〇毒草サラダと空飛ぶエイヒレ
卵を奪われたバジリスクが発狂し、庭園中を石化ブレスで汚染し始めた。
だが、リズの目はすでに次の食材へ向いていた。
「メインは確保したわ! 次は付け合わせ(サイド)よ!」
「まだやるのか!?」
「当たり前でしょ! 八寸は『海のもの』と『山のもの』の調和! この庭園に生えてる『マンドラゴラの蕾』と、上空を飛んでる『スカイ・エイのヒレ』が必要なの!」
リズが指差した先。
花壇には、人の顔をした不気味な植物がギャーギャー喚いており、空には空気を泳ぐエイの群れが回遊している。地獄のバイキングだ。
「アッシュ、マンドラゴラを引っこ抜いて! 悲鳴の超音波で鼓膜と脳神経が破壊されるから、耳栓してね!」
「イヤイヤ、マジ無理・・雑に頼むな! シルヴィ、空のエイを撃ち落とせ!」
「ええっ!? あのエイ、体表から謎の寄生虫を撒き散らしてるように見えるんだけど!?」
「いいから撃て! 『紫外線殺菌(UV照射)』だ!」
俺は耳栓をして花壇に突っ込み、暴れるマンドラゴラの首根っこを掴んで力任せに引っこ抜いた。
「ギャアアア……ッ!」という致死性の振動が腕に伝わるが、無視して即座にサバイバルナイフを突き立て、「声帯(音波発生器官)」を物理的に切断する。
「一丁あがり!」
上空では、シルヴィが半泣きで対空砲火(紫外線浄化ビーム)を乱射している。
バタバタと落ちてくるエイたち。それをジョーカーが虫取り網でキャッチしていく。
「大漁大漁! でもこいつら、アンモニア臭いねぇ!」
「軟骨魚類特有の尿素よ! 干物にすれば旨味成分に変わるわ! よし、食材は揃った! 最後はバジリスクを『締める』わよ!」
リズが戻ってきた。
卵と野菜と魚を抱え、満面の笑みで。
「バジリスクさん、ありがとう! お礼に、苦しまないように一瞬で『真空パック』してあげる!」
リズは狂戦士たちを蹴散らしながらバジリスクの懐に飛び込み、その首筋の延髄に手刀を叩き込んで気絶させた。
さらに、シルヴィに向かって叫ぶ。
「シルヴィ! 『極限脱水魔法』よ!」
「えっ、あ、はい! 乾燥! ドライクリーニング!!」
シルヴィの放った魔法が、気絶したバジリスクの体内の水分を一瞬にして奪い去った。
ミイラ化……もとい、完璧な「ドライ・エイジング(乾燥熟成)」の完成だ。
「完璧よ! 石化ウイルスは『水』を溶媒にしてタンパク質を結晶化させるの! だから、死んで自己石化が始まる前に水分を全部抜いてしまえば、化学反応は止まり、肉質だけが熟成されるってわけ!」
「リズ……料理のためなら、生物学の限界すら超えるのか、お前は」




