エクスクルード
ふうー!
「やべっ!身体検査もう始まってる!」
ふと時計を見た拓也は顔に冷や汗をかき、誰も居ない静まり返った体育館を後にした。
バンッ!
拓也が勢いよくドアを開けると、皆の視線が痛いほど突き刺さる。
もう半分以上終わってるな〜。しまったな〜。
生徒は半分以上が教室に戻った見たいで、第二体育館の人口密度は、とても低かった。拓也が、落胆していると、
『遅い!!』
威勢のいい聞き覚えのある怒声が、
「萌!と拓斗じゃないか!お前ら早く行ったからおわったんじゃないのか??」
「拓也を待ってたの!でも、こんなに遅いと待ってられないから教室に戻ります!!」
怒る萌。
「そうだそうだ!」
同調する拓斗。
ん?てか、拓斗って萌と知り合いなのか??
「拓斗って萌と知り合いだったのか??」
拓也が訝しげに聞いてみると、
「違うよ!私が検査終わって待ってたら拓斗君が“拓也まだかな〜”って呟いてるの聞こえたから"拓也って佐伯 拓也のこと?”って聞いたら意気投合しちゃって、。」
『今では仲良しなんだよ!』
と言って肩を組み合う二人。
は〜、バカだ。でも、萌は幸せそうだな。絶対守ってやるからな。
拓也は再び萌を守ると決めた。
「じゃあ私達は、クラス行ってるね!」
「おう!あとでな!」
「あとで拓也の能力教えてね!あ、自己紹介で言うからいいか!」
「そ、そうだな…。」
俺が怯えられるのはいいが、萌が怯えられるのはいやだなぁ〜。拓斗はどうおもってくれるんだろ。
拓也はニコニコと手を降って体育館から出て行く二人を見送って、検査場所へと急いだ。
「これかな?」
拓也の目の前には、白い個室が計十個並んでいた。
「ここに、ならんでればいいかな…。」
そして、拓也は右から三番目の個室の前に行った。どの個室も一人二人は並んでいるようだ。
この分なら、すぐおわるな。
拓也がそう思って、体を楽にさせていると、
トントン
誰かが拓也の肩を叩く。
拓也振り向く
誰もいない
拓也前向く
落ち着け俺!多分幻覚だよ、なんか疲れてるんだよ。後ろに人がいないのに肩が叩かれるわけ……。
トントン
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!って何よ!驚かせないでよ!」
声のする方(俺の腰辺りに頭がある)に目を向けると、そこには校門で会った、、
「幼女!!」
「誰が幼女よ!!JKよ!JK!!」
小さい手でポカポカと叩いて来る幼女。
か、可愛い。俺はいつから妹萌になったんだ?ってまぁ、そんな事は置いといて。
「で、何の用??」
「くっ!、、散々からかったくせにっ!、、、まぁいいわ!あなたにあった時からあなたとはどこか縁を感じるのよ。だから話しかけてみたのよ!」
ない胸を精一杯強調するように背を反って言ってくる幼女。
「なんだ??新手の告白か?残念ながら俺は女は作らな」
「ち、ち、違うわよ!!誰があんたなんかに!そういう意味じゃなくて、同じ力を感じたのよ!」
と言うと幼女は、まだ幼い顔にある青いクリクリの瞳でまじまじと僕を見たかと思うと金髪のツインテールを手ではらって拓也の耳に口を近づけた。
届かなかったので拓也は背を少し縮める事になる。
「あんた神力使いでしょ?」
幼女は、小さい声で呟くように言って来た。
「!!」
拓也は驚いたが幼女がさっき言っていたことを思い出した。
「てことは、あんた神力使いなのか??」
「………そうだけど?あんたは?」
「おお!幼女なのに神力を!偉いぞーお兄ちゃんが撫でてあげる!」
「えっ!本当??ありがとう!」
拓也が金髪の髪で染まる頭を撫でると、くすぐったそうに体を揺すりながら大人しく気持ち良さそうに撫でられる幼女。
か、可愛い!!
「んっ、んん〜って違うわよ!!」
「お!ナイス突っ込み!」
「ったくもう!はぁ〜、あたしは、アンネ、アンネ・プラッテスよ。あんたは?」
「俺は佐伯 拓也。お兄ちゃんと呼んでくれ、アンネ。」
「うん分かったわ、お兄ちゃん。で、お兄ちゃんは、、、、って違うわ!!」
全力で突っ込むアンネにますます愛着が湧く拓也である。
か、可愛いすぎる!!!
「まぁ〜からかうのはこの辺にして…。」
「あんたねぇ〜!!」
「まぁまぁ!分かったよ!言うよ!そう、俺も君と同じ神力使いだ。」
「やっぱり!能力は?」
「目の前の幼女を強制的に妹にする力だ!」
「嘘つけ!」
全力で否定するアンネも可愛いなぁ〜。
「で、本当になんなの?あんたの能力!」
「あ〜、風かな?」
「風?なるほど、私は水よ!ところでこの学校にはもう一人神力使いが来たって話だけど?」
「あー来てるよ。」
「そいつの能力は?」
困ったな〜、教えるべきか?悪い奴にはみえないんだがな〜。
「アンネはどうしてこの学校に来たの?」
「え?私より強い奴を探してるのよ。イギリスに居ないから日本に来たのよ。」
なるほどアンネはイギリス人か、、ってちょっと待て!この子とんでもない事を言ってきたぞ?私より強いやつ?どこの、ジ○ンプ漫画の主人公だよ!
「てことは、、、」
「次の人!こっちに入って〜!」
拓也が言い終わらない内に身体検査の順番が回って来てしまった。
「じゃあな!アンネ!同じクラスだったら良いな!」
「ええ、そうね!拓也!」
アンネは屈託の無い笑顔で、拓也を見て来た。
ーーっ!可愛すぎるだろ!はぁ〜、あいつ絶対俺と戦うよな
〜。憂鬱だ。
拓也は、心の中で愚痴りながら個室へと入る。中には、白衣を来た金髪の女性、名札にはマリアとかいてある。しかしその人しかおらず、助手などもいないようだ。
お!アンネと同じイギリス人か?
と思いながら、席に座る拓也。すると女性が、
「では検査しますので、上の服を脱いで下さい。」
と、凛とした美しい顔立ちで言って来た。拓也が服を脱ぐと、
「では、後ろ向きになってください。」
拓也が回転椅子に座りながら椅子ごとくるりと回る。そして、女性、マリアは動いた。マリアは自分の背中に会ったであろうナイフを取り出すと同時に、拓也の引き締まった背中へと突進した。だが、拓也は分かっていたかのように動きをよけた。
「な、なんだと!?」
マリアは、拓也の予測外の動きに体がついて行けず、顔から地面にダイブした。
「くあっ!」
持っていたナイフがこぼれ落ちると、拓也がおもむろに右手を出して少し左に動かした。するとマリアの手、足が一気に見えない物によって縛られる。
「くっ!ウィンドめ!」
「なんか、その名前かっこいいな!で、どういうことかな?これは?」
恨めしそうにこちらを睨むマリアを、負けず劣らずの眼力で睨み返す拓也。
「……殺せ。」
「は?なに言ってるの?可愛い子は殺せないの!ごめんね!」
そういって拓也が椅子に座り直す。
「私は任務を失敗した。どの道私は、殺される。ならば、お主の様な強き者の手で死にたいのだ!」
大きな目を潤わせながらも、凛とした顔で訴えてくるマリア。
「見たところ悪い奴ではなさそうだな!マリアさん?かな?俺は拓也って言うんだ!よろしく!」
「なぜ優しくする!情でもかけているつもりか!なら要らぬ心配だ!今すぐ殺せ!」
もう、マリアは泣きそうな顔をしていた。
「何がお前にこんな事させてるんだ?情をかけるなんて冗談やめてくれよ!あ、今のギャグだよ?」
「なぜそなたは、そんなに優しいのだ!私は、今そなたを殺そうとしたんだぞ!」
「スルーですか!あ〜。そうだなぁ、結構危なかったんだぞ今の!」
「ならなぜ?っ!」
「悪い奴には見えないからかな、マリアさん自体気付いてないと思うけど、ここに入って来た時から、マリアさんどこか悲しげな顔してた。」
「そんなことはっ!」
「見たくないんだよ、誰かの悲しい顔は!もう二度と。」
拓也が真剣な表情で、呟くと、
「負けだよ。佐伯 拓也。」
と言ってマリアが、全身の力を抜いた。それを見た拓也も右手を左に少しうごかして、マリアの手と足にまとう物を全て亡くした。するとマリアは、呟くように言った。
「負けられなかったんだがなぁ、負けてしまったよ、カフマ。」
そう言うとふと笑みをこぼした。
「カフマって誰?」
拓也が聞くと、
「夫だよ。私のね。」
そう言うと、マリアは悲しげな顔をして、
「ある組織に捉えられてな。夫を助ける代わりに、佐伯 拓也を殺せと言われてな。でも良いのだ!私が失敗したと分かったら夫は殺される。そしたら私は、生きている意味が無い。だからお願いだ、優しい戦士よ、私を殺してくれないか?」
今まで見た中で一番の笑顔を拓也に向けるマリア。
「そんなのできるわけっ」
拓也が叫ぼうとしたその時!
「じゃあ〜!お言葉に甘えて!」サクッ
拓也が目の前にしたのは、今まで居なかった茶色がかった髪をした男がマリアの腹にナイフを投げそれが突き刺さる所だった。
「くはっ!」
血を吐き出すマリア。その白い肌が真っ赤に染まって行く。
「おい、お前誰だ?」
拓也が低く唸るような声で喋る。
「あれ〜?おこっちゃったかな〜?僕はマルクって言うんだ!よろしく!」
無邪気なその笑顔には、まるで感情がなかった。
「マ、マルク様!ゲホゲホ!なぜ、こ、こに?」
マリアが血を吐きながら苦しそうに聞く。
「あ〜!そうそうあんたの見張りだよ!ここには、今着いたんだけどね!あ、あとビッグニュース!!」
マルクは、感情の無い笑みをマリアに向けて言い放った。
「あの〜、、何だっけ?カ、カフ、、カフマ!!そう!カフマ!あいつ殺しちゃった!」
『!!!』
両手を頭の後ろに付き余裕の表情で言い放った言葉に、マリアと拓也は絶句する。
「だってあいつ、妻は大丈夫ですか?ってうるさいんだもん!しかも、あんたも負けてるし!マリアさんだっけ?だから、死んでね?マリアさん!」
そう言うとマルクは持っていたナイフを、自分の顔の高さに投げて、そのナイフに息を吹きかけた。すると息を吹きかけたナイフはとんでもない早さでマリア目掛けて飛んで行く。しかしそこで見えない壁によって空中で静止した。
「!!、、へぇ〜!君が拓也君かぁ〜!君とは一度本気で殺し合いをしたいね!楽しそうだなぁ〜!でも、ゴメンね?時間見たい!」
するとマルクの足元に黒い空間が広がる。まるで宇宙のようだ。
「じゃあね!拓也君!次会う時が楽しみだよ!」
そう言うと男は、黒い空間に呑まれて行った。
「マリアさん!」
拓也は一目散にマリアに走って行く。
「拓也、残念ながら夫は死んでしまった様だ。でも良いんだ!やっとあの人と静かに暮らせるから!」
そういったマリアの目は最早開いておらず、声も蚊のなくような声だった。
「くそっ!くそっ!!なんで!こんな人がこんな目に!俺がナイフを止めていればっ!」
自分を責める拓也にマリアは、言った。
「そなたが悪いのではない。これは運命なのだよ。これは、私たち夫婦の運命。だから悔いは無い。拓也、やさしき戦士よ。そなたは大事な、守りたい存在はいるのか?」
マリアが消え入りそうな声で聞いた。
「ああ!居るよ!」
「そうか、それはい、良い事だ。拓也そなたは、この後この様な敵から何度も攻撃をされるであろう。だが、絶対に死んではならんぞ。そなたが死ぬという事は、守りたい存在を守れなくなることだからな。」
「ああ!わかったよ!約束する!だからもうしゃべらないでくれ!」
「最後に一つだけいいか?」
マリアが肩で息をしながら問いかける。
「なんですか?」
「お前を襲ったのは、エクスクルードと言う組織だ。あいつらの目的は知らんが気を付けてくれ。奴らはいつもそなたを狙っている。そしてあいつらの言葉で一番不思議だったのが神眼だ。」
「!!!」
「あやつらは、神眼がなんとか言っておった。まぁ、そなたには関係ないかもしれんがな。」
拓也は、一瞬で理解した。
俺を殺しに来たのは、俺が目的ではない!萌なんだ!最初に邪魔な奴を消そうとしたんだ!
拓也が顔をしかめると、
「もう私は、逝くよ。優しき戦士よ、私のようになるな、よ。」
拓也が持っていたマリアの体から一気に力が抜ける。マリアの首が下に垂れる。
「くそぉ!くそぉぉぉぉぉ!!!」
拓也は叫んだ。自分の不甲斐なさを嘆いて。
「エクスクルード!!!マルク!!!」
お前らに奪わせはしない!!!俺が命をかけて守ってやる!!!マリアさん、ありがとう。あなたの事は、一生忘れないよ!
そして、拓也は身体検査室から出て、職員室へ行こうとした。すると目の前には、アンネが居た。
「あたしもあんたの部屋の異変に気付いたのは、今なの。エクスクルード。私も協力するわ!」
そう言ってアンネは、右手を差し出して来た。
「悪いが女の子には、関わって欲しくないんだ。」
「あら?あなたの実力は知らないけど、あなたとタメはる自信があるわよ?」
と自信満々で言葉を返して来るアンネ。
「はぁ〜、だが俺たちは下手にここを離れられない。狙われてるのは俺と萌、、神眼の子だ。神眼の子はこの学校にいる。だから、俺たちは襲って来た相手に反撃して打ち砕くしかない。この先は辛いぞ?ついて来れるのか?」
拓也が不安げに呟く。
「誰に言ってるの?イギリス一位の能力者によく言えるわね?」
「そうかい。」
そう言うと拓也は、アンネの右手を握った。
「力を貸してくれ。アンネ・プラッテス。」
「初めからそう言えば良いのよ!」
そして二人は、職員室に向かった。今起きた事を話しに。
動き出したエクスクルード!!
意味は、言うと面白くないよね!ではでは!!




