は私と翠玉の方に向き直り、

「私達のところでは、週に一度、様々な方を招いてお茶会を開いております。将来、研究機関に所属したいと考えている学生や、研究機関を支援して下さっている方、興味を持っている方などを毎回数人ずつお招きしております。ぜひ、皆様にも参加して頂きたく、こうしてご挨拶に参りました。どうか、ご一考下さい。では失礼します」

 と言って、すぐに離れて行った。



「本当に挨拶だけだったね」

 と、翠玉が言った。

「レムリアさん。研究機関では、本当に週に一度、お茶会が開かれているのですか?」

 と、ニールス先生が尋ねた。

「はい。本当に開かれています。研究が忙しいときも予定があるときも、お茶会に来るように言われてとにかく面倒でした。所属していた頃、一応、参加しましたが、研究の話をするわけでもなく、世間話や貴族についての話をしたり、招いた相手の話を聞いたりするだけでした」

「そういう会を開いて、何か良いことあるの?」

 と、翠玉が尋ねた。

「生徒を招くのは、将来、研究機関に所属してもらうためです。支援して下さる方を招くのは、お礼を伝えてこれからも支援をお願いするためです。研究機関に興味を持っている方を招くのは、繋がりを得て、研究者が出世するためや、新たに支援してもらうためというような、目的があるようです」

 と、レムリア先生は答えた。

「姉さんや僕が参加しても、研究者の出世には関われないし、支援もする気は無いから何も得られる物は無い気がするけど」

「宝石竜様に興味を持って頂き、お茶会に参加して頂けた、というだけでも、今まで関わりの無かった方々に興味を持って頂くきっかけになります。他にも、研究機関の中には、黄玉様が私の助手であることを良く思っていない方がおりますので、会って話して、私の助手でいるよりももっと良い待遇を示して、研究機関に所属してもらおうと考えているのかもしれません」

 と、レムリア先生は言った。

「レムリア先生と研究がしたくて助手をしているので、待遇は関係無いですね。もし、先生のことを悪く言われたら、うっかり雷を落としたり周りを氷だらけにしたりしそうです」

「勝手に貴族達の関心を得るために使われるとか嫌だから参加したくない」

 と、私達は言った。

「雷を落としたり周りを氷だらけにしたりする魔法はぜひ、ぜひ見てみたい!」

 と、レムリア先生が目を輝かせて言った。

「氷魔法は良いですが、雷魔法は危ないので止めた方が良いと思います」

 と、私が言うと、

「私もそう思います」

「私も止めた方が良いと思いますわ」

 と、ニールス先生とリシア先生も言った。


 先生達と話しているうちに会が終了し、私と翠玉はガーネットと一緒に会場の外に出た。

 一度、控え室に行ってルリタマがいるマジックバッグとトキワの植木鉢が入ったバッグを受け取ってから、メルとロルーナと共に馬車に乗って館に戻った。

 自室に戻り、着替えを終えて、用意してもらったお茶を飲みながら、

「ニールス先生とリシア先生、レムリア先生に会ったよ。それと、魔導具と魔石の研究機関の人にも」

 と、メルとロルーナに言った。

「お困りのことは無かったですか?」

「うん。リシア先生が色々と助けてくれたし、困ったことは無かったよ」

 と言ってから、研究機関の人達に会ってどんな話をしたかを話した。


「研究機関で開かれるお茶会については、私も聞いたことがあります」

 と、私の話を聞いたロルーナが言った。

「レムリア先生からどんな会なのかを聞いて、参加したくないと思ったから、たとえ招待状が来ても参加するつもりはないよ」

 と、私が言うと、

「畏まりました」

 と、メルとロルーナは一礼した。


「そういえば、メルとロルーナは旅行に来て困っていることは無い?」

「ございません」

「問題ありません」

「良かった。旅行の準備のとき、何を持って行くか困ってたからちょっと気になってたんだ。何かあったら言ってね」

「「ありがとうございます」」

 と、メルとロルーナは揃って言った。



 お茶を飲み終えて、私は広間に行った。

 ソファに座っていると、翠玉とガーネットが来た。

「お疲れ、黄玉」

「翠玉とガーネットもお疲れ様」


 翠玉とガーネットもソファに座った。

「これで旅行中の予定は済んだから、あとは自由に過ごせるね」

 と、翠玉が言った。

「ああ。…あっという間だな」

「まだ旅行は終わってないよ、ガーネット。明日は何をしよう?」

 と、私達が話していると、

「冬の間に集めておいた雪で遊びたいぞ!」

 と言いながらルリタマが出てきた。

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