アルゲース攻略作戦3
「俺は周囲の敵機を落とすから、アランはアーサーを頼む。俺ではアイツらの戦いに割って入れない」
カーライル中尉のアルダーン・カスタムが苦戦している第二艦隊の援護に向かった。
(そうだ。俺はアーサーの援護に来たのだ。敵を倒し損ねたくらいでショックを受けている場合ではない!)
アランはスラスターを全開にして、アーサーのカリバーンの元に向かった。
アーサーのカリバーンとイーサンのリベレスティンは艦砲射撃を縫うように飛び交いながら、激しい格闘戦を繰り広げていた。
近い距離で打ち合っているので、援護するのは簡単ではない。
アーサーは高威力のリベレスティンのビームアックスの攻撃をトライ・レジェンズのソードモードで華麗にいなしている。
二人の実力は互角の様だ。
(さて、どうやって援護しようか……これが使えるな)
アランは福山少佐のデータベースから、今の戦況に最適な攻撃方法を探し出した。
簡単に探し出せた理由は、福山少佐との戦闘シミュレーションのお陰だ。
あの時はアランが格闘戦を挑んでいて、逆にアーサーが援護出来ず立ち尽くしていた。
格闘戦を行っている味方の援護を行う状況に対して、福山少佐が考えた最適解は二つある。
一つは接近戦で挟み撃ちにするパターン。
もう一つは敵機の退路を断つように射撃攻撃を行うパターン。
アランは二つあるパターンの内、射撃攻撃で援護を行うパターンを迷いなく選択した。
格闘戦が得意なイーサン相手に接近すれば、心配性のアーサーの集中を削ぐ可能性があるからだ。
(敵を攻撃しようとするから撃てなくなる。当たらなくていい。ただ相手の退路を減らすだけでいいんだ……)
アランは福山少佐の教えを反芻する。
そして、シンセシス・ライフルの照準を合わせてトリガーを引いた。
カリバーンとリベレスティンが打ち合った後、アランが撃った二筋のビームがリベレスティンの背後を左方を通過した。
シンセシスー2のビームで行動範囲が狭まったリベレスティンが逃げ場を失い、脚部を艦砲射撃が掠めた。
(これで俺の存在にも気付いただろう。さて、どうするイーサン?)
アランは追いつめられたイーサンが何を言うのか気になり、いつも通りE.G.標準規格の通信で呼びかけてくるのを待った。
だが、イーサンからの返事はない……
「アラン、援護ありがとう。約束通り助けに来てくれたんだね」
アーサーがリベレスティンから離れて、シンセシスー2の元に来た。
「あぁ、約束したからな。それに、俺と大佐の目的地はアルゲースの先にあるからね」
「オリヴァーさんは大丈夫か? 俺より先に援護した方がいいと思うけど?」
「それなら解決済だ。リベレスティアはカーライル中尉と一緒に撃退したからね。アマンダの取り巻きも一緒にサヨナラしてもらったさ」
「それなら安心だね。エースのカーライル中尉が一般兵にやられるとは思えないからね」
「それよりレイモンドはどうした? 見かけないけど」
「分からないね。また一般兵のフリして潜んでいるかもしれない。この前アランの攻撃で機体にダメージを受けていたからね。っと!」
アーサーがトライ・レジェンズをアローモードに切り替えて、射撃攻撃でリベレスティアの接近を防いだ。
アランもシンセシス・ライフルでリベレスティンを狙撃する。
(カリバーンから離れた今なら遠慮なく狙える。このまま射撃攻撃で押し切ってみせる)
リベレスティンはカリバーンとシンセシスー2の二機の射撃攻撃にさらされ、回避に専念する事しか出来ない。
「なぁ、アイツはどうしたんだ? いつもの様にペラペラ喋らないじゃないか? アーサー、何を言って怒らせた?」
「どうして僕が怒らせた事になってるの? 今日のイーサンは、最初から一言も話していないよ」
「無意識の内に何か言ったんじゃないのか? アーサーは天然だからさ。気が付かない内に嫌われたかもしれない」
「僕は嫌われていない! なら、アランが話せばいいだろ? アランが来ても話さないじゃないか!」
「その通りだな。でもさ、話す事が普通だってのが異常だよな。敵なんだから通信なんてしないよな」
「その通りだね」
「黙っていれば好き放題言いやがって! 馬鹿にするな!」
突如、イーサンの叫び声が割り込んだ。
(やはり聞いていたじゃないか。イーサン・アークライト! これからが本番だ!)
アランはライバルであるイーサンの声を聴いて嬉しくなった。
「盗み聞きするなんて、趣味が悪くなったんじゃないか? 聞こえてるなら早く話したらどうだ?」
「お前達と話す必要はない! 俺はファング第一艦隊の指揮官だ。その俺が敵であるお前たちと無駄に話したせいで、何人の仲間を失ったと思う? 俺を守る為に多くの兵が犠牲になった。ジェイクだって俺を逃がす為に自爆して命を散らした!」
「待て、イーサン。ジェイクなら生きているぞ」
「そんな戯言聞く耳持たん! ジェイクはパン屋だったんだ! 父に反発して家出した俺にパンを恵んでくれた優しい奴だった。元々軍人ではなかったんだ! それでもブラック・ダンデライオンの未来の為にファングに志願したんだ。そして……俺の退路を確保する為に自爆して死んだ!」
「聞け、イーサァァァァン!!」
「聞くかああああ! ここで死ね、アラァァァァン!!」
アランが語り掛けてもイーサンは止まらない。
(この馬鹿野郎が! 仕方がない。実力で黙らせて、話を聞くまで言い聞かせてやる!)




