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白銀のシンセシス  作者: 大場里桜
前編:Grayish future
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失意の逃走

「皆は戦艦ブルーベリーの護衛を頼む」


 アランは戦艦ブルーベリーの護衛をジェイク達に任せて、敵チャリム部隊の撃破に専念する事にした。

 オートモードのシンセシス・ライフルで周囲の敵機をけん制しながら一番近い場所にいた敵機に接近した。

 そして、格闘プログラム『摩利支天』を使用した必殺の一撃を放つ。

 だが、確実に敵機を撃破したと思っていたビームブレイドは、別の敵機によって防がれてしまった。

 再び敵機に近づこうとしたが、飛来したビームを避けるので精一杯だった。

 敵機が連携して射撃を行う事でシンセシスー2の接近を阻んでいる。

(数が多いし、腕も良い。それにAIの感度が悪い。カメラをやられ過ぎたか)

 アランはAIが敵機を視認する速度の低下を感じていた。

 明らかにオートモードのシンセシス・ライフルの攻撃頻度が低下している。

 理由は分かっている。

 敵戦艦を撃沈した時のダメージで、機体前面のカメラにダメージを受けたからだ。

(格闘戦が難しいなら射撃で落とせばいい! シンセシス・ライフルを連動モード、偏差射撃設定で使う!)

 ビームブレイドを腰部に戻し、肩部のシンセシス・ライフルを装備した。

 左右のシンセシス・ライフルが連動して放つビームが敵機を追い込んで撃破した。


「ランドル! ランドルゥゥゥッ!!」


 仲間の悲鳴が聞こえたと同時にランドル機の識別信号が消えた。

(1機落としたと思ったらこちらもか。どうする……俺はどうすればいい?)

 そして、苦戦を続けるアラン達の前に敵戦艦が姿を現した。


「あれはリナリア! ファング第一艦隊所属の戦艦が何故!」


 ジェイクが叫んだ。

 敵の戦艦を知っていたのだろう。


「これが俺達の敵だ。最初に俺が落とした戦艦はE.G.軍のバルムンク級戦艦だった」

「側面から来ている戦艦はE.G.軍の高速戦艦フラガラッハね。どうやら切り抜けるのは難しいようだね」


 (さい)大佐から通信が入った。


「それでも俺は諦めない。俺が敵艦を落とす!」

「アラン、大佐を頼むよ。大佐が健在なら立て直す事が出来る」

「そうだよ。大佐を守れるのはアランだけだ」

「ここは俺達が食い止めるから。大佐を連れて逃げてくれ」


 戦い抜く決意を示したアランに対して、ブリッジクルー達が大佐を連れて逃げる事を提案した。


「無念だね……若い有志達を犠牲にして生き延びなければならないなんてね」

「ここで大佐が死んだら福山少佐の死も無意味になります」

「必ず真の敵を討って下さい。それが出来るのは大佐だけです」

「分かったよ。格納庫に向かうから、迎えに来て下さい」


 (さい)大佐がブリッジを後にした。


「俺が敵機を抑える。誰か大佐を迎えに行ってくれ」


 アランはシンセシス・ライフルで敵機に接近されない様に射撃攻撃をする。

 ビーッ!

 警告音が、側面から来ていた高速戦艦フラガラッハの主砲による攻撃を検知した。

 シンセシスー2は回避に成功したが、戦艦ブルーベリーの主砲が破損し、付近にいたグレゴリー機が吹き飛んだ。

 同時にエドワーズ機の識別反応も消えた。

 アランのシンセシスー2以外で自由に動けるのは、ジェイクのアルダーン一機のみ。


「俺が迎えに行く。援護を頼むよ旦那」


 ジェイク機が艦内に戻っていた。

(さてどうする? シンセシスー2には艦砲射撃を防ぐ能力はない)

 アランは危機を脱する方法を考える事にした。

(先ほどの艦砲射撃は敵チャリム部隊を巻き込まない様にしていた。友軍を巻き込んででも俺達を撃破するような狂った奴らではない。それなら、敵機を誘導すれば艦砲射撃を制限出来る……か? 迷っている暇はない!)

 アランはシンセシス・ライフルをマニュアルモードに切り替えて、敵チャリム部隊の両端を狙って射撃を始めた。

 敵チャリム部隊が追い立てられて、敵戦艦の射線上に集まった。

 そして、想定通り敵戦艦からの砲撃が止まった。

 だが、敵チャリム部隊が密集した事で、チャリム部隊からのビームライフルによる攻撃の密度が増している。

 執拗なまでにシンセシスー2を付け狙って攻撃をする敵チャリム部隊。

 これだけ多くの敵機に攻撃されれば、流石のアランでも完全に避けきる事は難しい。

 直撃は避けているが、機体を掠ったビームがシンセシスー2の装甲を削っていく。


「待たせたな旦那! 連れて来たぞ! この後、どうする?」


 ジェイク機がカタパルトから飛び立ってきた。


「先に敵を殲滅しておいた後方から離脱する。シンセシスー2の飛行形態で飛び立つから掴まれ!」


 アランがシンセシスー2を飛行形態に変形させたと同時に、ジェイク機がシンセシスー2に掴まった。


「旋回! 大佐を守る盾となるのだ! 大佐、ご武運を!」


 戦艦ブルーベリーの副艦長が敬礼をした。

 アランはシンセシスー2のスラスターを全開にして戦場から離脱した。

 後方では、再び艦砲射撃にさらされた戦艦ブルーベリーが爆発による激しい光を放っていた。

(済まない。必ず……必ず敵を倒して見せるからさ。さようなら……)

 アランは短い間だったが、共に戦った戦友達に別れを告げたーー

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