学園
「今日、やっと、やっと会えるんだよな。」
拓也は、一人高校への道を歩きながら呟いた。拓也が家を出たのが早かったからなのか、周りに人はいなかった。
「千崎魔術学園か、俺は魔術じゃないんだけどな。」
拓也は一人でに笑った。
この世界では、魔術と言うものがある。魔術を持ってない人は、この世界にはいない。どんな人でも、もっているのである。そして、その魔術のコントロール学、魔術の歴史などを学ぶ場所が、この世界では学校だ。もちろん数学や、言語の授業もある。しかし、言語は英語、フランス語、中国語の三カ国語は絶対に覚えなければならない。
そして、高校に入ったと同時に学生は、学生魔術師といわれるようになり、入学時に能力を全て調べられる。そして、その能力によって学生達は四階級に別れる。一番上が、特級クラス。今の所日本では、二人、アメリカに一人、中国に一人、イギリスに二人、ガーナに一人そして、ギリシャに一人いる。さらに特級クラスに入れる者は、神力と言う魔術とは異なる力を持っているか、魔術の中で群を抜いているものしかなれないのである。そしてその下に、上級クラス、中級クラス、下級クラスと続いている。
「ここが、千崎魔術学園…。」
拓也は、その大きさに驚いた。
これ、本当に学校かよ…。
拓也は一人心の中で、つぶやいていた。すると、拓也は後ろから肩をたたかれた。
「!」
拓也は、さっきまで人がいないと思っていたので、とてもびっくりしながら振り返ると…誰もいなかった。
「あ、あれ?誰かいたはず…。」
「ちょっと!!ここよ!ここ!!」
その可愛らしい声のした方、つまり下を向いて見るとそこには、金色の髪をした、お目々くっきり幼女がいた。
「あんたさっきから邪魔!!私が通ろうとしてるんだからどきなさいよ!」
「へ?あ、あぁすまない。」
そういって拓也がどいてあげると。
「ふんっ!」
と言って、我が物顔で下駄箱まで歩いていった。
「な、なんだったんだ?あの子?」
拓也は少しの不安を抱えて校門をあとにした。
「あれが佐伯 拓也か、ふふふっ…」
拓也の後ろ姿を見て不気味に笑う男は、携帯を取り出した。
「…あぁ。今来たぞ。…あぁ。分かっている。あいつは、俺の物だ、手を出すなよ。」
そう言って携帯を切ったその男は、その優しそうな顔に似つかない表情で、楽しそうに拓也の後ろ姿を見て笑っていた。
「お前がどれほどの物か知らんが、あの女を手にいれるのにお前は邪魔だ。この俺が捻ってやろう!はははははははは!!」
男が大声をあげて笑う。
「ねぇ、あの人やばいんじゃない?」
「バカ!かかわっちゃだめよ!」
通りかけの女子高生が男を指差してきみわるがった。
「ははは………。こほんっ!」
一つ咳をするとその男は、去って行った。
一方その頃拓也は、職員室にいた。
ここかな?にしても大きいなぁ〜、ここ。
「失礼します。」
拓也がドアを開けると、職員室に居た教師が、全員こちらを向いて来た。
な、なんだ?俺何かしたかな?
拓也が焦っていると、そこに30代前半くらいの髭を生やした男が来た。
「お前が、佐伯か?」
「ちょっとこい。」
「は、はい…。」
男は、拓也の手を取ると職員室の奥にある校長室へと連れて行った。
「失礼する。」
「し、失礼します!」
拓也が緊張でタジタジになりなりながら校長室に入ると、そこには…。
「も、え?萌なのか?」
そこには、成長した萌がいた。
「あ、ぁぁ拓也ぁぁ!!」
すると萌は可愛らしい顔をくしゃくしゃにして、抱きついて来た。
「ひぐっ、うわぁぁぁん!!会いたかったよー!!」
拓也はその姿を見て萌を抱きしめた。
「俺もだよ。ぅぅぅ。」
「なんか、拓也涙もろくなったね。」
そう言って、萌は可愛らしい顔で笑いながらこちらに顔を向けて来た。
「うるせぇ…!ひぐっ!」
「ふふふっ…、ひぐっ!」
そんな二人を見ていた、髭を生やした男が
苦笑しながら、話して来た。
「お前ら二人とも変わらんぞ?…。」
『んな!』
二人は揃って声をあげてしまった。すると男は、顔を元のキリッとした表情に戻して言った。
「そろそろ本題に入るぞ。なぜお前らがここに呼ばれたかは…、まぁ多分知ってるだろうが、お前らが神力使いだからだ。この学園には魔術師の名門ばかりが集まってくる。だから、下級クラスと言ってもそこらの学園からしてみれば、中級クラス以上だ。そんな猛者どもの中でもお前らは群を抜いた能力を有してる。まぁ、なんだ、その、、、力は抑えろってことだ…。」
そういった男は、二人を先ほどとは違う優しい目で見る。
「多分お前らの力が他人にばれたら、お前らは化け物扱いされるだろう。だが決して傷つけてはダメだ。感情に任せてそんなことをしたら、多分お前らの力だと死人が出てしまう。我慢出来なかったら、俺に言え。まぁ、その、助けてやるからよ…。」
男は照れ臭そうに話した。
「ま、まぁそういうことだ!あと俺はお前らの担任を受け持つ事になった城ヶ崎 大和だ。呼び方は、なんでも構わん。それだけだ。」
城ヶ崎が話終えると拓也達は静かに城ヶ崎を見ていた。
『…………。』
「な、なんだよ!」
「いや、顔に似合わず良い人だなーと思って。」
「う、うるせぇ!ほらさっさと行くぞ!今日は身体検査だろーが!」
「はい分かってますよ!」
そう言うと拓也は笑った。
「やまちゃん優しい!」
と萌がはしゃぎながら言う。
「誰がやまちゃんだ!てか、校長!!あんた何ぼーっとつっ立ってんだよ!あんた一言も喋ってないぞ!?」
「え?あぁ、あ、あ、あ、わしは、千崎 寅次郎じゃ。まぁ、頑張ってね。」
『なにそれ!?』
3人は、揃ってこえをあげた。そして拓也達は、城ヶ崎に連れられて出ていった。
「…神の目と神の風、か、」
一人になった千崎は誰にも聞こえない声で呟いた。
拓也達は、クラスの前に来ていた。
「ここがお前らのクラスだ。」
そう言って城ヶ崎は目の前の教室を顎で示した。この学校は、限られた者しか来れないので、人数は一年だけでも100人しかいない。なので、クラスは、4クラスにわかれていて、1クラス25人だ。
「さて、俺はもう行く。あと5分したら入学式だからな。遅れるなよ?」
そう言うと城ヶ崎は去って行った。
「さて、萌入式行くか!」
「うん!」
萌は、9年前のように目を輝かせながら力強く頷いた。
「今度こそ、俺が守ってやるからな………。」
誰にも聞こえない声で拓也は呟いた。
そして、入学式が始まった。
あ、そう言えば俺呼ばれるんだっけ?
座学が一位の人は賞状もらえるとか言ってた気がするなぁ。
ま、いっか。
「…新入生代表、佐伯 拓也!」
ほらやっぱり。
拓也は立ち上がり壇上に上って先ほど顔を合わせた校長から証書をもらった。そして、学年全体に向き礼をしようとしたその時だった。
ふと視線があったそこにいたのは、9年前自分を痛めつけ続けた兄達だったのだ。
兄達も驚いていた。拓也は、足がすくんでいた。
あいつら、くそっ!こんなとこにまで!でももう俺はあんな奴らと家族じゃない。そうだ、家族じゃないんだ!
拓也はその場で兄達に微笑み、全員に向かってお辞儀をして、壇上から降り席に着くとチャラそうな男の子が一人話しかけて来た。
「おい佐伯…いや、拓也よろしく!俺は拓斗っていうんだ!名前似てるな!」
拓也はびっくりしたが、拓斗がとても話しかけてくれるので、友達になることができた。
萌も友達ができているといいんだが、、
「では、今から新入生は身体検査があります。第二体育館に集まって下さい。」
この他にも体育館あるのかよ!広すぎるだろ!
拓也は、さっきから驚きの表情ばかりだ。すると、拓斗が、
「なに変な顔してんだよ!行こうぜ!」
「あ、うん!」
そして拓也が入学式会場であった、第一体育館から出ようとすると、こちらを睨みつけている、三人の男達がいた。
「拓斗!先に行っててくれ。」
「どうしたんだよ?まぁ、いいけど、遅れるなよ?」
「うん!」
そう言うと拓斗は、歩いて行った。
すると男達、かつての兄達が歩いて来た。
「なぜお前が、無能力者がここにいる!」
それは、小さい声だがとても恐ろしい声だった。だが、拓也は臆さなかった。
「それは能力者になったからです。」
「あ?」
「じゃあー、証拠は?」
かつての兄達は、すごい顔で睨んで来た。
あまり見せたくないけど、
「少しだけですよ?」
そう言うと、拓也は手の上に息を吹きかけた、すると小さな渦巻きが手の上で出来た。
「!!」
兄達は、びっくりして声が出なかった。
「どうやって手にいれたんだ?何をしたんだ!」
すごい剣幕の兄をなだめるように、拓也は言った。
「あなたたちが気づかなかっただけで、この力は元々僕に備わっていた力なんです。」
それを言うと兄達は、舌打ちをして出口へと歩いて行った。
「ふぅ〜。あの人達は、怖いなぁ。」
誰もいなくなった体育館で、拓也は一人つぶやいた。
次回!拓也の能力発覚!!お見逃しなく!!




