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魔法のせいだから許して?  作者: ましろ


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7.新しい友達

今日は殿下が公務の為一日不在らしい。嬉しすぎる。

情報源はもちろん本人。「側にいなくても心はずっと君と共にある」と訳の分からないことを昨日言っていたわ。

なぜかしら。どんどん悪化してる気がする。私の初恋がすっかり黒歴史になりました。


「ブリッチェ伯爵令嬢、少しいいかしら」


誰だったかしら。確か私の足を引っ掛けて転ばせてきた人だわ。すっごく恥ずかしかったから覚えてる。


「まぁ、謝罪に来てくださったのですか?」

「何を言ってるの?なぜ私が謝罪しなくてはいけないの!」


……変ね。悪い事をしたら謝るのって普通じゃないのかな。この人も魔法のせいだから許してねって人?


「足を引っ掛けて転ばせたのまで魔法のせいだったと言うのですか?たしか廊下で突き飛ばされた事もありましたよね」

「あ、…お、覚えてるの?」

「そうですね、嫌な事ほど記憶に残るものですよ」


というか、貴方も覚えてるんじゃない。

皆凄いわよね。全部無かったことにしようとするのだもの。

『魔法のせい』って言葉自体が最強の呪文のようだわ。



「それで……ごめんなさい、お名前は知らないわ。悪事を覚えているのに謝罪以外のお話がしたい名前も名乗らない無礼な御令嬢は、私にどんな用があるのかしら」


長いな。失礼金髪でいいかな。


「……私はメラニー・ベルツよ。確かに、()()()()()とはいえ、あなたを転ばせたのは申し訳なかったわ」


いや、全然悪いと思っていなさそうな謝り方ですけど。でも、そう。ベルツ男爵の娘さんなの。私より爵位も低いのに凄い度胸だわ。


「あなたはいつまで殿下を困らせるつもり?確かにあなたも可哀想だったし、最初は仕方がないと思っていたけど。殿下にチヤホヤされるのももう満足したでしょう?モテる女気取りは見苦しいわ。いい加減婚約者に戻りなさいよ」


あら、どうしましょう。意味が分からないわ。

私が殿下を許す?どうして?そもそもチヤホヤって何?


「貴方の(おっしゃ)っていることが一つも理解出来ません。

まず一つ、まったくの他人である貴方が口出し出来る事ではありません。

そしてもう一つ。この件はベルツ男爵に抗議致します」

「なんでよ!私は殿下の為を思って!」

「それは心の中だけにしておけば宜しかったのでは。

なぜ親しくもない、爵位も下の貴方から侮辱されないといけないの?

そうね、追加で転ばされた事、突き飛ばされた事も伝えておくわ。ではごきげんよう」


なんかまだギャーギャー騒いでるけど知りません。少し遠回りで図書室に行こうかな。ついて来られたら嫌だもの。


「あの、ブリッチェ伯爵令嬢!」


また苦情?厄日かしら。いえ、ここ一年ずっと呪われている気がするわね。

嫌々振り向くと、プルプル震える女の子と、その様子を心配そうに見つめる男子生徒が立っていました。


「……なんでしょうか」

「あの、私はドプナー子爵家のビアンカと申します」

「僕はトレーガー伯爵家のフィデルです。同じクラスだけど分かる?」

「はい、もちろん」


お話ししたことはないけど、確かこの二人は婚約者同士よね。いつも二人でいるから仲良くていいなぁと思っていました。


「「ずっと助ける事ができなくてすみませんでした!」」


まあ。声がぴったり揃ってて面白い……じゃなくて、()()()()()()()



「私はあなた達に意地悪されなかったわ。だから謝る必要なんてないのよ?」

「違うわ!だってクラスメイトなのに、貴方は何も悪い事をしていないのを知ってたのに!

……怖くて何も出来なかったの。本当にごめんなさい!」

「僕もごめん。殿下に目をつけられるのが怖くて何も言えなかった。今頃謝っても遅いのは分かっているけど、謝らないのはもっと駄目だと思って。本当にごめんなさい!」


どうしよう、うれしいわ。


何もしてないのに謝らせて申し訳ないけど、あの頃のことを謝ってくれたのは彼等が初めて。


「二人ともありがとうございます。すごく嬉しいわ。そんなふうに言ってくれた人は初めてなの。

皆ね、魔法のせいだから仕方がなかったって、まるで何も無かったかのようにしてるから」


どうしよう、感動して涙が出そう。

やっぱり王子妃は無理よ。こんなにすぐに涙ぐむ子は向いてません!


「どうした、いじめられてるのか?」


え、先輩?顔が怖いよ?


「「いやいやいやいや!」」


「違うんです!僕達は謝りたかっただけで!」

「そうなんです!助けられなくてごめんなさいって伝えたくて!」


「「ごめんなさい!」」



この二人は息ぴったりで可愛いなあ。


「なんだ、よかったじゃん。なぁ、悪いと思ってるならついでに友達になってやってよ。俺以外の仲間がいないボッチ令嬢だから」

「……先輩?真実は人を傷付けるんですよ。知ってますか!」


ひとりぼっちなのはお互い様じゃない!私は悪くないもん。


「私なんかがいいんですか?あの、お二人ほどお勉強はできませんけど」

「なら今度勉強会でもやるか?俺の去年のノートを貸してやるよ。友達ならな?」

「いや、ご褒美がなくても友達にはなりたいですよ。でもノートはありがたいです、先輩!」


うそ、こんなに簡単に友達ってできちゃうの?


「でも、殿下がまだ絡んでくるけど大丈夫?」

「「だってもう婚約者じゃないし」」


そうよね。普通そうよね?婚約者じゃないのにどうしてまだ翻弄されるのかしら。

でも嬉しい。殿下が留守のおかげでお友達が二人もできたわ。


「私の事は名前で呼んでください。私も二人のこと名前で呼んでもいい、かな?」


「「もちろん!」」


ねぇ、なんでそんなに声が揃うの?





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