第35話 文化祭
文化祭といえば各クラス、各文化部がこぞって展示や出し物をする、運動会とはまた違った楽しい行事である。
理科室では理科部として昆虫の標本の展示をしている。
ノブと同じクラスの森重と村瀬はその受付係を任されていた。
「あぁ、暇だなぁ......」
「ほんとだねぇ......」
「何で俺達が受付係をしなきゃいけないんだよ!? 五年生や六年生もいるのにさ......」
森重がぼやいていると村瀬が答える。
「仕方ないよ。五、六年生はクラスでの出し物が四年生よりも凄い事をやってるらしいから、とても忙しいみたいだし......」
「でもずっと俺達にやらせなくてもさぁ......。お...俺だって六年生がやっている、お化け屋敷やヨウヨウ釣りとかに行きたいしさ......」
森重はそう言いながらふてくされた表情をしている。
「うちのクラスの迷路はどうなってるかな? お客さんたくさん入ってるかな?」
村瀬がそう言うと森重が
「さぁね。別に俺は迷路には興味ないし......。あぁ!! お化け屋敷に行きてぇ!! ヨウヨウ釣りがしてぇーっ!!」
すると理科室の入り口付近で聞き覚えのある声がする。
「何だよここは!? 全然お客さん来てないじゃないか!?」
「あっ!? かっちゃん!!」
村瀬が声の主が三組の平田であることに気付いた。
「平田一人かい? 珍しいなぁ」
森重がそう言うと平田は
「あぁ、俺は昆虫が好きだから見に来たんだけどさ。他の奴らはあまり興味がないって言うから俺一人で来たんだ......」
「へぇそうなんだぁぁ。まぁ、ゆっくり見ていってよ」
村瀬が笑顔で言うと平田は展示物のところに行かず受付の二人の所へ向いこう質問した。
「ところでお前等、五年になったら何部に入るつもりなんだ?」
「えっ!? 俺達? あぁ、俺達二人は卓球部に入るよ......」
「へっ? 卓球部? 森重は分かるけど村瀬もか?」
「どういう意味だよ? そうだよ村瀬も俺も卓球部に入るんだよっ!!」
「まぁいいや。それじゃ水井はどこに入るんだ? 演劇部のままか?」
「あぁ、あいつは高山、大石と三人で前からバスケ部に入るって決めてるぜっ!!」
「ふーん、そっか。バスケ部か......」
「で、かっちゃんはどこの部に入るの?」
「あぁ、俺はサッカー部かバスケ部かで迷ってるんだ......」
ピンポンパンポン......
アナウンスが流れだした。
「まもなく体育館にて演劇部による演劇コウモリが上演されます。教室内にいる方は全員体育館に集まって下い」
「おっ、ついに始まるぞ!! ノブ達緊張してるだろなぁ......」
森重が嬉しそうな顔で村瀬に言っている。
「とりあえず早く行こう!! かっちゃんも早く行こうぜ!!」
「おっ、おぉ......」
ついに開演!!
ゆっくり幕が上がると暗闇の舞台があらわれるが数秒後にパッと舞台上が明るくなり、そこには獣の王の山田が腕を組んで立っていた。
そしてその周りを他の動物達が取り囲んでいる。
山口顧問のナレーションが入る。
「昔々、とある島では獣の国と鳥の国の二つの国がありました。昔は二つの国は仲良しでしたが、ある時、獣と鳥どちらの方が強いか偉大かを言い合いしている内に争いになり、いつしか戦争にまで発展してしまいました」
「王様ーっ! 王様ーっ! 大変です!! 鳥の王達が近くの山まで来ております!!」
見張り係のウサギが左袖から現れ、慌てて獣の王のもとに駆け寄る。
「 「 「 「おっ!! ノブだ......」 」 」 」
大石、村瀬、森重、田尾、そして平田達が同時に小声で呟いた。
あれ? あの子、ウサギ役だったっけ?
文化祭に来ている母みゆきは少し首をかしげて不思議そうに観ている。
「ウサギよ。ご苦労であった。下がってよいぞ」
「ははっ!!」
ウサギはそう言いながら右袖の方に走って行く。
そしてノブはそこで鳥の王の衣装に着替えるのであった。
「王様、今度こそあの鳥達をとっちめてやりましょう!! わしの牙でけちょんけちょんにしてやりますぞっ!!」
サイ役の五年生女子ぽっちゃり系の後藤がそう言えば
「パオーン!! わしの長い鼻で鳥達を叩き落してやりますよ!!」
象役の六年天野が大きな声と怖い顔で意気込んだ。
「私の長い首を大いに活用して、ひっぱたいてやります!!」
キリン役の六年長身の時田も続けて言う。
「王様っ!! 僕の爪で鳥達をひっかいてやります。どうか私にお任せください!!ウキキッ!!」
猿役の六年小柄の望月も自信満々に言いだした。
そして最後にヒツジ役の木場とヤギ役の夏野が手をつなぎながら一緒に言った。
「メェ......王様ぁぁ......。私達は争いは好きじゃないから後ろの方にいてもいいですかメェ......」
「愚か者っ!! お前達もみんなと一緒に戦うんだっ!!」
「メェーッ! 嫌だメェーッ! 怖いメェーッ! メェーッ メェーッ!」
「お前達、メェーッメェーッうるさいっ!!」
獣の王がヒツジやヤギを怒ると会場内はたくさんの笑い声がおきる。
よしっ!!
笑いが取れて嬉しかった山田は一瞬笑みがこぼれそうになったがなんとか我慢して心の中でガッツポーズをした。
「皆の者、今日こそあのバサバサ飛ぶことしか能がない鳥達をけちらしてやるぞっ!!」
「お――――――っ!!」
そして舞台の明かりが消え、次の場面に変わる。




