22.恋と執着の末(アリス視点)
お読み下さりありがとうございます
主人公不在が続いてます
次話主人公視点に戻る予定です
この身体に入ってから思う事は多々ある
まず、一番初めに思ったこと
とにかく見た目が可愛い
小柄な細身の体型だけど女子からみても理想的なメリハリボディに髪はラベンダーピンクに染めているのだけれどそれが完璧なまでに似合ってしまう
小動物のような可愛らしさがある
それでありながら性格も明るく快活、
運動能力が高く小学生から空手をやっていたらしく
黒帯の実力者だ
これだけ揃えば男女共に人気があるのも頷ける
そうして二番目に思ったこと
男性遍歴がすごい
いや、私も色々あって何人かお付き合いはしてきたし、高校生にしては付き合った人数が多いほうだと思う。そんな病み気味でちょっとやらかした私からみても、この子の歴代彼氏の多さは飛び抜けている
手の指に収まらないその数にも驚いたけど、それ以上にすごいのは、それだけの数付き合っていながら
その全ての男性とトラブル無く別れているってことだ
(え?意味がわからない…なんなんだこの子は)
記憶からみても相手に遊ばれていたわけでも、この子が遊んでたわけでも無い。本当に恋愛を純粋に謳歌して色々な理由で別れるのだけど
いつだって笑ってさよならをしている
そうして何事もなかったみたいに元彼と友人関係になっているようだ
この子の心境も相手の心境もどうなってるのかと気になっていたけれど、一歩外へ出てしまえば謎めいた部分が見えてきた
学校へ向かうまでに二人の元彼と電車やホームで出会し何でもない会話をしてバイバイする
学校へつけば至る所で元彼達とすれ違いハイタッチやバイバイをして
そうしてランチタイムや放課になると女子に囲まれ女子トークやセイオーゲームの話をする
(なるほど、元彼達は多かれ少なかれまだ朱音ちゃんに未練があるけど元彼同士で牽制してるわけか、
それと長い時間は女子と過ごすから女子からもしっかりガードされているわけだ)
そして、記憶の中でみても今まで一度だってよりを戻した相手はいない。
(元彼達もそれを知っていて望み薄だけど縁を切りたくないから友人関係を維持してる…)
この子のタラシ資質がチートなのかもしれない
異世界属性でいうなら間違いなく魅了属性だ
なぜか人がよってくる
老若男女問わず明らか好意的な態度で皆が接してくるし、恐らくゲームとかだったら悪役なんだろなって女子や男子もこの子を前にしたらただのツンデレ属性持ちになってしまう
彼女を取り巻く世界がやたら平和でこわいくらいだ
圧倒的魅力指数の持ち主なんだと思った
この身なら、お兄ちゃんに好きになってもらえる
それは確信へと変わった
そして、今日一日の学校生活で一番強く思ったこと
この子勉強ができない子だ
いや、違う。出来ないじゃない、やる気が全くない
から勉強ができてない!!
この子の身体は体力と活力はあるのに
なんだか教科書をみていると眠たくなってきたり、
急に甘いものが急激にほしくなってきたり
なんか人恋しくなってきたりする
それはとどのつまり…
(煩悩と欲求まみれで全く勉強に集中できない!)
って事で、
私は彼女の身に蓄積された記憶に引っ張られないように必死にそれらにあらがってなんとか授業を受け終わり放課後までやりとげた
自分を褒めてあげたい…
聖女だった時よりほめたい気分だ
幸いこの子とは一つ違い、私は高一途中までの勉学を終えていて、一年の差なら参考書とかでなんとかなるかもしれない。
大丈夫…一度勉強への興味を身体に染み込ませれば
集中力も自ずとついてくるはずだ
そう…だから後は…
***
すぐに行動しようと思っていた
自分から会いに行くつもりでいた…
あなたが好きだと告白するつもりだった、
でもそれはこの瞬間全く必要なくなった
「東堂朱音さん…ごめん。」
駅のホームで肩をかるく掴まれて、背後から聞こえたその声にはっとした
私は咄嗟に振り返りその顔を仰ぎみた
「俺の事全然知らないと思うけど…少し、いいかな」
おにい…ちゃん…お兄ちゃんーーー
「…」
何で朱音ちゃんに声をかけたの…
「お前誰だよって思うよな…」お兄ちゃんの目元が赤い…
「…」
「俺は横山尊すぐそこの男子高、鵬商の三年なんだけど、俺のことなんて知らないよな…?」
(いや、知ってるよ、私はなんでも知ってるよ…でも、この人は…)
「…知りません」きっぱりと発した言葉は、
少し自分でもびっくりするくらい冷たかった
「ああ、だよね…でも俺は君の事一年くらい前からずっと見てて、ああ、いやストーカーとか違くて…ごめん、怖がらないで…ただ、つい君に目が止まるというか、君はほら、目立つでしょ?気になって、目が離せないってだけで…えーと」
どんどん目の前にいるお兄ちゃんの顔が赤く染まって、耳まで真っ赤になって…
誰だ…これは?こんなのはお兄ちゃんじゃない!
(お兄ちゃんおかしい!キモい!いつもはもっとシュッとしてカッコいいのに、なんでそんなになってんの)
怒りにも似た気持ちがわっと込み上げた
目の前に立つのは狂おしいほど大好きだったお兄ちゃん、今だって何処が好きなのかと問われれば、永遠に語れるくらい大好きだって断言できる…
でも、この顔は好きじゃない…
私はこんな顔しらない…
こんな熱っぽい目を向けられた事なんてーーー
(一年くらい…ずっと?
私があっちの世界でお兄ちゃんを思いながらあのネックレスだけを支えに生きていた間にこの子を好きになったの?
…違う。あっちにいる間こっちの時間は進んでない、
だから…私があっちに行くずっと前から…)
嫉妬でおかしくなりそう…
まさかここで、告白するつもりなの…
そんなのダメ!お兄ちゃんはわたしのなんだから!
「…朱音さん?」
不安そうなお兄ちゃんの声にハッと我にかえった
「あ…えっと。ごめんなさい、びっくりして」
私は顔を逸らしてなんとかそんな言葉を返した
「そうだよな、びっくりするよな…
ああ、それで…」
お兄ちゃんが本題を告げよとしていたその時だった
「おーい、朱音ー、からまれてんの?」
(ですよね…元彼くん…新参者は即排除、こんな目立つ場所で告白なんかさせないでしょうよ…)
気づけば周りの人にジロジロ見られていて遠目には
声をかけてきた元彼とは別の元彼がこちらを見ていた。
(ああ、お兄ちゃんって…バカだったの?
なんでここ選んだ?いや、ここくらいしか朱音ちゃん捕まらなかったのか…)
お兄ちゃんの顔が赤から青く変わっていくのがみてとれた
(もーー、お兄ちゃん!)
「こっち来て!!」
私はいつもしていたみたいにお兄ちゃんの手を握ってグイグイ引っ張りながらホームから駅の外へ出た
「…あの…朱音さん?…朱音…ちゃん?」
「…」(どさくさに、まぎれて『ちゃん』呼びね、
はい、はい、はい、はい、)
手を握った先から好きが伝わってくる…
私は東堂朱音になったんだ…
お兄ちゃんの好みの女の子に…
だからイライラするのはおかしい
こんな感情を抱く意味なんてないんだ
私が東堂朱音になったんだから、
今から告白されるのも私、これからお兄ちゃんに愛されるのも私、お兄ちゃんの心を手に入れるのだって…
人気のない駅横のガード下まで連れてきてお兄ちゃんに向き直った
「ここで言って!…」
胸が焼け焦げそうに熱い…
でもそんなのは知らない、全部見ないふりをする
私の好きなお兄ちゃんの喉仏がゴクリと動いた
「…ずっと、ずっと…君を見ていた
君が好きだ。君と話がしたい。友達からでもいいから、付き合ってほしい、俺の事を知ってほしいんだ」
私がずっと願っていた言葉を受けたはずなのに、
掻きむしりたい程胸が軋んだ
(本当の朱音ちゃんだったらなんて答えてたんだろう)そんな事を考えて、だけど私の答えは決まっていた
「…良いよ。付き合おう」
握っていた手にもう片方の手が添えられてギュッと力が入った
「本当に!?いいの?」
お兄ちゃんの顔がパッと明るくなる
(そんな嬉しそうな顔…はじめてスマホ買ってもらった時以来だよね)
「うん。でも…友達からじゃ無くていい」
(腹の虫がおさまらないって…
こーゆう時に使うんだろうな…)
グイッ
私は空いた手でお兄ちゃんの制服のネクタイをつかんで私のほうへ引き寄せた
この小柄な朱音ちゃんと背の高いお兄ちゃんの身長差じゃ屈んでもらわなきゃ到底できやしない
「えっ…んっ」
小さく声をあげたその唇を食むように奪ってやった
1、2、3、4、5ゆっくりと数えるくらいその感触を堪能して唇を離す
どちらが先か、お互い息をついて瞳が交わった
お兄ちゃんの瞳が熱を持ちトロンとしている
手に入れた…
もう兄妹じゃない、こうゆう事ができる恋人なんだ
「お試しとか、周り口説いの好きじゃないの、私の彼氏になってくれる?尊くん」
「本気でいってる?…俺の事知らなかったのに良いの?」
少し戸惑っているように見える…
軽い女だと思った?
嫌われたらまずいのに、なぜか少し嬉しいような気持ちになって、私は一体どうであれば満足するのか
自分でもわからなくなっていた
「うん、だって…尊くん私のタイプだし、
それに…優しそうだから、私の事きっと大事にしてくれるんでしょう?」
「…それはもちろん。大事にするよ」
「よろしくね、尊君、私の事は朱音ってよんでね」
信じられないくらい滑らかに台本が用意されたみたいにそう言っていた
そうして、私達は恋人同士になった
***
あの日の再会と、告白から3か月経った
交際は順調で、まずはお互いを知ろうと言い出したお兄ちゃんとはあれからキスもしない清いお付き合いに止まっている
頭の良いお兄ちゃんが彼氏になったおかげで
勉強でわからない部分を丁寧に教えてもらえるようになった
「尊君のおかげで勉強でわからなかった所が理解できてきたよ、ありがとう。私勉強…ちょっと苦手で…」
ファミレスのテーブルを挟んで向かいにいる
お兄ちゃんが朱音ちゃんの顔の輪郭をなぞるように掌でふれてきた
大きなゴツゴツした掌で右頬を包みこまれて親指で
スリっとひとなでされた
私はその大きな手の感触が大好きでその手に頬を寄せて目を閉じた
「…勉強が苦手な所も可愛い…よくホームでテスト前に教科書開いてるじゃん?その時の考えてる事全部丸出しのコロコロ変わる表情がすごく俺のツボでさ、こんな近くで勉強教えられるのが嬉しい」
「…そんなに…みてたの?」
目元を赤らめて心底嬉しそうに笑うお兄ちゃんの姿に胸がザワザワする
「んん、可愛いなと思って見てた。
でも見た目がタイプてだけじゃないよ?
決めてはやっぱり性格かな、お年寄りとか妊婦さんとか困ってそうな人がいたら朱音は少しも躊躇わないで声かけに行くじゃん、それも毎回。それでそのまま色々な人と仲良くなっちゃって、そんなだから
朱音の周りはいつも人だらけなんだよな」
さっきまで頬にあった手はいつのまにやら
頭の上に乗っかっていてよしよしされている
これも有栖の時と同じだ
でも、同じなのはここまでだった…
頭からスルリと離れた手はそのまま下へ移動してこめかみに触れ耳の形を確かめるように動きだす
「尊君…ちょっと…」
私は羞恥とくすぐったさで少し怒ったような声を出した
「…朱音の付き合った男が多いのも知ってる…
朱音の側は居心地が良いし、なんか側にいると自分もいい奴になった気持ちになるんだよな…不思議と
朱音を見てると優しい気持ちになる…だからみんな朱音にすり寄って側にいたくなるんだな」
耳をいじいじしていた指は離れていった
だけど私を見つめる瞳はどこかギラついて見える
「…そんな目で…見ないでよ」
また、ひどく冷たい声が出た
「そんな目って何?自分じゃわからないな…
でも、朱音が嫌だって思うなら、嫉妬している目かな…それとも、独り占めしたいって思ってる、欲深な目かな…」
(両方だよ…わかってるならやめてよ
見ないでよ…だってその目は有栖にむけたものではないでしょう?
全部、朱音ちゃんに向けたものでしょう…そんなもの欲しくない!
私が欲しいのは私を好きなお兄ちゃんなんだよ…
こんな気持ちになるくらいなら、いっそ!…)
そう心で叫んだ本音に、私は暗闇から急に光が差し込んだみたいに視界が開けた気がした
心にずっとまとわりついていた黒い霧、その正体がなんなのかに気づいて、全てが繋がって思えた
「わたし……」
「朱音は俺の事タイプだって言ったけど、不安なんだ、ちゃんと好きになってもらえるのか…
好きになってもらえても…俺もいつか捨てられるのかもなって、そうなった時…俺は君の元彼みたいに聞き分けよく君の友達になんてなれないだろうから、俺と別れたくなったら、朱音は何も言わないで逃げたほうが良い。君の歴代の元彼の中でも、きっと一番執着して執念深くて…きっと面倒だ」
お兄ちゃんが自虐めいた事を言っている
とても惚れてる女の子に聞かせる話ではないと思う
まだ付き合いたてで振られる前から振られる事を念頭にいれているなんてバカみたいだと思う
ひとつひとつ、気づけば気付く程、
視野が開けて自分の気持ちが明白になっていく
私は、妹の有栖を愛してくれるお兄ちゃんが欲しかったんだ
いつだって優しくて、カッコいい
困っていたら助けてくれる頼れる私のお兄ちゃん
いつも優しい眼差しで、温かい手で私を安心させてくれるお兄ちゃんが好きで好きでしょうがなかった
その与えられる愛情に依存してもっと自分だけを愛して欲しいと願った…
でも、今ここにいるのは、私を知るお兄ちゃんじゃない、私の大好きなお兄ちゃんでは無い…
私のお兄ちゃんはもう…どこにもいない…
「…好きだよ…ずっと…」(お兄ちゃんが大好き)
私は泣きながら呟いた
そうして顔を覆って泣き崩れた…
「朱音…」
お兄ちゃんが慌て私の側へ来て抱きしめる
(…お兄ちゃん…ここファミレスだよ…)
いつだって優しくて、大人で、かっこいいお兄ちゃんだったけど、好きな子の前だとこんなになっちゃうんだね…
(東堂朱音ちゃん、勝手ばかりしてごめんね…
この身はわたしには重すぎる…
私は横山有栖だから、東堂朱音にはなれない。
ううん。違う、なりたくない
私は横山有栖でいたい
大好きなお兄ちゃんの妹のままでいたい
もうあのお兄ちゃんはいなくても、私が有栖でいる限りずっと覚えていられる
だからどうかお願い、有栖をもう一度、私にかえして…)
***
その日の夜、公園のブランコに座って私はある人を待っていた
じゃりっと砂を踏む音がして、私は顔をあげた
白パーカーの『神』様だった
「またせてごめんね、夜月君に声かけても良かったのに…」
「そうすると…どっちの『神』様かわからないから…私は貴方ともう一度あって話がしたかったんです」
「ご指名ありがとう」
手を胸にあてまるで紳士のようなお辞儀をする
パーカーに黒のダメージジーンズというラフな格好でなんだか可笑しくて笑った
「やっとわかったんです。なぜ、私が聖女に選ばれたのかーーー
わたしは…元の世界で一度死んだ。あるいは…死ぬ事が決まっていた、
だから神様は私を異世界に送ったんですね」
「ご名答、よく気付けたね花丸をあげよう」
「ふふ、花丸ですか?命を無駄にするような人間に?そんなのに神様が花丸なんてあげていいんですか?」
「うん、だって今、君は実質死んで無いし、もう自ら死のうなんて思ってもいないでしょ?」
「さすがですね、全部お見通しですか、私は『神』様の掌でコロコロと転がされてたって事ですね、
そう…私は兄の恋をしている姿を…朱音ちゃんと二人でいる姿を見たら、きっともう限界だったと思います。既に荒んでギリギリだったあの状況なら、私は死を選んでいてもおかしくない…本当自分が弱くて嫌になります」
「うん。君は弱い、弱くて脆くて、自分の命を自分のものだと勘違いするようなとんだバグだよ」
「バグ?」
「でも、君の本質は強い、強くて芯がしっかりした僕好みの魂だ。
だから消す前に試したんだよ、別の世界でその本質が芽吹くかを、そして君は見事にやり遂げた、」
「私に聖女をさせたのは、多くの命と向き合わせる為だったんですね、
そして、私はまんまと『神』様の策にはまって、
もう自ら命を捨てようなんて思えなくなった。
そして何も気づいて無かった私に気付きを与える為に約束の対価として、兄の思い人の身に成り代わらせた」
「その通り、あっちの世界に行ったら王子じゃなくてレイル王子を攻略してねっていったのも、朱音の推しだったからだしね」
「ああ、記憶みた時びっくりしました…あちらでどうなっているかと少し気になってしまいました」
白パーカーの『神』様は私の隣のブランコに腰掛けてギコギコと足をつけたまま揺らしている
「僕はね、ワンチャン、君にあげたつもりなんだよ?レイル王子はお気に召さなかったかい?
僕はもしかしたらあの溺愛に絆されて君はお兄さんを忘れてあっちで幸せになるかもしれないと期待してたんだよ、でもあっさり約束の日に帰ってきてしまった…君にこの世界の変わりようを本当なら知らせたくなかった」
「私は、知れて良かったです。
レイル王子の事も好きでしたよ、あんなにわかりやすく愛情を注がれて嫌な気になる訳ありません…
ただ、私はやっぱり兄を引きずっていて、あのネックレスは私の執着の塊で、あれが無くなったら私じゃなくなるような気がして、今思えば、自分で自分に鎖をつけていたようなものでした」
「…君は一度自分を殺した
その代償は、本当であれば魂の削除だったんだ。
でも、そのゴミ箱行きの魂を僕が見つけて拾った
だから君と言う人間はまだ存在している
でも、もう元の世界には戻らない。すでにこの世界の書き換えは終わっているから、僕達は一度いじった世界を元には戻さないんだ…この世界に朱音として留まらないなら。またあちら側で聖女として生きるしかない」
「わかっています。
それが、私が私を殺した罰なのでしょう?
本当だったら魂捨てられてた身だとしたら、こんな高待遇無いですよね!私聖女としてあっちでまた頑張ります!」
「そう、なら君を拾ってごちゃごちゃした『とりあえずフォルダ』に放り込んでみて良かったよ」
「…」(とりあえずフォルダ…)
『神』様はブランコから立ち上がりもう行くねと言った
「あの!名前…名前ってあるんですか?」
立ち去ろうとした彼の足が止まりクルリとこちらを振り向いた
「神様にそれきく?」
少し困った顔をして彼は笑った、そうして…
「レイ…『0』だよ」
そう言って親指と人差し指の先をつけて
OKのサインをみせた
「レイ…また、会えますか?」
「…どうかな、君が聖堂に毎日通って、可愛くレイに会いたいよって祈りつづけたら、気が向いたら会いにいくかもね」
「気がむいたらですか?」
「そう、気がむいたら、
神はね、曖昧な約束はしないんだよ。じゃあねアリス」
そう言ってあの日みたいに薄暗闇から現れた白い人はまた薄暗闇の中に消えていった
覚え書き
セナ19歳
ユリアナ18歳
由梨22歳
アリス16歳高1で転移→現在18歳になったばかり
朱音17歳高2
尊18歳高3
アリスとユリアナは同い年、ユリアナのほうが誕生日が早い
その他登場人物は整理中




