第21話 決戦前➀
遂に運動会編の始まりです!!
運動会前日
ノブ達、リレーメンバーは男女合同で最後の練習をしていた。
「はぁ...はぁ...はぁ......」
全員息が上がり、トラック内でへたり込んでいた。
「こんだけ練習したんだから明日は大丈夫だろうと思いたいねぇ......」
大石がそう言うと村瀬が
「そう思いたいけどそうは思えないなぁ。三組には木口と平田がいるからなぁ......」
「そうだよな。あの二人は一年の時から足が速かったし、特に木口は村瀬と同じくらい速いもんな」
大石が困り顔で答えた。
そして田尾が
「あと、やまさん(山本)と一郎(岡本)も速いって聞いてるから、一番の敵はやっぱり三組だね」
全員うなずく
そういった会話をしながらノブは木口、平田の名前を聞いて一年生の頃を思い出していた。
ノブ一年生の秋
リレーの選手を決める体育の授業......
「水井すげぇ!! お前、足速いなぁ!!」
クラスの友人たちから驚きの声が上がっていたさなか、木口と平田が担任に不服そうな顔をしながら言い寄って来た。
「先生、ほんとに水井のタイムあってるんですか!? 僕は水井より平田の方が速いように見えたけど......」
木口が不満そうな顔でそう言うと平田が続けて
「先生、僕の方が絶対、水井より早く走れたよーっ! もう一度タイム測りなおしてよーっ!」
「いや、タイムは間違ってないよ。先生が見てても水井君は速かったし、三位、四位の二人のことを言いうならまだしも、何故、木口君も平田君も二位の水井君にこだわるんだい? 先生それが不思議でしかたないよ」
担任は少し怒り口調で二人に言った。
「・・・・・・」
痛い所をつかれて黙り込む二人。
ノブは何故、二人が自分にこだわっているかわかっていた。
何故なら木口、平田、そして三位の戸田、四位の大倉の四人は同じ町内で幼稚園前から仲良しでいつも四人で遊んでいる間柄、おそらくリレーもこの四人でやりたかったんだろう。
なのでいきなりノブが二位に躍り出たので昔からやんちゃで一番プライドの高い平田が自分のせいで四人でリレーに出れなくなり焦った結果、平田が仲間思いで先生からも信頼のある木口にまず文句を言わせて、そして自分も先生に文句を言う作戦を考えたのであろうと。
但し、三位の戸田、四位の大倉は二人の意見に賛同はしていない。別に彼等は自分たちがリレーの選手になれたことを満足していたので平田が出ようが出れまいが気にしてなかったのである。どちらかと言えばリレーで一番になれればそれで良かったのだ。
しかし本番のリレーで、こういった経緯がありノブは今までに感じたことの無いプレッシャーに見舞われ、第一走者だったノブはスタートのピストル音と同時に思いっきり転んでしまい、結果ノブのクラスはビリになってしまった。
ちなみにこの時、三位からもかなり引き離されていたノブのクラスはアンカーの木口がギリギリのところまで追いつきあと少しのところでのビリだったのでリレー自体は大いに盛り上がり、木口はクラスのヒーローになるのであった。
逆にノブは予想通り、クラスの一部の者から冷ややかな目で見られ、リレーの選手を決めた際、何も文句を言わなかった戸田や大倉もノブに聞こえるように
「やっぱり、かっちゃん(平田)が出た方が良かったかもね。まさかいきなり転ぶなんてなぁ......」
「あ~あぁぁ、勝ちたかったよなぁ......」
ノブはとても辛かった。
いじめまでには発展しなかったがノブにとってこの件が人生最初の挫折である。
この一件がトラウマとなり少し引っ込み思案の性格になってしまったのである。
(今思うと小学生というのは思った事をすぐ口に出してしまうところがあり、ある意味残酷である)
ただ当時、同じクラスで同じ町内の森重、また木口達と同じ町内ではあったが高山、そして隣のクラスで同じ町内の村瀬、大石達がフォローしてくれたおかげもあり思ったより早く立ち直れたという経緯があったのだ。
あの時助けてくれた村瀬や大石が今は同じチームにいる。
そして自分と似たような経験をしている田尾がいる。
田尾がこのチームで勝ちたいと先日言っていたがノブも同じ思いである。
「明日、絶対(木口と平田)に勝ちたい......」




