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白銀のシンセシス  作者: 大場里桜
前編:Grayish future
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宇宙要塞ヘカトンケイル攻略戦2

 宇宙要塞ヘカトンケイル攻略の準備は整った。

 E.G.軍宇宙艦隊のチャリム部隊が次々に出撃している。

 アーサーも出撃準備を終えて、コクピットで待機していた。


「フリージア隊の任務は敵艦隊の殲滅です。グリント……二等兵。出撃お願いいたします」


 ブリッジの凛から通信が入った。

(いよいよ出撃か。言い淀んでいたけど、凛ちゃんも緊張してるのかな。最終決戦だからね)


「緊張してるのかい? 大丈夫だよ。僕達が敵を排除するから」

「いえ、緊張していないです。少し前まで大尉だったので、二等兵と呼ぶのが気が引けただけです」

「あっ、そっち……ね。気を使わせてごめんね」

「アーサー、後ろがつっかえてるから、ボケをかましてる場合じゃないぞ」


 カーライル中尉から通信が入った。


「ボケじゃないですよオリヴァーさん。勘違いしてましたけどね。お邪魔にならない様に急いで出撃しますよ。アーサー・グリント元大尉、カリバーン出撃します!」


 カリバーンが戦艦フリージアのカタパルトから射出された。


「オリヴァー・カーライル、アルダーン・カスタムHE出撃する」


 続いてカーライル中尉のアルダーン・カスタムの改修機、ヘビィ・イクイップメントが出撃した。

 更にフリージア隊所属のアルダーンが5機出撃する。

 カーライル中尉のアルダーン・カスタムHEがカリバーンの後方に待機し、アルダーン部隊が護衛についた。

 友軍は既に戦闘を開始しているが、フリージア隊は後方で待機している。

(イーサンたちが現れるのが早いか? 敵戦艦を撃沈するチャンスが来るのが早いか? どちらにせよ待たなければならない。いつも先陣を切っていたから、もどかしいな)

 この距離で攻撃出来るのはロングレンジライフルを装備している、カーライル中尉のアルダーン・カスタムHEだけである。


「お先に失礼するぜ。狙った獲物は外……すこともあるけど、次は当てるさ」


 カーライル中尉が狙撃を外したようだ。


「大丈夫ですか? 慣れない武装で戦うのは大変じゃないですか?」

「大丈夫、大丈夫。友軍の後方で狙撃出来る今の内に慣れておくさ」

「くれぐれも味方には当てないで下さいよ」

「そこまで下手じゃねぇよ。ほらっ、当たった!」


 カーライル中尉がリベレーンVEを一機撃墜した。

(オリヴァーさんは心配なさそうだな。戦況はどうなっている?)

 アーサーはモニターに友軍の侵攻状況を映し出した。

 E.G.軍宇宙艦隊とファングは宇宙要塞ヘカトンケイル前面で激しい攻防を行っていた。

 一見、互角に見えるが、このまま膠着状態が続けば、要塞からの砲撃で味方の損害が増える可能性が高い。

(膠着状態……言い換えれば戦況が安定しているといえる。敵の戦艦を落とすなら今しかない)


「敵戦艦を攻撃する。援護を頼む!」


 アーサーは最前線に向かってカリバーンを飛行させた。


「了解だ……って隊長みたいなこと言うなよアーサー。隊長は俺だろ?」


 カーライル中尉を中心としたフリージア隊がカリバーンの後に続いた。


「分かってますよオリヴァーさん。でも、また追い抜くと思いますよ」

「可愛くない事をいうねぇ。元から俺が上官だろ?」

「オリヴァーさんは、上官って感じがしないんですよね」

「俺はみんなのお兄さんだからね。親しみがあるんだよな」

「それはどうでしょう? さて、行きますよ。ここからフルスロットルです」


 アーサーはカリバーンを最高速度で飛行させる。

 友軍の最前線を越えて、敵チャリム部隊の間を縫うように避けて敵戦艦に向かう。

 突如、進行方向にいる敵機が次々に撃墜されていく。

(オリヴァーさんか! 本当に狙撃に慣れてきたのか。格闘戦より射撃戦の方が得意なんじゃないか? でもお陰でやり易くなった)

 アーサーはトライ・レジェンズをランスモードに切り替えて敵戦艦目掛けて突き出した。

 トライ・レジェンズの先端から伸びた高出力のビームが、敵戦艦の主砲を消し飛ばし、そのままブリッジを薙ぎ払った。

(次の敵戦艦は……カーライル中尉からデータ送信?! 次はコイツを狙えって事か!)

 カーライル中尉から、敵戦艦の位置情報が送られてきた。

 アーサーがカーライル中尉が指定した敵戦艦に向かおうとしたところで、後方から飛来した多量のミサイルが敵チャリム部隊に向かっていった。

 敵のチャリム部隊がミサイルを回避する為に散開する。

 避け切れずに爆発する敵機、避ける為に護衛対象の戦艦から距離を離した敵機……

(攻撃対象の情報だけでなく、ミサイル援護付きか……今日のオリヴァーさんはサービスがいいな)

 アーサーは手薄になった敵戦艦目掛けて、トライ・レジェンズをランスモードで突き立てた。

 高出力のビームが戦艦上面からメインエンジンまで貫通した。

 激しい爆発を起こして撃沈する敵戦艦。

 アーサーはランスモードのクールタイムを確認した。

 ランスモードを使用したら、次に使えるのは15分後。

 だが、二丁あるので使い分ければ8分弱で使用可能となる。

 うまく立ち回れば8分弱で敵戦艦を撃沈出来る。

 敵の抵抗があるから計算通りにはいかないと思う。

 それでも、カーライル中尉が調子が良いから不可能ではないと思ってしまう。

 元々、指揮能力が高いから、落ち着いて後方から援護する方が合っていたのだろう。

(勝てる! 今の俺達なら!!)

 アーサーは友軍の勝利を確信した。

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