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「よお、タカ。今日は早いな。」
まだ日が昇り始めて間もないころ、目が覚め外の空気を吸いに行ったタカにシュンが話しかける。シュンの服には新鮮な泥がついておりタカはまた彼は夜中どこかに行っていたのだろうと推測できる。
「よお、シュン。またガラクタを拾ってきたのか。」とタカはシュンが手に抱えているものを見て答える。彼は分厚く大きい、砕けたガラス片を持っていた。
「ガラクタじゃねぇぜ。いつも言ってるだろ。きっと昔の栄えていた人間が何をしていたか知る手掛かりになるぜ。」とシュンは答える。
「それでどうやってカードが作られたか調べて、自分で作るってか。無理だろ。」タカは話始め「それに今回のは正真正銘ガラクタじゃねぇか。ガラスを作るカードなんかたくさんあるぜ。どうせ誰かが作って捨てたものだろ。」と続ける。
「誰が食えもしないのに大きい分厚いガラスを作るんだよ。きっとこれは昔の人間の遺産だぜ。」とシュンは反論する。
「じゃあ聞くが、昔の人は食えもしないそれをどうして作ったんだよ。」とタカも納得せず聞き返す。シュンはそれはわからないが、と前置きし妄想を始める。
「昔の人はガラスの家に住んでいたかもしれねぇし、大きいガラスは綺麗だから作ったのかもしれねぇ。そうだ!昔の人は何もしなくても生きていけたって伝説もあるだろ?それが本当で暇つぶしにでっかいガラスをカードで作ったんだ。」
シュンが目を輝かせて笑いながらそういうとタカもつられて笑って言う。
「馬鹿が。家はガラスでできてねぇよ。俺らの住処を見ろよ。ガラスじゃねぇだろ。それになんで暇つぶしにガラスを作るんだよ。」と始めさらに「そうだな、昔は降る雨が酒だったんだ。それはそいつをためるためのでっかいビンの破片っていうのはどうだ?」と楽しそうに話すシュンにつられてタカも思わず妄想する。それを聞いたシュンは大笑いしながら「そいつは最高だな。」と言う。二人は妄想を続けバカげたアイディアを出してはお互いに笑う。
「なあ、タカ。」シュンが不意に口に出す。「雨は、どうして降るんだろうな。どっかでカードが降らせてるのか?じゃあなんで雨は酒じゃねぇんだ。太陽は、カードなのか?なんで夜にはどこかへ行くんだ。昔の人は、なんでカードを作ったんだ?役に立たねぇカードもあるし、変なデメリットがあるカードもある。所詮カードは遊びってことか?ならカードより便利なものが昔はたくさんあったってことか?そんな事あり得るか?実はカードは作られたんじゃなくて、もともとあったんじゃねぇのか?じゃあ本当に昔の人なんていたのか?カードは、何なんだろうな。」
シュンはタカに問う。その表情はわからないことばかりで混乱する、と言ったものではなく世界は分からないもので溢れていて楽しいだろ、ワクワクするだろとタカに問いかけるようなものである。その問いの答えをもちろんタカは知らない。シュンも自分自身の疑問が漠然としていて綺麗にまとめることができないし、タカに自分を納得させる答えを求めていない。彼はただ共感してほしいだけである。
「死神倒したら、調べてみようぜ。どうやってかは見当もつかねぇが。」とタカは答える。シュンはその答えに満足し、「ああ、絶対楽しいぜ。」と答えると建物の中に入って一休みしようとする。しかしぼろきれにくるまり目を瞑っても彼の脳内の世界は広がり続け、彼はその日、なかなか眠ることはできなかった。




