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白銀のシンセシス  作者: 大場里桜
前編:Grayish future
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最後の出撃準備

 パウエル中将の指示を受け、フリージア隊も出撃準備を進めていた。

 アランは出撃準備を進めながら、先の戦闘で破損したシンセシスー2の修理箇所の確認を終えた。

(流石ウォルフ技師長だ。先の戦闘で破損したセンサー類も問題ない)


「シンセシスー2は準備完了だ。アーサーは大丈夫か?」

「僕は問題ないよ。カリバーンも絶好調だよ。オリヴァーさんは大丈夫? 疲れていないよね?」

「心配ないさ。スッキリした気分だよ」

「それは良かったです。みんな心配していましたよ」

「心配かけてすまなかったな。でもさ、実際に見回りに出て確信出来た。ここにいる友軍は良い奴らばかりだってさ。<タカネ>の住民も同じさ。今の俺に迷いは無くなった。命を賭して守る価値があるって心の底から思える様になった」


 後から合流したアランにはカーライル中尉が<タカネ>で何をしていたのか分からなかったが、カーライル中尉の声色で、それが彼にとって良かった事なのだろうと理解した。


「何をしていたか知らないが……良かったな」

「それは良かったです。アルダーン・カスタムHEの方は大丈夫ですか?」

「大丈夫だぜ。少し武装が足りないけどね」

「大丈夫ではないだろ? あっさりやられるなよ」

「それは無いよ。アランは知らないと思うけど、前回の戦いでオリヴァーさんは一人でレイモンドを退けたんだよ」

「装備を知られたから、次回も同じようには戦えないだろうけどね。まぁ、今回の目的は<タカネ>のアポジモーターの破壊だし、足りないのは追加装甲だけだから問題ないさ」

「それなら平気だな。主力はアーサーのカリバーンになるだろうけどな」

「そうだね。チャリム部隊で最も攻撃力が高いのはトライ・レジェンズのランスモードだからね」

「おいっ、カーライル! そんな物持ち込んでどうするつもりだ!」


 突如、ウォルフ技師長の怒鳴り声が割り込んだ。

(何を怒っているんだウォルフは? カーライル中尉は何を持ち込んだのだ? コクピットに持ち込むものと言えば、非常食くらいだとは思うけど……)


「ウォルフ? カーライル中尉は何を持ち込んだんだ?」

「ウォルフ技師長に怒られるなんて、オリヴァーさん何を持ち込んだんですか? 怪しいですね」

「ひでぇなお前ら。武器だよ、武器。出来るだけ多く武器を持ってきたかっただけだって!」

「だからって歩兵用の携帯武装まで持ち出す事はないだろ!」

「機体を捨てて戦う状況になる可能性だってあるだろ? 今回の作戦は火力が大事なんだ。武器は多い方がいいだろ?」

「知らんぞ。コクピット内で誤射して死ぬなよ!」

「分かった、分かった。そんな間抜けな死に方しないからさ」

「でも、オリヴァーさんならやるかもしれないですね」

「そうだな。仲間を巻き込むなよ」

「はいはい、分かりましたよ。気をつけますって」


 話をしている間に出撃準備が完了した。

 今回の作戦は、最初にアルダーン部隊がシップデストロイヤーを設置してアポジモーターを破壊。

 その後、破壊しきれなかった箇所をチャリム部隊と戦艦の砲撃で破壊する。

 フリージア隊でも、先に出撃するシップデストロイヤーを装備したアルダーンがカタパルト前に並んだ。

 出撃順が後のアランはコクピットで内でくつろいでいた。


「アラン、大丈夫かね?」


 (さい)大佐から秘匿通信が入った。

 同志との連絡手段が見つからなかった大佐は、避難用のスペースシャトルに搭乗して<タカネ>から脱出する予定であった。

 今の<タカネ>の状況は異常だ。

 ファングの陰謀か?

 謎の組織の陰謀か?

 誰の思惑で起きた事か分からないが、これが最後の戦いになるかしれない。

 だから、これが大佐との最後の会話になるかもしれない……


「大丈夫ですよ大佐。ここでお別れですね……」

「悔しいね。大人の私が戦わずに逃げて、アランを戦わせるなんてね」

「それが大佐の役割だから。あれを託せるのは大佐しかいない」

「分かったよ。必ず同志の元に情報を届けるね」

「大佐、ご無事で! 生きていたら、いつか会いに行くよ」

「シニチの力が守ってくれる事を祈ってるよ」


 (さい)大佐からの通信が切れた。


「よしっ、これで準備完了か?」


 一通り会話が終わったのを見計らった様にジェイクから通信が入った。


「ジェイクは大人しかったな」

「凛ちゃんの件で懲りたのさ。俺は余計な事を言い過ぎだ」

「分かっているならいいさ。でも、俺達と一緒に戦って大丈夫なのか? 味方と撃ち合う事になるぞ」

「味方と撃ち合うのは嫌だけど、今回は<タカネ>を守るのが目的だ。同じ宇宙の民を守る為なんだ。邪魔する相手はファングでも俺の敵さ」

「そうか、一緒に頑張ろう」

「おう!」


 ジェイクが一緒に戦ってくれるのは心強い。

 戦闘能力の問題ではない。

 作戦中にファング……イーサンの襲撃を受けた時に対処出来るからだ。

(イーサン、お前はこの状況で何を思う? お前なら必ず来るだろ? 次に会った時は、あの時の決着をつけよう!)

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