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第40話 失敗は成功のもと

「だめだこりゃ~......」


 安達も小声で呟いた。


 次の出番を待っているコウモリ役の福田も出るタイミングがわからなくなり困っていると福田の耳元でノブが何かを話し、それに対し福田がノブに握手をして田中達がいる舞台中央に走り出した。


「田中ーっ!! そこのうるさい田中――――――っ!! あっ、間違えた!! イナゴのうるさい王様――――――っ!! あっ、それも間違えた。偉大なるイナゴの王様――――――っ!!」


 福田のセリフで会場は大爆笑となり、この日一番の笑いがとれたのである。



 そして田中はハッとして我に戻り自分より笑いがとれた福田を睨みながら本来のセリフをしゃべりだす。


「誰だ貴様は!? 見た事のない生き物だな? 貴様は獣か鳥かどっちだ!?」


「いえいえ王様。私は獣でも鳥でもありあせん。私は王様と同じ仲間の虫でございます。私が住んでいる島に来られるとお聞きしお迎えにあがったのでございます」


「本当かっ!? な...なんか怪しいな......」


「いえいえ、とんでもございません。私は島の獣や鳥達に虫だからといって、ずっと仲間外れにされていたのです。今日は今までの復讐ができると思い喜んでイナゴの王をお迎えにきたのですよっ!!」


「そうだったのか。それはかわいそうだったのう。わしが来たからにはお前達虫には悪いようにはせんぞっ!!」


「はい!! 期待しております。その前に皆さん長旅でお疲れでしょうから私の住まいの洞窟にて休憩をとられませんか? 王様に食べていただこうとイチゴやメロンなどをたくさん隠しております。まずは私の住まいに来ていただきおもてなしをさせていただけないでしょうか!?」


「おぉ!! おぉ!! そうかそうか!! それも悪くないのぉ...。よしっ!! まずはお前の住処に行き腹いっぱいイチゴやメロンを食べようではないかっ!!」


 ここでナレーション


「こうしてイナゴの大群はコウモリの住処である洞窟に入り休憩をとるのであった」



「王様、まだまだ外に美味しい果物がありますので取ってまいります」


「おぉ、そうかそうか...。取ってまいれ」


 そしてコウモリが洞窟の外に出た瞬間、獣たちが大きな岩を洞窟の入り口にドンドン置いていき、大きな岩の間にできた隙間に鳥たちが小さい岩を埋めていった。


「ん? 何か外が騒がしいような...。まっいっか......」


 イナゴの王や部下たちは気にせず果物を食べていた。一生、洞窟から出られないとは知らずに......




 やったーっ!!やったーっ!!イナゴたちを閉じ込めたぞーっ!!


 獣たちや鳥たちは抱き合い喜びあった。


「チュンチュン。王様、イナゴたちを閉じ込めれたのもコウモリの作戦のおかげです。これを機会に前の罪は許してあげてはいかがでしょう!?」


 スズメが鳥の王にお願いすると獣の王も


「スズメ殿のおっしゃる通りですな。私は賛成だが鳥の王はいかがかな?」


「そうですな。私も異論はありません。どうじゃコウモリよ。これからは我々と一緒に仲良く暮らそうではないか......」


 コウモリは少し考えたあとこう答えた。


「前の罪を許していただき有難うございます。とても光栄であります。しかしながら私達はやはり獣でもなく鳥でもないコウモリです。またいつか私の子孫が皆様にご迷惑をかけてしまうかもしれません。なので今まで通り私達は洞窟でひっそりと生活させていただきたいと思います」


「うーん、そうかぁ...。それは困ったのぉ...。でも何か褒美をやりたいが......」


 獣の王がそう言うと鳥の王が一つ提案をした。


「それではコウモリよ。お前たちはここ数年洞窟で暮らしせっかくの翼があるのに飛ぶことも許されていなかったであろう。これからは夕暮れから早朝までの間は自由に飛び回れるというのを褒美として受け取ってはくれぬか?」


「おーっ!! 鳥の王よそれは名案だ!! どうじゃコウモリよ!?」


「はっ!! 有難き幸せです。先程、私も数年ぶりにイナゴの王のところまで飛んだ際にはとても気持ちが良かったです。そういったご褒美でしたら私達は喜んでいただきます!!」


「よしっ!! これで決まりじゃなっ!!」


 ここでハヤブサからも提案する。


「我々鳥達は、コウモリたちが飛んでいる時間帯はできるだけ飛ばないようにしましょう!!」


「それでは我々獣たちは、夜は出歩かずおとなしく家にいることにしましょう!!」


 猿も提案してきた。


 コウモリは鳥の王と獣の王の前にひざまずき涙を流し喜んだのであった。


 ここでナレーション


「こうして汚名挽回ができたコウモリは昼間は静かに洞窟で暮らし、夜になると外に出て自由に飛び回るとても幸せな生活ができるようになりました。皆さんもコウモリのように、どちらを選ぶか迷ったり裏切ってしまったり、そして失敗することもあるでしょう。でもこのコウモリのように失敗してもちゃんと心から反省していれば、いつかその失敗を取り返せるチャンスがくる時もあります。失敗は成功のもとです。これから皆さん、たくさん迷って、たくさん失敗して、反省をしてやり直して、そして最後には大きな成功をつかんでくださいね。これで演劇部による演目コウモリを終わります。最後まで観ていただき有難うございました」



 山口顧問が話終わると会場は七夕祭り以上の割れんばかりの大歓声が沸き起こった。


 ノブはその大歓声に鳥肌があった。


 そして横にいる山田部長を横目で見ると山田部長の目には大粒の涙が浮かんでいた。


 部長の涙初めて見たかも...。そう思いながらノブは観客の方を見ず、ずっと山田部長の顔を見つめているのであった。


お読みいただきありがとうございました。

これで第8章は終了です。


遂に次回から『最終章』が始まります。

どうぞお楽しみに(^_-)-☆

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