表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
白銀のシンセシス  作者: 大場里桜
前編:Grayish future
107/228

獅子の牙

 アランにはパウエル中将の戦艦バルムンクが、何も成し遂げられず撃沈した事が信じられなかった。


「何が起きている?」

「何だろうね? カリバーンが10機くらいあれば可能だと思うけど」

「カリバーンが10機ね……親衛隊か!」


 ジェイクが突然叫んだ。


「ジェイク! いきなり叫ぶな!」

「わりぃ、旦那。本当にカリバーンが10機……いや、10機以上出撃しているかもしれない」

「どういう意味だい? えっと、アランの部下のジェイクさんだっけ?」

「おう、ジェイクで合ってるぜ。でさ、閣下の親衛隊なんだけど、そのカリバーンってヤツと同じVVS2クラスのG.D.ジェネレイターを搭載している機体が10機以上配備されてるんだ」

「VVS2クラスのG.D.ジェネレイター……俺のシンセシスー2のベースになった、オリジナルのリベレーンか!」

「旦那の機体はリベレーンベースだったんですね。その通りですよ。親衛隊は、6年前のエリートパイロットを集結させた部隊なんですぜ」


 ピピッ!

 ジェイクの言葉を肯定するかの様に、VVS2クラスのG.D.ウエイブが多数検出された。

 アランは消えかかっていた憎しみが込み上がってくるのを感じた。

(こいつらが親衛隊……俺の両親を殺した奴らの同類! 道連れにして……違う! 俺の為すべきことは!)

 アランは憎しみを抑えた。

 今のアランが為すべき事は、<タカネ>を止めて地球を救う事だからだ。


「聞こえているか? 親衛隊のパイロット! 今、<タカネ>は制御を失っている。我々は救援活動を行っている。共に戦ってくれないか?」


 アランが共闘を呼びかけたが、親衛隊機に反応はなかった。

 5機の親衛隊仕様のリベレーンが友軍を撃破しながら接近してきている。

(反応なし……全く動揺を見せないという事は、真実を知っているのだな。その上で攻撃を仕掛けているのだな!)

 アランはセンサーシステム『百目』を起動し、シンセシス・ライフルをAIモードで起動した。

 流石エリートパイロット、オート射撃では当たりはしない。

 だが、けん制にはなっている。

 1機でも2機でも遠ざける事が出来れば、戦力の差を埋められる。

 アランは格闘プログラム『摩利支天』を起動してリベレーンに接近した。

 右のビームブレイドで袈裟斬りにして敵のビームソードを薙ぎ払うと同時に、左のビームブレイドでリベレーンの胴体を横薙ぎにした。

(アーサーは3機の相手をしているか……残り1機を俺が落とせば!)

 アランはAIモードのシンセシス・ライフルのけん制射撃で追い払った、残りのリベレーンに接近した。


「あぶねぇ、旦那!」


 シンセシスー2の背後で爆発が発生した。

 アランはモニターで背後を確認すると、シールドを破壊されたジェイクのアルダーンが見えた。

 接近戦で仕留めようとしていたリベレーンが距離を取った。


「大丈夫か、ジェイク!」

「シールドをやられた。ロングレンジライフルを装備したリベレーンが居やがった!」

「ちょっと厳しいかなっ! まだやられる気はないけどねっ!」


 アーサーの声色は、言葉と裏腹に余裕の無さを感じさせる。

 レーダーを確認すると5機のリベレーンに包囲されていた。

(何機いるんだ? これ以上敵機が増えたらアーサーでも対処出来ない。敵の主力はここだけか? フリージアとカーライル中尉は無事だろうか?)

 既にフリージア以外の宇宙戦艦は撃沈している。

 最後の宇宙戦艦であるフリージアが集中攻撃を受けるのは明白だ。

 アランは迷った。

 ここで親衛隊と戦い続けるか……戦艦フリージアの元に退却するか……


「オリヴァーさん次第かな? 何とかしてくれるといいんだけどね!」

「何とか出来るのか……カーライル中尉が……」

「旦那、俺が道を切り開きますぜ!」

「何を言っている?」

「そうですよ。ただの量産機のアルダーンで何をするんですか?」

「旦那の逃げ道作んだよ! こんな所で死ぬんじゃねぇよ! 凛ちゃんと一緒に逃げろや!」

「出来るか! 今までどれだけの人が死んだと思っている! 無駄には出来ないんだよ!」

「そんなの旦那が背負う事じゃねぇんだよ!」

「俺が背負う事だ! 俺は逃げない!」

「どうするんだい? 言い争いしている余裕はないっ!」


 アーサーの言う通りだった。

 既に、敵の親衛隊機の集中攻撃を受けて防戦一方である。


「こうすんだよ! 俺の命で! 旦那達の未来を切り開く! でやああああああ!」


 ジェイクのアルダーンが敵の親衛隊機に突撃をした。

 3機のリベレーンがアルダーン目掛けてビームソードを振りかぶる。


「避けろ! ジェーイク!!」


 アランの叫びが空しく響いた……と同時に赤い粒子が1機のリベレーンに降り注いだ。

 そして、突撃してきた赤い機体がもう1機のリベレーンを蹴とばし、最後の1機をビームアックスで斬り裂いた。


「何をやっているジェイク! お前はまた自爆するつもりか!」

「旦那!」


 ジェイクが『旦那』と叫んだ。

 その一言だけで、待ち望んだ相手が来た事を喜んでいるのが分かった。


「宇宙の民を守る獅子の牙、ファングは失われてはいない! このイーサン・アークライトがいる限り! これより俺が指揮を執る。<タカネ>のファングは俺に続け!!」


 イーサン・アークライトの声が、敗北感に打ちひしがれていた友軍を歓喜に染めた。

 アランもリベレスティンの雄姿を見て心強いと思った。

(遅いぞ! イーサン!!)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ