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白銀のシンセシス  作者: 大場里桜
前編:Grayish future
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アルゲース攻略作戦2

『百目』のカメラがリベレスティアを捉え、AIが二丁のシンセシス・ライフルで狙撃を始めた。

 リベレスティアが次々放たれるビームを回避した。

(流石にオート射撃では当たらないか。なら、接近戦で決着をつけてやる!)

 アランは接近を試みたが、リベレスティアが放った多数のミサイルに邪魔をされて接近出来ない。

 後退してミサイルとの距離を離して、シンセシス・ライフルでミサイルを撃墜した。


「これで終わりです!」


 リベレスティアが放ったレールガンの弾丸がシンセシスー2の肩を掠める。

(結構ギリギリだな。次は背後と下方からか!)

 アランはシンセシスー2を急上昇させた後に左に移動して、後方と下方から飛来したビームを回避した。

(当たらないよ。見え見えの攻撃など!)


「アレを避けられた!? 死角からの攻撃なのに何故?」


 アマンダが驚きの声を上げた。


「見えているからに決まっているだろ」

「メインカメラで把握出来ない攻撃が見えているだと! 超能力者か?」

「エースなんだ。特別な力があるに決まってるだろ!」


 アマンダが勘違いしているが、アランは訂正しない。

 勘違いしたままの方が相手にプレッシャーを与えられるからだ。

 それは、レイモンド・バージェスがE.G.の標準規格の通信で語り掛けてきた理由と同じだ。

 彼は死のブルースクリーンという幻想で、地上のE.G.軍を恐怖に陥れていた。

 今度はアランが会話でプレッシャーを与えて有利に戦おうとしているのだ。

 実際は超能力でカメラの死角の敵を把握しているのではなく、カメラシステム『百目』の機能で全方位の敵を把握しているだけだ。

 だが、アマンダや他のファングの兵士が気付く事は難しいだろう。

 通常、チャリムに搭載されているカメラは前後のみだからだ。

 前後だけでなく、足裏や頭頂にもカメラがあり、全方位視認出来るシンセシスー2の異常性を想像するのは難しい。


「あの銀色の化け物を囲んで下さい。アレは異常です! アレをイーサンに近づけてはなりません!」


 アマンダの指示でシンセシスー2の周囲を取り囲むように、敵のリベレーンVEが集結してきた。

 だが、アランは動じない。

 突然、リベレスティアの背部が爆発した。


「何? この不愉快な緑色が!!」

「俺を放置したのがいけないのさ! 背後ががら空きなんだよ!」


 リベレスティアの背部の爆発は、カーライル中尉のアルダーン・カスタムのビームマシンガンによるものだったのだ。

 威力が低いから一撃で撃墜は出来なかったが、リベレスティアのスラスターを破壊していた。

 アランは止めを刺す為、シンセシス・ライフルを連動モードに切り替えて、移動が出来なくなったリベレスティアに向けた。

 ファングのリベレーンVEの一機がリベレスティアを庇うように、シンセシスー2との間に入った。


「終わりだ!」


 アランは引き金を引いた。

 左右のライフルで同じ箇所を打ち抜く連動モードなら、身を挺して庇ったとしても守り切れるものではない。

 庇ったリベレーンVEを貫通して、リベレスティアを打ち抜いた。

 アランは二つの爆発を見て、二機を撃墜出来たと確信した。

(これでお別れだアマンダ。さて、イーサンとの決着をつけてアーサーを助けるとするか。何?!)

 アランが驚愕したのは、爆炎が収まった後にリベレスティアの姿が見えたからだ。

 胸部が抉れていて、G.D.ジェネレイターが稼働を止めているが撃墜出来てはいない。

 他のリベレーンVEが損傷したリベレスティアを抱えて逃げようとしている。

(何故だ? 俺は確実に仕留めたハズだ。スラスターが破損しているのに、何故避けられた。いや、俺がミスをしたからか? 違う、そんなミスはしない。情が移って照準を逸らしたのか? 俺が?)

 アランは止めを刺し損ねた理由が分からず錯乱した。


「可哀そうだが逃がす事は出来ない!」


 カーライル中尉のアルダーン・カスタムが、仲間に抱えられ逃走するリベレスティアを追いかけながら攻撃を続けている。

 だが、護衛している一般兵のリベレーンVEは撃墜出来ているが、肝心のリベレスティアは撃墜出来ていない。


「止めを刺すぞ! どうしたアラン?」


 カーライル中尉がアランの異常に気付き問いかけた。


「済まない。少し混乱していた。確実に止めを刺せていなかったのがショックでね」

「どうした? アランらしくないな。ミスなど気にせず、がむしゃらに突撃するのが少年の持ち味だと思ってたんだけどな」

「俺はそんなに無鉄砲に見えるのか?」

「無鉄砲だろ。たった一人で軍と戦っちまうくらい無謀だ」


 カーライル中尉が言っているのはロサンゼルス基地での事だろう。

 アランは自軍の全てを敵に回す危険を冒してでも、たった一人で友軍の中将を暗殺した。

 その頃の無謀さを知っているカーライル中尉には、たった一回の攻撃を外しただけでアランがショックを受けているのが信じられないのだろう。

(カーライル中尉が疑問に思うのは良く分かるよ。俺自身も信じられないから……)

 アランが追撃しなかったので、リベレスティアを連れた敵兵は多数の犠牲を出しながらも撤退していったーー

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