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第36話 役者魂

 舞台の中央にコウモリ(福田兄)が腕を組んで悩んでいる。


 山口顧問のナレーションが入る。


「ここは獣の国と鳥の国の国境付近にあるコウモリ一族の村である。コウモリ一族のおさはとても悩んでいた」


「う――――――ん......、どうすればいいかのぉ......。今まではなんとかごまかしきれたけど今回はもう無理だろう。どっちの味方になればこのコウモリの村を守れるかのぉ......。早く決めないともうすぐ鳥の国の兵隊達がやってくるしのぉ......。う――――――ん、これは困ったぞ......あっ!!」


 すると突然、コウモリが何かひらめいた顔をしてポンと手を叩いた。


「よし、決めた!! どちらの味方にもなって、どちらの味方にもならないようにしてやろうかのぉ~」


 ここでナレーション


「コウモリが何か作戦を考えたあとすぐに鳥の国の先遣部隊がコウモリ一族の村にやってきた」


「おい、そこのお前!! 何者だっ!?」


 顔を黒く塗った大浜演じるカラスがコウモリにたずねた。


「へい、わ...私はコウモリ村のおさでございます。」


「コウモリだと!? コウモリ、お前は鳥なのか獣なのかどっちなんだ!?」


 ハヤブサ役の五年堤志保が鋭い目つきでコウモリに質問する。


「へい、御覧の通り私は大きな翼を持っている鳥でございますよぉぉ。ですので勿論、皆様の仲間でございますよ......」


「うーん、言われてみればそうだな......。おまえにも翼があるものな」


 カラスが納得した表情で答える。


「しかし俺達を騙すための偽物の翼かもしれんぞっ!!」


 ハヤブサが強い口調で言うとコウモリは慌てて自分の翼を引っ張り


「ほれ、見て下されっ!! 引っ張っても取れないでしょ? これは正真正銘『翼』でございます......」


「うむ、そのようだな。よし分かった。お前を信用するとしよう」


「信用していただき有難うございます。それではお礼といたしましてとっておきの情報をお教えいたしましょう......」


 コウモリが安堵した表情で鳥達に情報を説明する。


「皆さんが向かう方向にある森には現在、『猿部隊』が隠れております。ですので、遠回りにはなりますが、あちらの森の方から行かれた方が良いと思います。そうすれば必ず獣達の背後から攻めることができますぞ~」


「おぉ、なるほど!! それは助かる。良い情報をくれて感謝する!!」


 カラスとハヤブサは喜びコウモリが薦めた森の方に向かった。


 それを追いかけるように、トンビ役の六年高田とハゲタカ役の五年佐藤、そしてフラミンゴ役の石田がコウモリの前を通りすぎていく。


 その時、会場が爆笑の渦になる。

 みんなある方向を指差して大笑いしている。


 指先の方向にはハゲタカの佐藤がいる。

 

 そうである。

 あれだけ嫌がっていた佐藤がハゲヅラをしていたのだ。


 ずっと悩んでいたが最終的に佐藤はハゲタカに成りきるためにはハゲヅラが必要だと決断したのだ。


 ただ佐藤は指を差して大笑いされることが嫌で、腹が立ち客席の方を向き睨みつけたが逆に客席はその動きが面白くて更に大爆笑となってしまった。


 佐藤は舞台袖に入った途端、うずくまり


「失敗だ。失敗だ。失敗だ......。ハゲヅラをかぶるんじゃなかったわ......」


 と呟き後悔しているのだった。


 しかし山田部長がそっと佐藤の肩に手をのせて小声でこう言った。


「佐藤さん、あなた最高よ。これで安心してあなたに部長を任せれるわ。自信を持ってちょうだい。みんながやりたがらないことをやれるなんて役者の鏡よ。それが『役者魂』というものよっ!!」


 山田の言葉が響いたのか佐藤の目の色が変わると同時に直ぐに立ち上がる。

 そして山田にお辞儀をし、直ぐに早歩きで舞台裏から反対側の袖にむかって行った。


 その光景をノブは目を細くしながらじっと見ているのであった......


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