冒険の始まり?
しばらく経って、冷静になるとわかることがある。
確かにこの体は強いが、そもそもこの世界の平均がこれなんじゃないかってこと。あと、ここは小ちゃい無人島だってこと。空から見えてはいたが、まさかここまで小さいなんてな。
誰もいなければ、何も見えない。
海!!と、海がものすごい主張をしてくるだけだ。
ここは異世界の中でもさらに異世界だ。
「異世界、ここ異世界だぞ。なんだって最初にいるのがこんな無人島なんだよ。てか最初は海の中にいたんだし、意味わからん!」
冷静になってみれば、「異世界だ!」なんてぬか喜びは消えていた。賢者タイムだ、まったく。
今絞れているのはざっと二択。
この世界に元々いた身体に転生したのか、それとも俺に与えられた初期スキンなのか、だ。
前者、めんどくさい。
後者、めんどくさい。
結論どっちもめんどくさい。ちきしょう。
前者なら。この身体の旧友にでも会った時、色々と説明がめんどそうだ。あと、こいつが生きていたのか死んでいたのかもわからない。
「ま、生きてたとしても身体奪われる方が悪い。うん」
で、後者は明白だ。
前者と違って、ここに人が通る確率が一気に下がる。
流石に人通りのある所に転生したと思いたかったけど、しばらく砂浜で座っていても人の気配なんて全くしなかった。船の一つも通らないって、やっぱあの化け物のせいだよな。
「まずはあれを何とかして、ここから自力で出ろってか」
俺、チュートリアルはAボタン連打で飛ばすタイプなんだけどな。
「クッソ。なんだってこんな無人島スタートなんだよ」
俺にはもう寝転ぶことしかできない。
すると、太陽はすでに真上にはなかった。
てか太陽ってどっちからどっちに傾くんだっけ?まあどうでもいいけど。
こうやって寝てたら海風が丁度気持ちよくて、ここも天国みたいに感じれて良いんだけどな。
なんて考えたら、心臓がわざとらしく鳴ってきた。頼むから止まっていてほしい。
…………。
「てかほんとにどうすんだよ!ふざけんなよ!」
「なんでこんなクソみたいな場所から俺の冒険が始まんだよ!」
このままだと、ここから出れないまま終わるかもじゃねえか。
せっかくの異世界を?こんな無人島で?じわじわと終わるだけ?呑気に寝てる場合じゃねえよ、どうすんだよ!!
俺ほんとにこっから始めんの!?はぁ!?
「ざっけんなよ!!」
「・・・まあしばらく考えるけどさ」
俺の冒険の始まりが、まさか無人島からの脱出からなんてな。絶対ゲームの種類間違ってるだろ。
ゲームならもっと簡単にしてくれよ。難しいゲームとクソゲーは別だぞ馬鹿野郎。




