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夕焼け色の猫  作者: 鈴寿
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瑠花の1日

早産で産まれた私は、当初、生存も危ぶまれたらしい。どこがどう悪いという事ではなく、全体的に脆弱な身体だ。生きる事というより、動く事それ事態が、子供の頃から苦行でしかなかった。血圧も低く、貧血体質でもあった私は、常に身体が鉛のように重く苦しく、少しの時間歩き続けるだけで、ハアハア息が上がった。体育館では何時も床に座っての見学組。会話を持つのも発声だけで疲労感が強く、当然ながら結局、何時も独りだった。しかし特にそれに不満は感じず、他人を気にする必要性もなく、ゆっくりだが確実に動いて行く時だけを見つめていた。掃除当番の時も、奇声を上げ、ふざけてはしゃぎ遊ぶクラスメートを尻目に、違う世界の人間のように、唯、今の必要な事だけを機械的に済ませて、何時もの運転手付きの送迎車で帰った。そうやって、とことん周りを無視する私は、自然と虐めの対象になり、常に冷ややかな視線の中に居た。他人に対して薄い感情しかなかった私にとって、人間という者達は、大っ、大嫌いな!対象になって行ったー。今も疲れるだけの人間達との接触は、必要最低限のみとしている。両親が事故死した後に、後見人になった叔母も1年前、肺炎を拗らせ帰らぬ人となった。叔母と二人で暮らした家は広過ぎ、身体の癒しに良いだろう、このマンションに居を構えた。遺産の中の不動産の一つだが、山と田んぼに囲まれた夕焼けは、心に優しく沁みた。福ちゃんも喜ぶかと、一番庭の大きなスペースを取っている一階の端の部屋を、私専用とした。マンションの面倒な細かい事柄には管理人を置き任せていた。少々狭い2DKだが頑丈なコンクリート造りのマンションは、屋内の物音は一切聞こえず、特にこの部屋は何処より他の住居より離れていて安心出来た。人の声が聞こえない静寂は頗る良い環境其の物だ。だから、直ぐ疲れるテレビは特に嫌悪感がある。ラジオだけは、気候や天災等の収集用途にと、あるにはあるが、朝、起床して1時間聴く程度だ。田舎の隅付近の土地であり、どの店に行くのも遠いが、目の前に聳える山の前に県道が走っていて、今の御時世からも、A○zonやネットスーパーで十二分に事足りる状況だった。そんな小さな世界ながら、それなりに満喫されていた私の1日は、此処へ来て予期もせず、突然の疾病という恐怖に襲われ、ガタガタに崩されたのだー。

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