表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
白銀のシンセシス  作者: 大場里桜
前編:Grayish future
98/228

凛との再会

 ブラック・ダンデライオン<タカネ>に辿り着いたアラン達は無事にフリージア隊と合流する事ができた。

 (さい)大佐は同志と連絡を取る為、単独で行する事となった。

 成り行きで同行する事になったジェイクは、アランに同行する事を希望した。

 ファングの兵士である事を公表したら問題となるので、(さい)大佐が連れて来たE.G.軍所属の二等兵という事にした。

 今まで一人で行動してきたアランにとって、常にジェイクがついてくるのは居心地が悪かった。

 幸いなことに、アランは15才の少年ではあるが、立場上は兵長なのでジェイクを引き連れていても他のE.G.軍兵士に怪しまれる事は無かった。


「さて、飯でも食おうか! 腹が減ってきたけど旦那はどうだ?」

「もっと兵士らしくしてくれよ。ばれたら独房行きだぞ」

「独房行きとか言ってる方が問題だって。誰が聞いてるか分からんぞ?」

「俺が余計な事を言わない様に大人しくしていてくれよ」

「分かったよ。ここ詳しいからさ。食堂まで案内するよ」

「知らない振りをしろ。E.G.軍兵士がファングの基地の食堂の場所を知ってるはずがないだろ?」

「分かたよ。迷ったふりして、的確に案内するよ」

「諦めた。ばれたら見捨てる」

「大丈夫だって! ほら、ついたぞ」


 アランはジェイクを引き連れて食堂に入った。


「アラン! 久しぶり!」


 食事をしていた凛が手を振っている。

(そう言えば、最後に会ったのは何時だっただろうか? アルゲース攻略戦の最中に一言だけ通信したが、直接話をしたのは宇宙センターだから1か月くらい前か……)


「何だ、旦那のお姫様かい。俺はジェイク。アランの部下だ。宜しくな」

「私は高木凛です。アランのお姫様では無いけど宜しく」


 ジェイクと凛が握手した。


「おふざけは終わりにして食事を頼むぞ」

「おふざじゃないぞ。大事な事だ」

「俺が子供だと思って冷やかしてるのか?」

「違うよ。お嬢を思い出しただけさ。アマ……」

「黙れ!」


 アランは怒鳴ってジェイクの発言を遮った。

 ジェイクが思い出したのはイーサンの副官のアマンダの事だろう。

 アマンダの名前は直接話をしたフリージア隊以外では、E.G.軍の上層部しか知らない。

 ただの兵士でしかないジェイクが親し気に名前をだしたら、ジェイクがファングと関りがある事がバレてしまう。

(ジェイクが迂闊な事を言うとはね。もっと慎重な対応が出来る男だと思っていたのだが、先が思いやられる……)


「アラン! いきなり怒鳴る事はないんじゃないの?」

「いや、今のは俺が迂闊だった。申し訳ない旦那。さて、食事は俺が運んでくるよ。注文は俺のお勧めでいいかな?」

「任せる」


 アランはジェイクに任せる事にした。

 評判の良いメニューを知っているジェイクなら間違いない選択をしてくれると信じているからだ。

 ジェイクが食事をとりに向かった。


「ねぇ、ジェイクさんって人。どういう人なの?」


 凛が不思議そうな顔で、食事を取りに行ったジェイクを見ている。


(さい)大佐の部下でチャリムのパイロットだ。今は俺の部隊に所属している」

「そういう事じゃないの。アランって他人に仕事を任せないでしょ。それが食事であっても。任せたって事は、ジェイクさんの事をかなり信用してるよね?」

「それは誤解だ。面倒だからジェイクに任せただけだ」

「それはないよね? 何を隠しているの? 今のアラン、ウォルフ技師長に仕事を任せる時と同じ感覚だった」


 アランは焦った。

 不用意な発言を聞かれたのなら分かるが、感覚という曖昧な理由で特別な関係だと悟られるとは思わなかった。

 ジェイクは死線をくぐった同志であるが、表向きは知り合ったばかりのE.G.軍の兵士なのだ。

 事情を共有しているアーサーとカーライル中尉ならともかく、凛には知られてはならない。

 今のアラン達は何処にいるか分からない謎の敵に命を狙われているのだから。

(本当の事を言って、凛を巻き込みたくはない……ある程度本当の事を言ってやり過ごすしかない)


「ジェイクは兵士になる前はパン屋の店主だったんだ。俺より料理に詳しいから無意識に頼ったんだろう」

「ホントかなぁ? いかつい顔のおじさんがパン屋さんだったら怖いわよ」

「怖くて悪かったな。これでもパンの事は詳しいぞ」


 ジェイクが戻って来ていた。

 そして、テーブルに運んできた食事を並べた後、席に着いた。


「ごめんなさい。アランが嘘をついてると思ったので。強面の兵士なのに、パン屋さんだったて」

「本当の事さ。でもどうして疑ったんだい?」

「アランが食事を任せたのが信じられなかったから。ジェイクさんは信頼されているんですね」

「あっ、そういう事か……うん、食事に関しては……信頼されてるかもね」


 ジェイクも事情を察したようだ。

 歯切れが悪いのは、凛に余計な事を悟られない様に言葉を選んでいるからだろう。

(戦闘より緊張感があるな……凛相手に隠し事をするのは危険だな。柳秀貴と謎の組織については話せないけどな)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ