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季節外レノ転校生

 


 僕達が教室に滑り込んで数秒経った後、本鈴が鳴り響いた。

その後タイミングよく、担任と副担任が入ってくる。

騒いでいたクラスメイトも大人しく席へ座りだす。

僕も急いで自分の席へ移動する。


「委員長、号令」

「起立」


 いつも通り、いつも通りのこと。

けれど、僕は見ていた。

扉の向こう側に人影があるということ。


 担任の話によると、転校生がやってきたらしい。

夏休みに少し入る前のこんな時期に。

しかもクラスメイトは口々に美形だとか、都会からやってきただとか。

まぁ大体そんな感じの噂を話し出した……なるほどね。

黒板の前に立っている少年を見ると、納得できた。

恐らく僕よりも背は高いであろう、いわば中肉中背。

女子の黄色い歓声が教室へ響く。

少年は少し目を泳がせていたりしたが、僕も同じ立場だったらそうなるだろう。

頬杖をつきながら、少年を眺めた。


「じゃあ、自己紹介してくれるか」

「はい」


 男子にしては珍しい柔らかい声でそう言うと、また歓声が。

これは怖い。

いい音を立てながら、チョークが黒板を滑る。

へぇ、沖野おきのゆき……か。


「沖野雪です、これからよろしくお願いします」


 綺麗なお辞儀をして、雪君は言う。

一つ一つがツボなのか、また女子は騒ぎ出す。

一番後ろの席から見てると、騒いでない子も居るんだけどね。


「沖野は遠い所から遥々、戸乃中に引越してきたそうだ。

 仲良くしてやってくれ」




 昼休みになった。

雪君の席は僕の席より二つ前、周りには女子たちが群がっている。

聞き耳を立てると、どこから来たの、誕生日は?とか。

雪君は丁寧に一つ一つ答えているらしい。

手元にあるお弁当は未だに減っていない。


「律儀な奴だなー」

「そりゃあ、和君とは違うからね」

「なんだと?」


 お昼ご飯の焼きそばパンを頬張りながら、雪君を見つめる。

楽しそうだけど、なんか引きつってるような……?


「空、もしかして転校生気になってるの?」

「え?……あぁ、まあね」


 友明は全てお見通しのようだった。

気になってる理由は、この時期にどうして引越してきたのか。

そして、なんで引きつった笑顔を無理して作るのか。

焼きそばパンを全て食べ終わった後、隣で行儀よく食べてる友明に再び声をかける。


「友君、またお願いしていい?」

「今回はからあげで我慢してあげるよ」

「うっ……分かった」


 ヒーローの活動その1、クラスメイトの悩み解決――開始。

 

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