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珠景色の春風鈴  作者: 美珠夏/Mishuka
第7章 祖母と孫
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春の夕空、旅立つあなたへ


 淡く綺麗な春の夕空。

 長い冬を超え、夢奥島(ゆめおくしま)にも春が来た。


 高校を卒業した明日香(あすか)は、友人と共に就職する街へと旅立つ。

 フェリー乗り場がある港で、色歌(いろか)明日香(あすか)と別れの時間を過ごしていた。

「卒業おめでとうございます。明日から、憧れの新生活ですね」

「うん! めっちゃ楽しみ」

「今日が最後では無いので、短めに思いを伝えて終わろうと思います」


 そう。永遠の別れではないのだ。

 明日香(あすか)が帰郷した際には再会を果たせるし、会いたくなったら水族館まで足を運べば良い。生きている限り、いつかまた会えるから。

 

「夢を叶えても、上手くいかない事や辛い事はあります。でも、それはどんな道に進んでもある事です。なので、夢見た職場で仕事を楽しんでください。明日香(あすか)らしく生きてくれたら、私も安心です」


「ありがとう。たまに連絡するから、その時はよろしくね」

「ええ。楽しみにしていますよ」

「おばあちゃん」

 明日香(あすか)色歌(いろか)に駆け寄ると、子供のように抱きついた。


「私、おばあちゃんの為に生きるから――」


明日香(あすか)……ありがとう。では、一つだけお願いをしても良いですか?」

 抱擁を解き、色歌(いろか)は孫娘の顔を見つめる。


「いつか、曾孫の顔を見せて欲しいです。それまでは、何とか生き続けますから」


「分かった。約束する」

 明日香(あすか)が差し出した小指に、色歌(いろか)も小指を絡ませる。

 約束を交わした後、明日香(あすか)栄一(えいいち)の方に目を向けた。


「おじいちゃん。写真撮って!」

 栄一(えいいち)に写真撮影を頼んだ明日香(あすか)は、色歌(いろか)の横に並びピースサインを作った。

 色歌(いろか)も同じようにポーズを取り、笑顔を見せる。

 祖母と孫。十八年間続いた二人の日常が終わった。


「あとで写真送って! 私、もう行かなきゃ」

 明日香(あすか)は荷物を持ち、友達が待つフェリー乗り場へと走って行く。

 少し離れた場所で足を止めた明日香(あすか)は、振り返って大きく手を振った。


「またねっ!」

 希望に満ちた表情の明日香(あすか)は、港に居る誰よりも輝いていた。

 違う場所で生きていく家族へ。

 また会える日まで、どうかお元気で――




《読者の皆様へ》

珠景色の春風鈴を読んで頂き、ありがとうございます!


第7章はここまで。

色歌と明日香の物語、お楽しみ頂けましたか?

次の章で、珠景色の春風鈴は完結します。❀


最後まで読んでいただけたら、嬉しいです!

評価や感想もお待ちしています(*´꒳`*)

これからも、

美珠夏/misyuka作品をよろしくお願いします!


作者の宮本 でした ˙ᵕ˙ )ノ゛

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