宰相家の皆様
宜しくお願いいたします。
ひとしきりアメリアに撫で回された後、お世話をしてくれる侍女のメイベルと、侍女長のアミルさんを紹介され、私にあてがわれた部屋に連れてこられた。 此方が絵里様が今日からお使いになられるお部屋ですと、言われた部屋は、続き間等なく、トイレ、浴室の揃ったいワンルームだ。但し日本で暮らしていた絵里の部屋の10倍はありそうな。可愛らしい内装ではあるが、いかんせん調度品が全てにおいて大きい。 何サイズって言うんだろう、あのベッド… 等と物珍しく周りを見回していると、
「絵里様、お疲れではないですか? まだ、夕食には時間があります。軽く何かお召しになられますか?」
「そうだ、私、こっちに来てからまだ何も食べてないやん。色々あって食欲なんて湧かへんかったけど、言われてみればお腹空いて来たかも。」
「では、ご用意致しますのでしばらくお待ちくださいね。」
程なくするとサンドイッチとフルーツを持ってきてくれた。早々に絵里は全てを食べた。
絵里の身体の大きさからして、少々量が多かっただろうかと心配していたメイベルだったが、呆気なく全てを食べた絵里に驚いた。
「ご馳走様でした。美味しかったです。」
「絵里様無理をしておみえじゃですか? 食べれるだけでお残しなされてもよかったのですよ。」
「えっ、全然大丈夫。腹半分ってとこかな♪」
そうなんです。絵里は痩せの大食い。基本身体を動かす事が大好きな絵里にとって食事は原動力。出されたものはなるべく残さない用にしているのだ。どんだけ食べても太らない、世の中の女性を敵に回すような身体。きっとこちらの世界でも皆に羨ましがられる事だろう。
メイベルも、こんなに華奢でお可愛らしいのに気持ちよく全てお食べになられて、ご用意させて頂く此方も気持ちがいいわと思っていたのだった。
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あれからやることもなく、部屋で何時ものストレッチをやっていたら、宰相様一家が皆揃ったので、夕食をとメイベルに呼ばれ食堂に。 どうやら絵里が一番最後だったらしく皆既に席に着いていた。二人、知らない顔の男性と男の子が、おそらく二男のシャベールと三男のクリスティンだろう。
すると、クリスティンが近づいてきた。
「やあ、初めまして可愛いお嬢さん。僕はシャベール、歳は21、宜しくね♪ こっちの世界の事で分からない事があったら何でも聞いてね。手取り足取り教えてあげるよ~。 22歳の女性だけど、見て驚くなよとは父から言われてたけど、僕の方が年上に見えるよね~、何か庇護欲をそそられるよ~。 どう、今晩一緒に寝てあげようか?」
ウィンクと共に手の甲キスをされる。少し垂れ目気味の大きな目、その下には泣き黒子、襟足は短めで長めの前髪を横に流している。母親のアメリアと同じピンクシルバーの大きなウェーブのかかった色男だが、軽薄そうだ。
「初めまして、シャベールさん。手取り足取りは必要ないので結構です。それと寝るのは一人がいいです。」
素早く手を振り払い、シャベールを睨み付けた。
「何て態度なんだよ。シャベール兄さんに失礼だろ。女ならもっとしおらしくしてろよ。」
クリスティンが椅子を蹴り倒し立ち上がる。なんだなんだクリスティン君よ、可愛い顔に似合わずいきなり喧嘩腰かい?。此方はアラスロンと同じくシルバーグレイの耳下までのフワフワ癖毛(ストレートが取れかかっててる)に、グレイの瞳。確か14歳なのに何故、私より頭一つ分大きいんさ。何で顔付き私より大人っぽいんさ。心の中で不満をもて余しながらも、とても14歳には見えないクリスティンに向かって満面の笑みをむける。
「ご免な、女らしくなくって。こんな私やけど仲良くしてな。」
「そして皆さん、絵里と申します。これからお世話になります。色々と不慣れでご迷惑をお掛けすると思いますが、宜しくお願いいたします。」
皆を見回して、きっちり、日本式のお辞儀をしておきました。
「絵里様、遠慮なさらず我が家で気楽にお過ごしください。出来るだけの庇護をさせて頂く所存です。」
と宰相様らしいお言葉。
「そうよぉ~、絵里さん、私の事は母親だと思ってね! そうだわ、早速明日にでもお買い物に行きましょう♪」
相変わらずなアメリアさん。
「失礼なのは、クリスティン、お前のほうだぞ。それに、シャベール、絵里をお前が今まで相手をしてきた女性と一緒にするんじゃない。」
兄弟を諌めてくれるアラスロン。
「へ~、絵里はこの僕の誘いを断るんだ。」
さっきまでの色気はどこえやら、面白そうな目を向けてくる、シャベール。
「・・・・・」
顔を赤らめて俯いてしまったクリスティン。
「さあ、絵里様もお座り下さい。お腹が空いたでしょう。皆で頂きましょう。」
宰相様の声かけで初めての宰相家での晩餐が始まった。
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