10.
ナルミ「悪党は不老不死になりたがるのよね。そして手段を選ばない。それで不死の力を作れる私は狙われてきたの。」
サカエ(そう言えば、前にもホミさんとイリガくんが誘拐されたことがありましたね。その時はニシオさんがなんとかしてくれましたが……。)
警官「つまり、悪い奴に誘拐されたって可能性があるわけか。」
ナルミ「そうよ。」
アサヒ「確かに、そうだな。」
警官「そうなれば、一人の手に負えん。やはり、救援を呼ぶ方が良さそうだ。」
警官が自転車に乗った。
警官「自分は署に向かい、助けを呼んでくる。」
警官は急いでその場から去っていった。
ヤオ「じゃあ、ヤオたちはこのままさがすのを続けよう。」
四人で消えた二人をさがしていく。
ナルミ「そのホミちゃんってどんな子なの?」
アサヒ「わがままで、意気地無しだな。」
ナルミ「そうなの? 赤い布、返してくれるかしら。」
アサヒ「どーだろーな。」
ナルミ「布を装着すると、他の人からは取ることができなくなるのよね。それを作った私ですら外せなくなるの。」
サカエ「じゃあ、外すにはどうすればいいんですか?」
ナルミ「たった一つだけ方法があるわ。付けてる本人が外すことよ。」
サカエ「じゃあ、ホミさんが付けていて、返す気がなかったら、取り返せないってことですよね。」
ナルミ「えぇ、そうよ。」
そこに血眼になっているミズキとその両親と遭遇した。
ミズキ「サカエ。実はお姉ちゃんが!」
ミズキが近づいてくる。
サカエ「さっき警官に会って、そこで聞いたよ。ぼくも今さがしている。」
ミズキ父「いつもお世話になっております。」
社交辞令を軽く済ませて、捜索に戻る。
そんな時、川沿いから何やら騒がしい声がした。
急いでその方向に行く。
何人もの警察官が彷徨く現場。
遠くからチラッと見えたのは凄まじいほど年老いた老人だった。
◆◆
ホミ「わたしと付き合ってください!」
イリガ「ふっ——。……。」
ホミ(何この間。だめって……こと?)
イリガ「もちろんさ。」
ホミとイリガがカップルになった。
それから四日後——
ホミ「一度やってみたいことがあるんだけど。いい?」
イリガ「なにかな?」
ホミ「これを一緒につけて散歩するの。」
ホミが取り出したのは『永遠のリボン』だった。
ホミ「これをつけるとね一生一緒になれるんだって。」
イリガ「へー。面白いリボンだね。」
ホミは赤い布を左手首に巻いた。
イリガは右手首に巻いた。
ホミ「じゃあ、散歩しよっ!」
ホミとイリガは、結ばれた手を、勢いのあるブランコのように大きく振って町を探索していった。
水溜まりが仲の良い二人を反射した。
二人は公園へとついて、ブランコに乗った。
そして、同時にブランコを揺らしていく。リボンで手を結ばれたままのブランコ。それが二人の心をシンクロさせていく。
ホミ「リボンしたまま鉄棒とかできるのかな。」
イリガ「ふっ。無理でしょ。」
あっという間に時間が過ぎていく。
イリガ「そろそろ帰る時間だね。」
ホミ「うん。」
川沿いの堤防を歩くホミ。そして、そのすぐ近くで歩くイリガ。
ホミ(楽しかった。もっと一緒にいたい。)
その時、夕暮れになりつつある空に小さな流れ星が流れた。
緩やかな風が吹く。
その時、偶然飛んでいた蜂がホミの近くへと来た。
ホミ「きゃっ!」
蜂を避けようとするホミ。
ホミ「あっ!」
その時に堤防から転げ落ちてしまった。
それに引っ張られるイリガ。
小学生の力ではホミを引き寄せることはもちろん、引っ張られて逆に落ちていくことしかできなかった。
川の中へと落下した二人。
昨日の雨のせいで水位は高かった。
沈んでいく二人。
抵抗しようとすること——暴れると逆に水に飲まれていく。
ホミ(辛い……助けて。)
イリガ(何も……できない。)
二人を結ぶリボンが余計に二人の動きを邪魔した。緊急事態の小学生の二人にはリボンを外すことなど考え実行する余裕などなかった。
ホミ(もう……だめかも。助けて——。死にたくない。)
不運にもイリガの足が川底の石に引っかかってしまった。これでもう抜け出せなくなった。
ホミ(あれ……。私、生きてる?)
イリガ(ここは天国? いや、苦しいから地獄?)
二人は死んだ。
だけど、すぐに復活した。
永遠のリボンの摩訶不思議な力のお陰だった。
◆◆
赤いリボンで手を結ばれた二人の老人。その姿は見たこともないほど年老いていた姿だった。
アサヒがその二人の頭から手を離した。
アサヒ「過去を見たぜ。こいつらは間違いなくホミとイリガだった。」
その言葉で場が凍りついた。
警官たちも動揺する。ミズキたちは泣き崩れた。
ミズキ「そんな……。」
警官B「どうしてこんなことに。」
アサヒ「デートで二人で堤防の上を歩いていたら、落ちちまったんだ。強いて言うなら、落ちた原因になった虫のせいだろうな。」
あまりにも年老いた二人にまともな思考力はなかった。
だから——
ナルミ「赤い布を外せるのはこの二人だけ。けど、この二人にはもう極度の痴呆によって外すことすら考えられないはず。だから、もう二度と外すことができない。」
ハサミで切っても、包丁で切っても、布は切れることはない。
二人の身体は傷つかない。例え、真っ二つにされたとしてもすぐに元通りになって、復活する。
二人仲良く並べられた。
警官C「衰弱死ってどんな苦痛なんだろうな……。」
ナルミ「死ぬと大体五年分年齢を増す代わりに復活するのよね。」
イリガとホミは時間が経つ事に急に五年分老けていった。
サカエ「二人はもう死ぬことはありません。すぐに復活するからです。しかし、果たしてそれは——」
ホミとイリガは死んでもすぐに生き返った。
すなわち——不死身だった。
人はいつ死ぬか分からない。
だけど、二人は、
明日も——
明後日も——
一年後も——
百年後も——
例え地球が滅びようとも——
ホミ
イリガ
永遠に二人は一緒になり、そして死ぬことはなかった。
1章(前編)永遠のリボン編まで
はここで終わりです。
ひとまずここで更新をストップして需要の具合を見て続きについては考えます。




