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白の英雄譚  作者: 東ノ店
第二章 vs海王: 海の独裁者リヴァイアサン 海賊編
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冒険のはじまり!!

 キューキューと、鳥の囀りが目覚まし時計代わりに、俺の目を覚ましてくる。


 ううーーんっと背伸びをしながら、砂の上で泥のように寝ていた体を起こすと、冷たくて気持ちの良い風が吹いてきた。


 小さめの森やヤシの木も、その風に吹かれて気持ちよさそうだった。


「良い朝だ!!」


 こんなにも気持ちいい朝があるなんて、まったく世界というのは素晴らしいですね!


「それじゃあ、早速色々と試していこうか」


 今日中にはこの無人島から脱出したい。流石にこのままじゃ退屈だ。


「そのために、やっぱまずは魔法だな」


 どうすれば?なんて事はわからない。でも、やってみれば案外何とかなるかもしれない。


「ウィンド!!ファイアー!!フリーザ!!サンダー!!」

 

  とりあえず心のままに言葉にしてみたが、案の定何も起きなかった。


「くそ~~まあ無理だよなぁ」


 わかってたことだし、気落ちはしない。


 てか、最初の以外は全部ありきたりだし、魔法よりもポケモンを連想させる。


 でもあいつら映画で普通に捕まってて、初めて見たときは純粋に驚いてたけど今見たら伝説なのか、疑いが強くなる。


 だって、他の準伝のエンテイとスイクンはちゃんと映画で威厳があった。なのに、あいつらときたらまったく。特にファイヤーだな。


 ん、ライコウ?たしか、映画での出番がダイパまでなかった奴か?そんなやつは知らん。


 それに俺とは世代も違うしな。


「さて、次はどうするかな?

 あれか?イメージの問題とか?」


 ついつい無駄なことを考えてしまった。 


 今は魔法についてだ。異世界だし流石に使えると思いたい。


 常に想像するのは最強の自分って言うし、魔法もイメージが大事かもしれない。


 実際、魔法に限らずイメージするのは大事っていうのが俺の自論。


 絵を描く時だってそうだった。


 周りがどうかは知らないし、どうでもいいけど。

 俺はそうだった。


「魔法をイメージ・・・イメージ・・・イメージ」


 この無人島からでることができる魔法。

 例えば、空を飛べる魔法とか。


 想像しやすいように、瞼を深く閉じることにした。

 

 背筋を真っ直ぐに伸ばして、さらに右手を前にかざし、それを左手で支える。


 ただ、俺は瞼を閉じても、ちゃんと集中した試しがあんまりない。


 嫌な記憶のせいだ。

 目を瞑ればどんな時も俺の目の前に現れてくる。


 ここに白紙の紙があれば、それだけを見続けているのに。そうすれば何も考えずに済む。


「いやとにかく想像だ想像。まずは飛ぶ。飛ぶと言えば、空・・・空か」


 おかしい、変だな。


 今、魔法以外で思い浮かんでくるのは昨夜の星空だ。いつもの記憶とは違う。


 そういえば、昨夜はいつ寝たか、記憶にない。

 星を見ていたら、気がつけば朝になっていた。


 こんなのは久々だ。


 それに、原因不明の胸のツッカエもマシになった気がする。てか今の今まで忘れてたぐらいだ。


 絶対にあの夜空のおかげだ。


「あの星空を・・・飛んでみたい。魔法ならそれができる」


 あの星空に少しでも近づけたら、それだけで人生は良いのかもしれない。


「あの夜空を、魔法なら飛ぶことができるかもしれない」


 自分があの空を飛んでいる、そんな絵を脳裏に焼き付けるように、慎重に思い浮かべた。


 いつだってどんな時だって、まず想像するのは自分。俺を中心に、あの夜空を飛んでいる絵を頭の中で描いていく。


 たぶん、あの夜空を完全再現するのは不可能だ。

 たとえ魔法でも。


 それでも、魔法を使える気がしてくる。


 アニメを見た時もゲームをした時も、自分ならって、その世界に自分を置いたことがある。


 どれも、絶対に無理で届かないことだったけど。


 ただ、あの星空は俺の世界にあるもの。

 俺の世界にあるなら、俺だっていけるはずだ。


 あの空を飛ぶ。この事実があればいい。


 完全再現は無理でも俺を中心に描けば、ある程度は誤魔化せる。


 主役は、俺なんだから。


「魔法みたいな空だったけど、現実にあったんだから」


 だんだんと答えに近づいている感触がある。


 昨日までは考えれば考えるほどわからなかったけど、今はその逆。


 考えたら、すぐに次のステージにいける。


 何でもできると思えてくる。

 世界が、ようやく俺についてきたのかもしれない。


 今俺が想像するのは、空を飛ぶ自分。

 あの星空を飛ぶことができる自分。


「完全再現できなくてもいい。主役は俺だ」


 飛び方なんてなんだっていい。


「俺なら、できる・・・」


 この状態に何か一つ変化が生まれれば、その時が魔法を使える時だ。


 そしてその変化は、自分で作る。

 作れるんだ。


「イメージするのは・・・俺の世界!」


「飛べよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」


 ついでに言いたかったセリフもおまけにつけて、深く閉ざしていた瞼を開けて、瞳を世界につなげる。


 想像は、ようやく現実になる。


 風が、その姿を青くして形にしていた。砂は、わたあめ機の中みたいに俺を中心に荒々しく舞っている。


 そして青い風が足元から上昇していき、頭上にできていた。


「使えた……使えたぞ!!」


 空を飛ぶ魔法。

 この風が俺を運んでくれるのか?


 しかし、青くなっている風は俺を運ぼうとはせず、頭上でなにやら一つになろうとしてしる。


 薄い青だった風は、だんだんと一つになっていき色も濃くなっていく。


 その空気の塊は、明確な何かになっていく。


「鳥?」


 出来上がった物は朧げだけど、このシルエットは間違いなく鳥だ。


「俺、鳥は想像してないんだけどなぁ・・・」


 羽を動かさず宙に舞っていた青い風の鳥は、等速直線運動みたいな動きで降りてきて、俺に対して首を出してきた。


 よくわからんが、とにかく魔法は使えたんだよな?

 ・・・ぃよっしゃ~。


「えっと・・・これは乗れば、いいのか?」


 鳥からの反応は特にない。

 けど、俺が出したんだし、良いよな?


「まあ、空を飛んでくれたらいいからね〜……」


 そ~おっとまたがると、途端に直角90度に上昇し、十分な高さに到達してから軍人みたく綺麗に止まった。


「うわあうあ、馬鹿お前急に動くな!」


 今度はまったく動かない。


「あれ?これ指示待ち?・・・なるほど」


 そうか、ポケモンか。

 もしかして、ポケモンのことも考えてたからこんな感じになったのか?


「まあ、ポケモンと旅するのも夢だったからいいけど」


 誰だって一度は想像したと思う。

 想像しない人なんているのか?


「とりあえず前に進め。なるべく人がいそうなとこに。あとゆっくり!」


 予想通り、鳥は俺からの指示を待っていたみたいで、指示を出すとおもむろに動き始めた。


 またまた軍人のように素早く、簡潔に飛び始めた。


「おお!!!」


 若干の想像のズレはあるけど、人生最高だ。

 これだよこれ、これこそ異世界の醍醐味!


 高さなんて、全く気にならない。


 空から見る景色は、俺にようやく冒険のはじまりを知らせてくる。

 これが俺の冒険の始まりだ!

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