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白銀のシンセシス  作者: 大場里桜
前編:Grayish future
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さようなら

 戦艦リナリアがシンセシスー2を振り落とそうと加速を始めたが、アランは振り落とされる前にシンセシスー2を飛び立たせた。


「自分から離れたぞ! 馬鹿ですねぇ。これで撃ちたい放題ですよぉ!」


 ブウィィィィン!

 戦艦リナリアのCIWS(近接防空システム)の銃弾がシンセシスー2に迫ったがーー

 アランは()()()()()()()でCIWSを次々に破壊した。


「何だ!? 何をした? 何でファングのビームライフルを使えるんだ!? 私が作ったウエポンセキュリティーは完璧なのだ! E.G.軍の素人のくせに、何故解除出来たのだ!?」


 ギルモア博士にとっては想定外の事態であったのだろう。

 だが、アランにとっては普通の事である。

 シンセシスー2は元々、親衛隊仕様のリベレーンである。

 同じ機体の武装が使えるのは当然の事である。

 アランは撃破したリベレーンが持っていたビームソードを回収して、戦艦リナリアのブリッジに接近した。


「待て! 今のは間違いだった! 君を撃墜しようとしたのは、ファングに従っただけだ! 私は科学者だ! 本当は戦いに出るような立場ではない! 他のヤツはいい。私を助けろ! 私が持つ英知こそ、人類の未来に必要なものだ! 個人的な恨みを抑えて、人類の未来を守れぇ!!」


 パァーン!

 銃声が鳴り響き、通信が切れた。

(銃声?! 味方に撃たれたのか?)

 アランはモニターに映し出されている戦艦リナリアのブリッジを拡大表示した。

 ブリッジクルーが全員起立して、シンセシスー2に向かって敬礼をしている。

 そのやつれた表情から、今までの行いに対しての後悔と諦めが伝わってくる。

(上層部の命令だったから仕方がなかった……というには重過ぎる罪だ……覚悟は出来ているのだな。それなら……終わらせるよ!)

 シンセシスー2がブリッジにビームソードを突き立て続ける……耐ビームコーティングを突き破るまで……かき集めたビームソードを何本も……

 そして、耐ビームコーティングを突き破ったビームソードによって、戦艦リナリアが爆発し、シンセシスー2は吹き飛ばされた。

(疲れたな……もう……俺には……)

 アランは戦う気力を失い、意識を手放しかけていた。

 トン!

 コクピットを揺する軽い衝撃がアランの目を覚まさせた。


「アラン、生きてる?」


 通信機から聞こえるアーサーの声。

 別れて15分程度しか経っていないのに、何故か懐かしく感じる。


「アーサー?! 何故?!」

「何故って? 敵の包囲を突破してきたんだよ」

「よく突破出来たな。撃墜されている頃だと思ってたよ」

「それは酷いね。僕を誰だと思っているの……と言いたいところだけど、こっちも満身創痍って感じなんだよね」


 アーサーの言う通り、モニターに映るカリバーンは満身創痍といっても過言ではない状態であった。

 装甲は所々剥がれているし、アルダーン用のビームソードを装備しているという事は、カリバーンのメインウェポンであるトライ・レジェンズを失ったのだろう。


「ごめん、アーサー。イーサン達は撤退した。作戦失敗だ。もう<タカネ>の中枢システムに侵入する事は出来ない。もう救えないんだ……」

「そうか……一人で良く頑張ったね。アランも撤退してくれ。シンセシスー2のダメージは大きい。もう戦えないよね?」


 アランはモニターにダメージ状況を映し出した。

 右腕は戦艦リナリアを撃沈した時に吹き飛んでいる、左腕は左肩部を斬り裂かれた時に動作を止めている。

 脚部は正常に稼働するが、腕部が稼働しないのであれば武装を使用する事が出来ない。

 アーサーの言う通りシンセシスー2は、今度こそ本当に戦う力の全てを失ってしまった。


「なぁ、アーサー」

「何かな?」

「アーサーは逃げないのか?」

「そうだね。まだ友軍が戦っているからね。逃げる事は出来ないよ」

「俺が不安だから援護しろって言ってもか?」

「何それ、アランらしくないね。さぁ、時間が無いから早く逃げて」

「命をかけてでも友軍を守る必要があるのか? 簡単に降格させるような相手だぞ」

「それでも僕はE.G.軍の軍人だよ。それに、あの時は僕が悪かった。受け入れてもらっただけで満足さ!」

「お人好し過ぎるんだよ!」

「お人好しか……そうだね。僕はお人好しだからさぁ、アランが困った時は必ず力を貸すよ。だから、君が本当に成し遂げたい事が出来たら、必ず僕を誘ってくれよ」

「あぁ、そうするよ。いつか……俺の力で成し遂げられない事があったら、必ずアーサーを頼る!」

「それじゃ、行ってくるね。さようなら、僕の小さな友人。元気でね!」


 アーサーのカリバーンが敵陣目掛けて飛翔していく……

(俺は忘れない……この悔しさを……己の甘さが招いた悲劇を……そして、こんな俺を守ろうとしてくれた友人がいた事を……)

 アランはシンセシスー2を飛行形態に変形させ、戦場から離脱したーー

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