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白の英雄譚  作者: 東ノ店
第二章 vs海王: 海の独裁者リヴァイアサン 海賊編
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俺ではない誰かが、戦っている。

「とにかく今は、何とかして道を作らないとッ!」


 遠くに行きかけていた意識の首根っこを掴んで呼び止める。


 今は頭の片隅に置いておけば良い。


「行くぞぉ鳥!狙いはやつの翼だ、もう回り込むのはやめだ。いつ本格的にくるかわからないからな!」


 それにもう十分角度はついた。

 ここあたりがボーダーな気がする。


 これも直感だ。


「くそ、なんなんだこの感覚。

 急に出てきやがって!」


 化け物の目に気づいてから、完全感覚からさらに変わった感覚が頭を包み込んでくる。


 スピードは出しすぎない。

 そうだな、ゲームで言えばテクニック重視だ。


 戦闘機のような軌道でやつに近づいていく。

 高度は変えない。真正面は、デットゾーンだ。


 て、これも直感だ、ちくしょう。


「クソ・・・、何なんだ?」


 いや、気にするな。

 今は目の前だ!


「あいつに近いたら、あいつより高く飛んでくれ。上から、頭、右翼左翼で奴に選択肢を与える。その繰り返しだ」


 ヒットアンドアウェイ。これしかない。


「上がれッ!!」


 雷鳴を轟かせているのがあの翼なら、翼を攻撃すれば隙ができる。そのうちに船も動けるはずだ。


 船長が舵を放してから一向に進んでいない。

 このままじゃ、あいつの思うつぼだ。


 たぶん、沈めようと思えばいつでも沈めれる。


 キュワーーー!!!!!と、その化け物は天高く叫んでいる。そして、そのバカみたいにデカい体を正面に移動さしてきた。


 あの大きさの体を持ちながら、なんとも俊敏な動きだ。


 あいつが動くだけで台風よりも凶暴な衝撃波が生まれている。


 けど、この鳥は簡単に怯む生物じゃなかった。

 偉いぞ。流石俺が出しただけある。


 それにもう遅い。

 お前よりも、俺のほうが速い。


 だんだんと雲に近づいていく。あの化け物によって高度がありえないぐらい上げられた雲だ。


 あいつが背伸びすればすぐに頭が天井につきそうた。でも、その雲を抜ければ?


 あいつよりも、雲よりも上に。

 

 重力の力も俺の力に変える。


 ああ、いける!!


「よし!このまま上を取れれば・・・あれ・・・」


 なんだ、なんなんだ、またあの感覚が。


 おかしい。何だ、急に違和感が・・・。


 これはなんだ?


「ッッ!!下がれ!!!」


 鳥の首根っこを掴み、軌道を無理やりに変えた。


 天井になっていた雲からは、何か嫌な予感がした。

 あれは、普通の雲じゃない。そう言われた気がする。


「そうか、あの雲は重たそうだなんだ!」


 空気であって、空気じゃない。


 あのまま雲を突き抜けようとすれば、その時点で終わりだった。


 高度が下がっていく。

 早く軌道を修正しないといけない。


 だが、奴は攻撃の狼煙とも受け取れる雄叫びと共に、翼に雷鳴が轟かせた。


 少しは待てよ。


「避けろ!!」


 針線みたいな稲妻が、クモの巣を水滴がはじけるよりも早く展開していく。


 こんなの食らえば、船は跡形もなくチリになる。


 急降下でその攻撃を避けていく。


 一度喰らうぐらいなら、耐えれるとは思う。だけど、一撃でも喰らえば無限地獄に落ちる気がする。


 奴の顔あたりにまであった高度は、水面すれすれまで下がっていた。

 

「ちくしょう、やっぱあいつ遊んでやがったな!!!ふざけんな!!」「船長今は頼みます!」


 遠くからそんなやりとりが耳に入ってきた。

 案外余裕そうでよかった。


 上下左右、奥行きを使い、こいつの周りをぐるぐると飛んでいる。射程内に入ろうとすれば、翼から無数の弾幕が飛んでくるからだ。


 もう角度とかは意味をなしていなかった。

 来るかわからない、その時をひたすらに待つ。


「くそ、いつ攻撃できるんだ・・・?」


「・・・これで、まだ本気じゃない?」


 これも直観だ。


 自分でも口にしているのに気が付いてなくて、ハッとしてしまった。


「クソ!一旦離れる」

 

 このまま飛んでいても何も起こらない。


 正直、予想以上だった。


 恐怖は感じていなかったからか、一度と二度目で攻撃があたったからか、予想が低くなっていた。


「絶対絶命って、やつか」


 でも、心が折れたわけじゃあない。

 一度目の攻撃のように、助走をつける。


 弾幕も、あのスピードで行けば役割を果たせないはずだ。あの弾幕は、一撃一撃はそこまでだ。


 まあそこまでって言っても、ビル一つなら粉々にできるだろうけど。


 後ろからくる雷撃を、軌道を揺らしながら避けていく。


 目標は、右翼だ。


 エネルギーを逃がさないため、大きなUターンをする。ここからは直線勝負。


 もうこれしかない。


「狙うは翼だ!!」


 使い鳥は残像を作るほどの翼を見せた。

 

 翼までわずか数秒だ。


 バケモノも負けじと自分の翼を広げる。


 相手が先か、こっちが先か、二回戦だ。


「え・・・?」


 目の前に、爆発したようなレーザーが現れた。

 こっちに向かってくる。


 あれ?終わる?


 これは、また一段と次元が違う。

 死を、感じる。


 死が迫ってくる。


 避けられない。

 意識だけが先行して体は反応していない。


 奴の姿がこのレーザーのせいで見えない。

 何をしたんだ?


 あ、終わる。


「・・・・・・」


 すると、俺の身体が、俺のではないみたいに、勝手に動き始めた。


 実体のないこの質量の塊を、光の手捌きで左手の持ち替えた剱で、縦に4枚下ろしにした。


 これは、俺なのか?


 

 

 

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