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『見つけ屋"さかえ"』~失くし物?ここから助かる方法?探し人?どんなさがしものでも見つけ出します。~  作者: ふるなゆ☆


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16/23

16.

サカエ「フシミは釈放(しゃくほう)されたみたいです。」



 その言葉を聞いて、フジ、アカイ、そしてミズキは浮(う)かない顔をしていた。



サカエ「納得(なっとく)いかないですよね?」



フジ「そりゃあね……。」


アカイ「ミズキを大変(たいへん)な目にあわせたのに何にも反省(はんせい)しないなんて許(ゆる)せない。」



 ミズキは悲(かな)しい表情を浮かべている。



サカエ「やはり、そうですよね……。なので、検察(けんさつ)審査会(しんさかい)という手を使います。」


フジ「なんか聞いたことあるっすね。教員免許(めんきょ)は国語だから、社会は疎(うと)いんすよねぇ。」


サカエ「簡単(かんたん)に言えば、検察官(けんさつかん)により不起訴(ふきそ)にされた件(くだん)を市民の意見でもう一度考え直(なお)す方法です。」


フジ「あー、なるほどね。」


サカエ「もしやるとなるとフジさんやミズキさんの協力(きょうりょく)が必要(ひつよう)ですね。」


ミズキ「わたし……がんばるよ。」



◆



 H×H市——。

 N市の隣(となり)の市であるH市とさらに隣にあるH市を合わせてそう言われる。


 サカエはそこへとやってきていた。



サカエ「ここが地方裁判所(さいばんしょ)。」



 地方の警察署や裁判所などが建(た)ち並(なら)ぶ。



 サカエは裁判所の中に入った。

 そして、検察(けんさつ)審査会(しんさかい)事務局(じむきょく)というところへ『検察審査(けんさつしんさ)申立書(もうしだてしょ)』を提出(ていしゅつ)した。



ニシオ「提出(ていしゅつ)したか?」


サカエ「はい。」


ニシオ「じゃあ、次は審査員(しんさいん)が納得(なっとく)できるよう、意見書(いけんしょ)作成(さくせい)だな。フシミのロボット化の情報(じょうほう)を集めていくか。」


サカエ「そうですね。ここからは見つけ屋としての本領(ほんりょう)です。」


ニシオ「じゃあ、その前に腹が減(へ)っては戦ができぬというし、腹拵(ごしら)えからだな。なんか奢(おご)ってやるよ。」


サカエ「ありがとうございます。」



 H×H市名物の焼肉(やきにく)定食(ていしょく)屋。

 二人は席に座(すわ)る。



ニシオ「おっ、名物のゴンだ。」



 二足歩行のキツネのマスコットキャラが注文(ちゅうもん)を取りにきた。



ゴン「ご注文は?」


ニシオ「ステーキ定食(ていしょく)。」


ゴン「焼(や)き方は?」


ニシオ「弱火でじっくり。」


ゴン「あいよー。」



 ニシオとサカエはステーキ定食を十分に味わった。



サカエ「とりあえず、ロボット化について病院にいって意見を貰(もら)ってこようと思ってます。」


ニシオ「そこで死亡(しぼう)判定(はんてい)とか欠損(けっそん)判定とか出れば、一気にクロになりそうだし、重要だな。」


サカエ「はい。」

 


◆


 サカエは大きな病院にロボットを見せた。


病院の院長(いんちょう)「生きてはいますね。ただ、返事(へんじ)などはない。強いて言うなら、醒(さ)めない夢の中にいるような感じです。」


サカエ「ふむ。」


院長「欠損(けっそん)というよりも代替に近いんでしょうね。人間のソレよりも完璧(かんぺき)で、寿命(じゅみょう)や欠損がない故に不老(ふろう)状態(じょうたい)。」


サカエ「これは死んだ状態に入りますか?」


院長「非常(ひじょう)に悩(なや)ましい話(はなし)ですね。もし元に戻れるのならば、確実(かくじつ)に死んだ状態ではないと断言(だんげん)できるでしょうが……。」



サカエ(争点(そうてん)は元に戻れるかどうか。フシミは元に戻ろうと考えれば戻れると言っていた。ただ、そう考えることがないのなら、それは元に戻れるに当てはまるのだろうか?)



 サカエは病院を後にした。



◆



 サカエは何か手がかりを得るためにフシミの裏の仕事場へとやってきていた。



サカエ「きっと何か手がかりがあるはず。」



 そこに近づいてくる足音。



フシミ「おや、珍(めずら)しい客(きゃく)ですね。何のようですか?」



サカエ「釈放(しゃくほう)されたんだよね。けど、ぼくはまだ諦(あきら)めたわけじゃない。」



フシミ「……。何か法的(ほうてき)準備(じゅんび)のための捜索(そうさく)しているのでしょうか。民事(みんじ)裁判(さいばん)ですかね? いえ、検察審査会を利用(りよう)するという手段(しゅだん)もありますね。」



 サカエは唾(つば)を飲んだ。



フシミ「図星(ずぼし)ですね。私も知らなかった話ですし、検察審査会の可能性(かのうせい)が高そうですね。」



サカエ「……そうです。必ずあなたを罪(つみ)に問わせます。」



フシミ「そうですか。ただ、一つ疑問(ぎもん)があります。」



サカエ「疑問?」



フシミ「どうしてそこまでして私を訴えようとするのですか? あなた自身は関係ないでしょう。」



サカエ「ぼくは哀(かな)しみにくれるミズキさんを、フジさんを、多くの遺(のこ)された人を、救(すく)いたい。ただ、それだけですよ。」



フシミ「私が捕(つか)まれば救(すく)える……と?」



サカエ「少しは気持ちが楽になると思っています。」



フシミ「人の落ちていく姿はまさに滑稽(こっけい)。それが自身の地位を貶(おとし)めたものならより一層(いっそう)スカッとする。優越(ゆうえつ)に浸(ひた)る。そういうことですね。」



サカエ「そういうことじゃ……。」



フシミ「違うんですか? 下を見ることで自分はまだマシと思う。そのような苦しみを受け止めきれず上がりきれない人間の悪(あ)しき感情そのものだと思いますがね。」



サカエ「違う。」



フシミ「どうしてそう言い切れるのでしょうか。その醜(みにく)い感情以外に、あなた方にとって私が捕(つか)まることのメリットはあるのでしょうかね。」



 サカエは言葉につまった。



フシミ「一つ人間の心理について教えましょう。あなた方とは生まれ育(そだ)った環境(かんきょう)が違(ちが)う。年齢(ねんれい)が違う。彼女と私では性別が違う。相対的(そうたいてき)に見れば違うもの同士。」



サカエ「それがどうしたんです?」



フシミ「自身(じしん)とは違う人間の粗(あら)をさがして否定(ひてい)することで、自分を正しくしようとしているのです。つまるところ、他人を見下すことで相対的に自身を上げる。とても排他的(はいたてき)で愚(おろ)かしい、実(じつ)にくだらない行為(こうい)。」



サカエ「いや、そんなんじゃ……」



 フシミはその場を立ち去(さ)ろうとしていく。



フシミ「さて。私はここで失礼いたしましょう。まさかここに先客がいるとは思いませんでしたからね。」



サカエ「待って——。」



 フシミはスマホを取り出して耳に当てた。

 そのままながら電話をしながら去(さ)っていった。



◆



サカエ「残念(ざんねん)ながらめぼしい情報は得られませんでした。」


ニシオ「そうか。そうなると決定打(けっていだ)に欠(か)けちまうな。……どうするかだな。」



サカエ「一応、フジさんには『被害者(ひがいしゃ)本人への意見(いけん)陳述(ちんじゅつ)』をして貰(もら)おうと思っています。」



フジ「任(まか)せて。家族をロボットにされた生の声を届(とど)けるっす。」



 そこにミズキが手を挙(あ)げた。



ミズキ「わたしもやってみる。」



サカエ「本当ですか? ありがたいですけど、心の方はもう大丈夫なんですか?」


アカイ「ああ、無理すんなよ。」



ミズキ「みんな頑張(がんば)ってるのに、わたしだけなんもしないのは嫌(いや)だから。」



ニシオ「決まりだな。」



 ミズキの家にアサヒがやってきた。



アサヒ「お邪魔(じゃま)するぜ。ニシオのおっちゃん。今日も塾(じゅく)やるんだろ?」


 唐突(とうとつ)な展開(てんかい)に二人以外が首を傾(かし)げた。


ニシオ「悪(わり)ぃな。前誘拐(ゆうかぃ)された中学生の子に修行(しゅぎょう)をつけてくるわ。」


サカエ「それで、アサヒくんが教える側(がわ)に選ばれたってわけですね。」



ニシオ「選んだのはその子だけどな。まだ半分しか能力は使えねぇが、その初期(しょき)能力(のうりょく)が少し先の未来を見通(みとお)す力なんだ。」



サカエ「すごい。未来を見通す力……。」



ニシオ「んで、その未来は"地獄(じごく)"だったらしいんだ。」



サカエ「地獄……?」



ニシオ「その地獄を切り抜(ぬ)けるためのキーパーソンが異能力(いのうりょく)カードを持つアサヒと異能力カードを持たないミズキってことが見えてるらしい。それ以上は知らねぇらしいがな。」



ミズキ「……わたし?」



サカエ(いったいこの先、何が待ち構(かま)えているというんでしょうか。)



 そして、二ヶ月の月日が経ち、ついに検察審査会が開かれようとしていた。

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