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白の英雄譚  作者: 東ノ店
第一章 最低で無価値。 転生編
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5/15

孤独は最強になりえる?

 空は、青い。

 太陽は、眩しい。

 夏の海風は、気持ちいい。

 高さ数百メートルから落ちても、痛くない。


「どいう、こと?」


 頭はおろか首も痛くない。試しに首に手を当てて確かめてみたが、綺麗な首がちゃんと繋がっていた。それを確かめる手も、綺麗な形をしていた。


 けど、まだ信じられない。


 太陽に手を翳してみると、力が有り余っていて太陽にでも届きそうだった。


 カモメなのか、ウミネコなのか、鳥が鳴いている。


 海から浜辺に、喉かな波が、ざーざーと白くなってやってくる。夏の気持ちのいい風が、椰子の木をかすかの揺らし、葉と葉の擦れる音を奏でていた。


 まるで、自然の合唱会だ。


 翳した手には、錆のない金ピカな指輪や腕輪がつけられていた。手首から下は、これまた見覚えのない西洋の服装が伸びている。


 俺が、伸ばした腕。

 

「これって、まさかさ?」


 俺が、出した声。


 ザバァン!!と遠くの方でさっきの化け物が唸りを上げて、息継ぎでもするみたいに空中に飛ぶ。しかも、それが何体もいる。


「マジか……」


 あんなのが現実にいるのは間違っている。あんなのは創作物の中でしか存在してはいけないもののはずだ。


 俺は、確かに死んだ。仮に死んでいなくても、この右手はなくなっていたはずだ。


 足だってそうだ。歩けたもんじゃなかった。


 一息ついて気づいた、腰あたりにある妙な感触。


 手で触れると、ガチャと鉄の擦れる音がする。その鉄の何かを指でなぞると、これが剣だということがわかった。触ったことなんてないが、間違いない。


 体を起こし、ようやく自分の身なりを視界で確かめることができた。ゆっくりと見たいから、もう何も起きないでくれよ。


 瞼にちゃんと入れた。俺は見たんだ。


 これが誰かのイタズラなら、とんだ力の入れようだ。どんだけ俺に恨みがあるのか。


 もし本当にそうなら、俺はそいつを本気で殺す。


 だが、たぶんそっちの方が確率としては低いだろう。俺はそんな陰謀論よりも、さっきまでの出来事と、現在進行形で目に映る物を信じる。


 指には指輪がある。腕には腕輪がある。そして服は古代西洋みたいなの。


 最後の最後。


 試しに腰にかけている剣を左手でじっくりと味わって抜いていく。左利きじゃないからちょっとぶっきらぼうだったけど、初めてにしては上手い方だ。


 鞘から抜いて出たその刀身は、生きているみたいな鳴き声をあげた。太陽の光に当てられた刀身の美しさ全て吸い込みそうだった。


 この美しさの前では、言葉が出ようとしなかった。


 今から俺は、この剣の一太刀をもって最後の証明をするため、みよう見栄えで構えを取る。


 おかしい、なんだか緊張してしまって、唾なんか飲み込んでしまった。


 防護力は十分わかった。なら、攻撃は?


 すっーっと息を吸い、吐くと同時にその空気を断つ。


「ふん!!」


 適当に振った一太刀は、空間を切り裂くほどだった。


 ここまできたらわかる。


 俺にはわかるんだよ!


「異世界!これ異世界だろ!!」


「しかもこの最強の身体があればさあ!!いけるよな!!!この世界は俺のもんだ!!!!!」


「あははははははは!」


 異世界?いいやさらには俺の世界だ!


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