アルゲース攻略作戦4
カリバーンのトライ・レジェンズの射撃に合わせて、シンセシス・ライフルで射撃を行ったがリベレスティンには直撃しない。
(流石に武装を把握された後では簡単には当てられないか……)
前回戦った時はシンセシスー2の武装を知られていなかったから不意を打てたが、今のリベレスティンには簡単には当たらない。
「どうするアラン?」
アーサーに問いかけられ、アランはどうするべきか悩む。
このままイーサンを足止めしているだけでも、この戦いに勝利する事は可能だ。
だが、押されているE.G.軍第二艦隊の損耗が大きくなれば、次の作戦に支障が出る。
直ぐにイーサンを倒して第二艦隊の援護に向かえば問題を解決出来るが、簡単に倒せる相手ではない。
アランとアーサーの二人の内のどちらかがイーサンの足止をして、第二艦隊の援護に向かう必要がある。
(第二艦隊の援護はアーサーに向かってもらおう。イーサンとは俺が戦う。ジェイクの事もあるからな)
「アーサー、第二艦隊の援護に向かってくれ」
「どうしてだい? アランを一人で戦わせられないよ」
「第二艦隊の損耗を抑える必要がある。イーサン一人に時間を割く事は出来ない」
「それなら僕がイーサンと戦う!」
「機体性能を考えろ。シンセシスー2は対チャリム用に特化している。だが、カリバーンは違う。あらゆる戦況に適応出来る機体だ。だから宇宙戦艦との戦闘を想定した対艦装備があるのだろう?」
アーサーが黙った。
本当はアーサーも気づいていたハズだ。
敵の宇宙戦艦を撃沈するならシンセシスー2の武装より、カリバーンのトライ・レジェンズのランスモードの方が有効だ。
アーサーが敵の宇宙戦艦を撃沈すれば戦況が覆るのは明白だ。
それでも、アランが心配で決断出来ないのだろう。
それなら決断を後押しする必要がある。
「グリント二等兵、敵艦の撃沈を命じる」
「分かりましたよバークス兵長。僕はお仕置き中で、下っ端ですからね」
「そういう事さ。でも下っ端だから祝勝会で奢らなくて良いんだ。全部カーライル中尉に押し付けよう」
「それは楽しそうだ。早く戦闘を終わらせよう! 行くよアラン。気を付けて!」
「アーサーこそ気をつけろよ!」
アーサーのカリバーンが敵艦隊の方向に飛び去った。
アーサーが去って弾幕が薄くなった隙をついて、リベレスティンがシンセシスー2に肉薄する。
振りかざされるビームアックスを2本のビームブレイドで受けきる。
「アーサーがいなくなったが、一人でやれるのかアラン?」
「問題ない。大人しく俺の話を聞いてくれないか?」
「舐めるな! 一度負けている事を忘れたのか!」
「それは過去の話だ。今の俺は独りではない」
「ならやって見せろ!」
リベレスティンが離れた後、ビームショットガンを撃った。
(完全に回避する事は難しい。だが、直撃しなければ致命傷にならない)
アランはシンセシスー2のスラスターを全開にして回避する。
イーサンは何故か得意な格闘戦を挑まず、ビームショットガンで攻撃を続けている。
何度かの攻撃の後、モニターの映像が一つ消えた。
(そういう事か……やるじゃないか、イーサン!)
アランは直ぐにカメラシステム『百目』を停止させた。
シンセシスー2の全身のシャッターが閉じて、カメラとセンサーを収納した。
直撃しなければビームショットガンの攻撃は装甲を削る程度の威力しかない。
だが、剥き出しのカメラとセンサーにとっては致命的だ。
シャッターを閉じてカメラとセンサーを収納した今なら、致命的なダメージを受ける事は無い。
しかし、カメラを収納した状態ではAIモードを使用する事は出来ないから、シンセシス・ライフルによるオート攻撃を行う事は出来ない。
射撃攻撃を防いだリベレスティンが、シンセシスー2を撃墜しようと接近する。
「さて、これで終わりだ! 地獄でジェイクに謝れ!」
リベレスティンのビームアックスがシンセシスー2に迫る。
アランは格闘プログラムを選び、攻撃のタイミングに合わせた。
シンセシスー2が左手のビームブレイドでビームアックスを受け止めると同時に、ビームアックスを持つリベレスティンの左肘を右手で打ち抜いた。
打撃を受けたリベレスティンの左肘がねじ曲がり、ビームアックスによる攻撃の威力が緩んだ。
その隙に肩からリベレスティンにぶつかり吹き飛ばす。
(格闘戦で劣っていた昔とは違うんだ。シンセシスー2にはイーサン以上の格闘戦のプロの魂が宿っているんだよ!)
突き飛ばして距離が離れたリベレスティンに向かって、シンセシス・ライフルのマニュアルモードで攻撃した。
ビームがリベレスティンの装甲を抉ったが、直撃はしなかった。
「突き飛ばされた状態で避けるとは……凄い技量だな」
「何が凄い技量だ! 今の動きは何だ! チャリムの動きではない!!」
「俺も詳しく知らないけど、肘を破壊する動きだ。武術の技をチャリムの構造に合わせて調整したものらしい」
「何を言っている! 自分でやっておきながら!」
「自分でやっていても分からない事もあるさ。コイツは貰い物なんでね」
「貰い物だと……そんな軽い物で俺に勝てると思うな!」
イーサンが激怒した。
自分の力ではなく、他人に貰った力を軽い物だと見下している。
(イーサン……貰い物の全てが軽い訳じゃない。特にコイツはな……)




