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宝石竜と赤い瞳の王子  作者: 森谷玻乃
夏の長期休暇 3年生
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 私とメルとロルーナは、私が過ごす部屋の中に入った。

「此方が黄玉様のお部屋ですね。私とロルーナは隣の部屋に滞在しますので、何かございましたらいつでもこのベルを鳴らしてお呼び下さい」

 と、メルが言って、テーブルの上にベルを置いた。

「わかった。ありがとう。私は夕食の時間までこの部屋で過ごすから、メルとロルーナも部屋で少し休んで」

 と私が言うと、2人は一礼して隣の部屋へ行った。



 夕食は、国王陛下と王妃殿下、私、翠玉、ガーネットの5人で摂った。

「お困りのことはございませんか?」

 と、陛下に尋ねられた。

「はい。今のところありません」

「僕も無いよ。明日は自由に過ごして良いんだよね?」

「はい。構いません。ガーネットも自由に過ごしてほしい」

 と、陛下が仰ると、

「わかりました。…翠玉はどうするんだ?」

 と、ガーネットが言った。

「湖に行ってみようかな、と思ってる。姉さんは?」

「私も行く」

「私もついて行く」

 と、ガーネットも言った。

「竜の姿に戻っても良い?」

 と、翠玉が尋ねた。

「はい。構いませんが、騎士達も護衛として数名お連れ下さい」

 と、陛下が仰って、

「わかったよ」

 と、翠玉は頷いた。

「明日、エメラルド公爵との話が終わってから私達も湖に行ってみませんこと?」

 と、殿下が陛下に尋ねた。

「そうだな。そうしよう。私達も黄玉様と翠玉様、ガーネットとご一緒してもよろしいですかな?」

 と、陛下に尋ねられた。

「はい!」

「良いよ」

「ぜひ」

 と、私達は答えた。



 翌日。

 朝食の後、私と翠玉とガーネットは、メル達と騎士達と共に歩いて、湖が見えるところに来た。

 陛下と殿下はまだエメラルド公爵と話していて、終わり次第、おいでになる予定。


「湖、大きいな」

 と、ガーネットが言った。

「うん。今日は風もあまり吹いていなくて、水面が鏡のようだね」

 と私も言った。

 翠玉はさっそく宝石竜の姿に戻っている。

 私も宝石竜の姿に戻った。

「あるじも翠玉も、ぴかぴかのきらきらだな!空からの光と水面からの光でいつもよりきらきらしてるぞ!」

 と、マジックバッグから出てきたルリタマは言って、私の周りを飛び回っている。


 私は、水面に映る自分の姿を見て、自分の背中にある結晶を鑑定できないか試してみた。

 でも、湖の水の鑑定結果が出てきてしまって、結晶は鑑定できなかった。

 何とかならないか、と色々と試してみたけど無理そうなので諦めて、水の中に魚がいないかな、と眺めていると、遠くから足音がした。

「国王陛下と王妃殿下、エメラルド公爵、ニールス様がおいでです」

 と、メルに言われた。

 足音がする方を見ると、陛下と殿下、エメラルド公爵、ニールス先生が歩いて此方に来るところだった。

 お互い挨拶してから、エメラルド公爵が、

「こんなに近くで宝石竜様に拝謁することをお許し頂き、感謝申し上げます」

 と言って、一礼した。

『昨日も話したでしょ?姿が変わろうと姉さんは姉さんだし、僕は僕だよ』

 と、翠玉が念話で言った。

「申し訳ございません。感動のあまり、失礼なことを申しました」

 と、エメラルド公爵はまた一礼した。

「黄玉様も翠玉様も、お変わり無いようで安心しました」

 と、ニールス先生に言われた。

『ニールス先生も元気そうで良かった』

『うん。また研究ばかりで食事を忘れたり寝てなかったりしたらどうしようかと思っていたけど、そういうことはなさそうだね』

 と、私と翠玉は念話で言った。

「お2人にお会いできるせっかくの機会ですから、昨日はよく休みました。そういえば、明日の歓迎の会にはリシア先生とレムリア先生もおいでになるそうです」

『レムリア先生、面倒だから会には参加しないと言っていたけど来るんだ』

「長期休暇に入ってからレムリア先生にお会いしたときに、恐らく黄玉様もおいでになります、と言ったら、“すぐ行く!必ず行く!というわけで参加する”と仰っていました」

 ニールス先生の話を聞いて、ガーネットが、

「レムリア先生らしいな」

 と、笑いながら言った。


『アメシスト公爵は来る予定はある?』

 と、翠玉が尋ねた。

「ありません。他の公爵家の方が来る予定はございません」

 と、エメラルド公爵が教えてくれた。

『それなら、明日は気楽に参加できそうだね』

 と、翠玉が言うと、

「ですが、魔導具と魔石の研究機関に所属している方が数名参加なさる予定です。エミルさんは参加しないそうですが」

 と、ニールス先生に言われた。

『…気楽に、というのは無理そうだね』

『…うん』

『でも、会に参加するとなると、普段会わない人に会うことになるし、警戒する相手がいてもいなくても、どちらにしろ気楽に参加するのは無理だと思う』

『…そうだね』

 と、私と翠玉は言った。

「ところで、黄玉様、翠玉様、せっかく宝石竜様のお姿ですから、観察させて頂いてもよろしいでしょうか?」

 と、ニールス先生に尋ねられた。

『良いよ』

『僕も良いよ』

 と、私達が答えると、

「ありがとうございます!ではさっそく…」

 と、ニールス先生は観察を始めようとしたが、

「待ちなさい。この後仕事があると言っていただろう」

 と、エメラルド公爵に止められた。

「仕事よりも宝石竜様です!宝石竜様を何より優先しなければなりません!」

「最優先するべきなのは宝石竜様のご要望や宝石竜様のためになることだ。ニールスの宝石竜様の研究は仕事ではあるが、今回の観察は仕事ではなく趣味だろう。今は仕事が優先だ」

「……黄玉様、翠玉様、機会がありましたら、また後日、観察させて下さい」

 と、ニールス先生は渋々言った。


 私と翠玉が頷くと、エメラルド公爵とニールス先生は戻り、私達はしばらく湖のそばで休んだ。

「王城も、他の場所に比べたら涼しいのですけれど、此処は湖の方から風が吹くと特に涼しくて、快適ですわ」

 と、殿下が仰った。

「このようにゆっくり過ごすのは久しぶりだな。それに、5日も旅行ができることも久しぶりだ。王妃が元気になって、共に旅行ができることを、とても嬉しく思う」

「私も嬉しく思っておりますわ、陛下。これからは、他の場所にも旅行に行きませんか?」

「もう次の旅行か?早すぎるのではないか?」

「あら、楽しみなことがあるのは良いことだと思いませんの?ガーネットはどう思う?」

「私も楽しみなことがあるのは良いと思います。それに、様々な場所を実際に見て回ることは大事だと仰ったのは父上です」

「そうだったな。では、城に戻ったら次の旅行の計画を立てるとするか」

 と、陛下と殿下とガーネットは楽しそうに話しておられる。


 昼食の時間になったので、私達は館に戻って食事をした。

 午後は、陛下と殿下は館でゆっくり過ごすそうなので、私と翠玉とガーネットはもう一度、湖の近くに行った。

 私と翠玉は、また宝石竜の姿に戻って休んだ。


「湖、気に入ったのか?」

 と、ガーネットに尋ねられた。

『気に入ったというか、僕にとっては珍しい場所だからもっと見たい、と思ったんだ』

『私達は洞窟や森の中で過ごすことばかりだったから、川以外の水がある場所は珍しいと思って気になるの』

 と、私達は答えた。

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