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TYPE60  作者: サヨツー
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4話

果たし状のことを伝えたのは艦長だ。

艦長は二人が艦橋へ来るのを待っていたかのようにそれを差し出した。

検閲という意も踏まえ、先にクリスがそれを受け取った。

彼の持つ文章にはアイラや箒乗りを酷く貶すような文章が並んでいる。

「模擬空戦?彼女が怪我でもしたら我々の面目が立ちませんよ?」

そういったのはクリスだった。

一通り目を通したクリスはそれをアイラへ渡す。

アイラは自らへの果たし状だと気がつくと、随分と舐められたものだなと思った。

「しかし、こんな愚かしい人間もこの船にはいたんですな」

クリスが艦長を見つめながら言った。

艦長は少し気を悪くしたような顔をしつつその視線をアイラへ移すと

「どうです?私としてはこんな果たし状を作ったバカに煮湯を飲ませてやりたいものですが」と言った。

アイラは例の果たし状に目を移す。

「ジャクソン観測機隊?ずいぶん挑戦的なやつだな、受けてたとう、いい余興になる」

「ウンディーネ卿、冗談はやめていただきたい」

クリスは素早く果たし状を取り上げる。

「いや、戦わせてもらう、これを引き受けなきゃ王国飛行隊の名が泣くさ」

クリスとアイラの目が合う、彼女はいたって真剣な目だった。

クリスは頭を掻きながら渋々引き下がった。

「少し場所を移す」

彼はそういうとUターンして、そのままある場所へ向かった。


 彼が向かったのは航空機格納庫だった。

 整備員や搭乗員たちを見回し、その中から一人の飛行士らしき男を一人捕まえる。

「すまない、使節団のクリス ジョンソンだ」

「ジェイコフだ、使節殿が何か用です?」

クリスは彼に果たし状の話について話すと、絶対に彼女に怪我させるなよという話を脅し混じりで話した。

「わかりました、伝えましょう」

彼は素直にそれを受け取ったようだ。

クリスは話の通じる人間でよかったと感じ、艦橋へ戻ることに決めた。

模擬空戦のことは艦内に知れ渡っているようで、帰り道至る所で噂話をする姿があった。

いずれも「特使の圧勝だろう」という評価であった、大事を取っているだけでその意見そのものにはクリスも同感であった。

艦橋に戻ると艦長からすでにアイラが飛行甲板に向かったことを知らされた。

クリスが急足でそこへ向かうと彼女はすでに全身に鎧を纏っていた。

「このペイント弾、使いずらいな」

彼女はそういうと不服そうな顔でそれを揺らして見せた。

「魔法は思った方向に飛ぶが、それはなぁ」

クリスも狙わなければ当たらない武器の不便さは痛いほどわかっているつもりだった。

「まぁ、それでも観測機相手に遅れは取らないさ」

彼女はそう言うと甲冑を被った。


戦艦ジャクソンは戦争の経験から生まれた船である。

制空権を奪わせないこと、それが顕著に出ている。

また、そのための妥協も数多い。

あまり船のことがわからぬクリスにでも理解ができるぐらいには。

箒飛行隊の配備だって、ユニバーサルを重んじる連盟の船としては異例でもある。

しかし、彼にはどうしてもわからないことがあった。

なぜわざわざ観測機隊にノンメイジを採用したのかということだ。

彼は箒の操舵装置のチェックをするアイラを横目にそんなことを考えていた。

「では参る」

「くれぐれも気をつけて」

「あなたはやはり私を舐めているな」

彼女はそんなことを言うと甲板から真っ直ぐ飛んでいった。

クリスはそれを見送ると艦長室ではなく観測機隊の控室へ向かった。


アイラはほぼ垂直に上昇する。

丁度、挑戦者に当たる航空機が水面を滑走する様子が見えた。




 




 

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