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宝石竜と赤い瞳の王子  作者: 森谷玻乃
夏の長期休暇 3年生
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 ルリタマは、私や翠玉の周りを飛び回ったり、湖に何かいないかと水面をじーっと見たりしている。

 トキワは、植木鉢の上から降りて歩き回っている。

 ガーネットは、近くにある植物を見たり、ルリタマとトキワの様子を眺めたりしている。

『ガーネット、暑かったら魔石がついたブローチを使って。冷風が出る魔法をこの間、付与しておいたから』

 と、私は念話で言った。

「いや、俺は日陰にいるし、風が涼しいから大丈夫だ。黄玉と翠玉は暑くないか?」

 と、尋ねられたので、

『平気だよ』

『この姿だと暑さに強いからね』

 と、私と翠玉は念話で答えた。


 十分休んだので、私と翠玉は人間の姿に擬態してから皆で館に戻った。

 広間でお茶を飲みながら休んでいると、国王陛下と王妃殿下もおいでになったので、皆で一緒に休憩した。

「姉さん。明日の歓迎の会にはレムリア先生も来るみたいだけど、長期休暇中に思いついたこととか、研究してみたいと思ったことを話すの?」

 と、翠玉に尋ねられた。

「明日は詳しくは話さないよ。魔石の話は他の人がいるところでできないし、“今から学校の研究室に戻って試してみよう!”とか言われそうだし」

「確かに。詳しく話すのは長期休暇が明けてからの方が良いね」

 と、私と翠玉が話していると、

「先生と一緒に調べようと思っているのはどういうことだ?」

 と、ガーネットに尋ねられた。

「宝石が縫い付けられた衣装に魔力を込めるとどうなるか。魔石にした宝石をマジックバッグの外に置いておくと、どのくらいでどの程度魔力が抜けるのか。魔石を切ったり磨いたりすると魔力が抜けるけど、宝石に傷がついたときも魔力が抜けるのか。傷が大きい程、魔力が抜ける量は多くなるのか。…今のところ、気になるのはこれくらいかな」

 と、私は答えた。

「意外と多いな。…翠玉は、明日の会でニールス先生と話すのか?」

 と、ガーネットが尋ねた。

「挨拶はするだろうけど、研究のことは話さないよ。ニールス先生も、宝石竜の話を始めると中々終わらないからね。それより、明日の会に参加する研究機関の人達に姉さんとレムリア先生が会って大丈夫なのか心配なんだけど。姉さんとレムリア先生は、本当に会に参加しても大丈夫なの?」

「黄玉様とルリタマ様、レムリア・フローライト伯爵令嬢に魔石のことは尋ねてはならない、と研究機関に命じてあります」

 と、陛下が仰った。

「姉さんとレムリア先生が、もし、研究機関の人達にしつこく話し掛けられたらどうすれば良い?」

 と、翠玉が尋ねると、

「明日は黄玉様と翠玉様にはそれぞれ専用の控え室が用意されますので、お困りのときには控え室へ空間魔法で移動して下さい。レムリア・フローライト伯爵令嬢も一緒のときには、一緒に控え室へ行って下さい。控え室には、黄玉様の侍女が待機しますので、侍女と共にお待ち下さい。何かあればすぐに私に報告が来るようになっておりますので、対応します」

 と、陛下は仰った。

「何から何までありがとうございます」

 と、私はお礼を言った。

「黄玉様、翠玉様、レムリア・フローライト伯爵令嬢にはご迷惑をお掛けして申し訳無く存じます」

 と仰って、陛下は一礼なさった。


 お茶を飲み終えて、私達は一度自室に戻った。

 夕食は、今日も皆で一緒に摂って、明日に備えて少し早めに休んだ。



 翌日。

 今日は、エメラルド公爵が開く歓迎の会、当日。

 私は、朝食の後、メルとロルーナに手伝ってもらいながらドレスに着替えた。

 髪飾りには金糸の刺繍が入った黒いリボンを選んだ。

 準備が終わると広間へ行った。

 翠玉とガーネットは、既に準備を終えて待っていた。

「父上と母上は別の馬車で会場に向かうそうだ」

 と、ガーネットが言った。

「わかった。もう私達は会場に向かう?」

「ああ。会場の近くにある控え室に行こう」


 私達は、外に出て用意されていた馬車に乗った。

 私はメルとロルーナと、翠玉とガーネットはテオとミランと馬車に乗って向かった。

 会場がある建物の中に入り、私はメルとロルーナと共に控え室に来た。

「私とロルーナはこの部屋におります」

「何かございましたら、此方にお戻り下さい。レムリア様も一緒でも構いません」

 と、メルとロルーナに言われた。

「わかった。何かあったら空間魔法で戻ってくる。…ルリタマがいるマジックバッグと、トキワの植木鉢が入ったバッグを此処に置いておいても良いかな?」

「はい。お預かりします」

「黄玉様が会場におられる間、私達がお守りします」

 私は、バッグをメルとロルーナに預けた。


 会が始まる時間が迫ってきたので、私はメルと一緒に会場へ向かった。

 入り口で、翠玉とガーネットと合流し、メルと別れて会場に入った。

 会はすぐに始まり、国王陛下と王妃殿下、エメラルド公爵の挨拶の後、参加者が自由に話せるようになった。


 ガーネットは、他の参加者と話しているので、私と翠玉は少し離れたところからその様子を見守った。

 すると、ニールス先生とリシア先生、レムリア先生が、ガーネットに挨拶した後に私達のところに来た。

「ごきげんよう、先生」

「ニールス先生は昨日も会ったから元気なのは知ってるけど、リシア先生とレムリア先生も元気そうで良かったよ」

 と、私と翠玉は挨拶した。

「ごきげんよう、黄玉様、翠玉様。今日もお会いできて光栄です」

「ごきげんよう。お目にかかることができて嬉しく存じますわ」

 と、ニールス先生とリシア先生も挨拶した。

「ごきげんよう、黄玉様、翠玉様。この長期休暇中は会う機会は無いと思っていましたが、こうしてお会いできて嬉しく思います。魔法について何か気になることはありましたか?」

 と、レムリア先生に尋ねられた。

「レムリア先生と一緒に調べてみたいことがいくつかありますが、詳しい話は長期休暇が終わってから…」

 と、私が言うと、

「ぜひぜひ教えてくれ、…ください!1つではなくいくつかあるとは楽しみです!」

 と、レムリア先生が目を輝かせて言った。

「学校で、お話しします。この場では話さない方が良いので」

「…わかりました。長期休暇明けを待ちます」

 と、レムリア先生は頷いた。



 エメラルド公爵家の人と挨拶したり、先生達と話したりしていると、数人、此方に近づいてきた。

 私と翠玉の目の前で立ち止まったので、

「ごきげんよう」

 と、挨拶すると、

「ごきげんよう。お目にかかることができて光栄です。私達は、魔導具と魔石の研究機関に所属している者です」

 と言って、それぞれ名乗った。

「魔導具や魔石の研究機関は、国のために役立つ魔導具や魔力溜まりで見つかった魔石を研究しておられる、ということは存じておりますし、最近も新たな魔導具をお作りになったと聞き及んでおりますけれど、具体的にどういった物を作っておられますの?」

 と、リシア先生が尋ねた。

「国のための物ですから、具体的に言えることは少ないのです。申し訳ございません」

 と、研究機関の人が言うと、

「勿論、この場では話せないことがあるのは承知しておりますわ。無理にとは申しませんわ。ですが、楽しい魔導具のお話しなど何かございませんの?」

 と、リシア先生は尋ねた。

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