孤独は最強になりえる?
空は、青い。
太陽は、眩しい。
夏の海風は、気持ちいい。
高さ数百メートルから落ちても、痛くない。
「どいう、こと?」
頭はおろか首も痛くない。試しに首に手を当てて確かめてみたが、綺麗な首がちゃんと繋がっていた。それを確かめる手も、綺麗な形をしていた。
けど、まだ信じられない。
太陽に手を翳してみると、力が有り余っていて太陽にでも届きそうだった。
カモメなのか、ウミネコなのか、鳥が鳴いている。
海から浜辺に、喉かな波が、ざーざーと白くなってやってくる。夏の気持ちのいい風が、椰子の木をかすかの揺らし、葉と葉の擦れる音を奏でていた。
まるで、自然の合唱会だ。
翳した手には、錆のない金ピカな指輪や腕輪がつけられていた。手首から下は、これまた見覚えのない西洋の服装が伸びている。
俺が、伸ばした腕。
「これって、まさかさ?」
俺が、出した声。
ザバァン!!と遠くの方でさっきの化け物が唸りを上げて、息継ぎでもするみたいに空中に飛ぶ。しかも、それが何体もいる。
「マジか……」
あんなのが現実にいるのは間違っている。あんなのは創作物の中でしか存在してはいけないもののはずだ。
俺は、確かに死んだ。仮に死んでいなくても、この右手はなくなっていたはずだ。
足だってそうだ。歩けたもんじゃなかった。
一息ついて気づいた、腰あたりにある妙な感触。
手で触れると、ガチャと鉄の擦れる音がする。その鉄の何かを指でなぞると、これが剣だということがわかった。触ったことなんてないが、間違いない。
体を起こし、ようやく自分の身なりを視界で確かめることができた。ゆっくりと見たいから、もう何も起きないでくれよ。
瞼にちゃんと入れた。俺は見たんだ。
これが誰かのイタズラなら、とんだ力の入れようだ。どんだけ俺に恨みがあるのか。
もし本当にそうなら、俺はそいつを本気で殺す。
だが、たぶんそっちの方が確率としては低いだろう。俺はそんな陰謀論よりも、さっきまでの出来事と、現在進行形で目に映る物を信じる。
指には指輪がある。腕には腕輪がある。そして服は古代西洋みたいなの。
最後の最後。
試しに腰にかけている剣を左手でじっくりと味わって抜いていく。左利きじゃないからちょっとぶっきらぼうだったけど、初めてにしては上手い方だ。
鞘から抜いて出たその刀身は、生きているみたいな鳴き声をあげた。太陽の光に当てられた刀身の美しさ全て吸い込みそうだった。
この美しさの前では、言葉が出ようとしなかった。
今から俺は、この剣の一太刀をもって最後の証明をするため、みよう見栄えで構えを取る。
おかしい、なんだか緊張してしまって、唾なんか飲み込んでしまった。
防護力は十分わかった。なら、攻撃は?
すっーっと息を吸い、吐くと同時にその空気を断つ。
「ふん!!」
適当に振った一太刀は、空間を切り裂くほどだった。
ここまできたらわかる。
俺にはわかるんだよ!
「異世界!これ異世界だろ!!」
「しかもこの最強の身体があればさあ!!いけるよな!!!この世界は俺のもんだ!!!!!」
「あははははははは!」
異世界?いいやさらには俺の世界だ!




