季節外レノ転校生
Ⅱ
僕達が教室に滑り込んで数秒経った後、本鈴が鳴り響いた。
その後タイミングよく、担任と副担任が入ってくる。
騒いでいたクラスメイトも大人しく席へ座りだす。
僕も急いで自分の席へ移動する。
「委員長、号令」
「起立」
いつも通り、いつも通りのこと。
けれど、僕は見ていた。
扉の向こう側に人影があるということ。
担任の話によると、転校生がやってきたらしい。
夏休みに少し入る前のこんな時期に。
しかもクラスメイトは口々に美形だとか、都会からやってきただとか。
まぁ大体そんな感じの噂を話し出した……なるほどね。
黒板の前に立っている少年を見ると、納得できた。
恐らく僕よりも背は高いであろう、いわば中肉中背。
女子の黄色い歓声が教室へ響く。
少年は少し目を泳がせていたりしたが、僕も同じ立場だったらそうなるだろう。
頬杖をつきながら、少年を眺めた。
「じゃあ、自己紹介してくれるか」
「はい」
男子にしては珍しい柔らかい声でそう言うと、また歓声が。
これは怖い。
いい音を立てながら、チョークが黒板を滑る。
へぇ、沖野雪……か。
「沖野雪です、これからよろしくお願いします」
綺麗なお辞儀をして、雪君は言う。
一つ一つがツボなのか、また女子は騒ぎ出す。
一番後ろの席から見てると、騒いでない子も居るんだけどね。
「沖野は遠い所から遥々、戸乃中に引越してきたそうだ。
仲良くしてやってくれ」
昼休みになった。
雪君の席は僕の席より二つ前、周りには女子たちが群がっている。
聞き耳を立てると、どこから来たの、誕生日は?とか。
雪君は丁寧に一つ一つ答えているらしい。
手元にあるお弁当は未だに減っていない。
「律儀な奴だなー」
「そりゃあ、和君とは違うからね」
「なんだと?」
お昼ご飯の焼きそばパンを頬張りながら、雪君を見つめる。
楽しそうだけど、なんか引きつってるような……?
「空、もしかして転校生気になってるの?」
「え?……あぁ、まあね」
友明は全てお見通しのようだった。
気になってる理由は、この時期にどうして引越してきたのか。
そして、なんで引きつった笑顔を無理して作るのか。
焼きそばパンを全て食べ終わった後、隣で行儀よく食べてる友明に再び声をかける。
「友君、またお願いしていい?」
「今回はからあげで我慢してあげるよ」
「うっ……分かった」
ヒーローの活動その1、クラスメイトの悩み解決――開始。




