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白銀のシンセシス  作者: 大場里桜
前編:Grayish future
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苦戦

 後2kmで後方の敵戦力と接敵する。

 アランはシンセシスー2を人型形態に変形させた。

 更にセンサーシステム『百目』を起動して、肩部のシンセシス・ライフルをAIモードに切り替えた。

 最速で敵戦艦を撃沈出来なければ味方が全滅する。

 だが、対艦装備が無いシンセシスー2にとっては簡単な事ではない。

 多少無理をしてでも、戦艦を撃沈する事に集中する必要がある。

(頼んだぞ『Synthesis ver.2』。お前の射撃能力だけが頼りだ)

 アランはシンセシスー2に搭載された統合プログラム『Synthesis ver.2』に祈った。

 プログラムに祈ったところで無意味である。

 それでも、その無駄な祈りが不安を払拭してくれる。

(さぁ、戦闘の始まりだ!)

 眼前には敵のチャリム部隊が展開している。

 敵はアルダーン5機、リベレーンVE3機。

(E.G.軍とファングの主力機の混成部隊。大佐達の想像通り、敵は両軍の背後で暗躍している! 俺達の真の敵だ!!)

 アランはシンセシスー2格闘プログラム『摩利支天』を起動して、先頭のアルダーンを斬り払い、そのまま敵戦艦へ向かって飛行を続けた。

 周囲を敵チャリムに囲まれたが、シンセシス・ライフルのオート射撃のお陰で接近されずに済んでいる。

(このまま敵戦艦に取り付いて……何っ!)

 アランはモニターに映し出された敵戦艦を見て驚いた。

 視認出来た敵の戦艦はE.G.軍第二艦隊の旗艦バルムンクに似ていた。

(E.G.軍のバルムンク級戦艦……戦力を隠し持っていたのか。お前らの様な奴らがいるから……お前達のような奴らがいるからあああああ!!)

 アランは敵戦艦のブリッジ目掛けてビームブレイド2本を突き立てた。

 敵戦艦の耐ビーム装甲がビームブレイドのビームを弾き、激しい重粒子のシャワーを浴びる。

 シンセシスー2にも耐ビーム装甲が搭載されているので致命傷にはならないが、細かいダメージは受けている。

 敵戦力の全てを把握出来ていない状況でダメージを受けるのはリスクが高い。

 途中で補給を受ける事すら困難な状況だからだ。

 それでも、今は無理を押し通す必要がある。

 敵チャリム部隊がシンセシスー2を排除しよと接近を繰り返すが、シンセシス・ライフルのけん制射撃が阻む。

 ビームライフルを使用しないのは、味方の戦艦への誤射を恐れてだろう。

(愚かだな。誤射を恐れた結果、味方を見殺しにするとはな。これで終わりだ!)

 シンセシスー2のビームブレイドが敵戦艦のブリッジを貫いた。

 ブリッジから連鎖する様に、次々と爆発が広がっていく。

 戦艦が撃沈したことで誤射の不安が無くなった敵チャリム部隊が、慌ててビームライフルで攻撃してきた。

(遅い。味方戦艦を巻き込んででも俺を撃てば勝機があったのにな)

 1機、2機、3機……次々とビームブレイドで敵機を斬り裂いていった。

 最終的に残っていた7機の敵チャリムを撃墜する事が出来た。

 だが、想定より時間がかかってしまった。

 謎の部隊はE.G.軍宇宙艦隊の友軍より錬度が高かったのだ。

 敵は福山少佐が言っていた、軍から引き抜かれたパイロット達なのだろう。

 アランはシンセシスー2を飛行形態に変形させ、戦艦ブルーベリーの元に向かった。

 友軍のパイロット部隊の通信から悲痛な声が届く。


「オースティィィィィン! この野郎!」

「焦るなコンラッド! 言わんこっちゃない!」


 オースティンとコンラッドの機体の反応が消えた。


「どうするエドワーズ! 持たないぞ!」

「敵がブリッジに取り付いたぞ! 何とかならないかグレゴリー!」

「敵が多すぎんだよ! このままでは大佐が!」


 アランはシンセシスー2を最大速度で飛行させる。

(あれはシップデストロイヤー。急げよシンセシスー2!!)

 戦艦ブルーベリーのブリジットに取り付いた敵のチャリムは、戦艦破壊用の携帯兵器シップデストロイヤーを携帯している。

 これを使われたら、最新鋭の戦艦であっても簡単に撃沈する。

 シップデストロイヤーを止める為、アランは最大速度で向かっているが間に合わない。

(戦艦ブルーベリーから離れ過ぎた。俺の失策だ……)

 敵チャリムが戦艦ブルーベリーのブリッジにシップデストロイヤーを突き立て……背後から飛来したビームに貫かれて爆散した。

(何だ? 味方の反応?! カタパルトから!)


「おいおい、なんだこりゃ?! 何でリベレーンVEとアルダーンが一緒に襲ってくるんだよ!」


 アランは通信から聞こえる声の主に心当たりがある。


「上手に焼けたじゃないかジェイク」

「そいつは笑えねぇ冗談だよ、アランの旦那!」

「兵士なんだろ? 嫌ならパン屋に戻れよ!」

「へいへい、今は敵を焼くのが得意なパン屋ですよ」

「ところで、何で出撃している?」

「私が許可したね。緊急事態だからね。巻き込まれた彼にも選択する権利がある。ここで戦うか、死ぬか」


 ブリッジの(さい)大佐から通信が入った。

(ジェイクを開放したのは大佐だったか。大胆な事をする。でも選択肢が戦うか、死ぬかって、選択の余地がないな……)


「ところでアランの旦那。コイツらなんだよ」

「説明しただろ。こいつらが俺達の敵で、世界の敵だ!」

「世界の敵か……そいつはいい。気分が盛り上がる!」

「やれるかジェイク? 独房で体がなまっていないか?」

「快調だよ! このアルダーンってやつ、リベレーンVEよりぬるぬる動いてくれる。五十肩が治ったような気分だ!」

「そいつは良かった! やるぞジェイク!」

「おうよ!」


 こちらの戦力はアランのシンセシスー2とジェイク、グレゴリー、エドワーズ、ランドルの4人のアルダーン。

 敵のチャリム部隊はアルダーンとリベレーンVEの混成部隊で13機。

 開戦時より戦力差は縮まったとはいえ、まだ戦力差は2倍以上ある。

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