魔王たる故に魔王であって魔王たる故に自分がある
おはようございます。こんばんわ。こんにちは。
ありがとうございます。
50話です。こんなに続くとは思いもしませんでした。
引き続きお願いします。
大地の炎が収まるとハインが少しだけ足を浮かせ地面に魔法陣を刻んだ。
(ヌウ、福音は思いのほか面倒だな、精神が陽へと引っ張ら自我が崩壊しそうだ。まぁ、基は善良からなる力──・・・相反してるからな、俺と)
魔法陣が刻まれると大地に緑が覆い金色の粒子がはびこる。
「クソ、グレイ。招魂は」
「暫しのお待ちを」
「フン、まったく」
宙に浮きグレイはグレイで魔法陣を成していくがあまりの遅さに痺れを切らしたハインが手助けに行く。
「おいっ、俺は早く帰りたくなった」
「クス、今日はいい感じの自己チュー振りですよ。ハイン様」
「フン」
魔法陣を手伝うハインがグレイとともに呪文を唱える。
«招魂遠来蓮華»
二人が声を合わせ復唱すると閉じ込めていた魂が溢れ出て来た。魂は青や赤、各々個人が有する気の色で輝いている。
見物していたラスクがあまりにも美しく浮遊する魂たちに感動していた。
「ふわぁ、これ全部が人の魂かぁ」
「訳あって人の形を崩しました。本当はラスクを呼ぶ予定はなかったのですが」
「コレの不意討ちのために呼ばれたからね」
胸に入れた鳥籠をポンと叩き、ラスクは横にいるグレイに笑った。
「私よりラスクの方が強くなってます。悪魔大神官の肩書きが・・・」
「えっ、でもグレイは、みんなの神官だよ。生き返りも死者も魔物の催事もグレイがいなくちゃダメだよ。それに魔法に詳しいしね」
さまよう魂を見るハインはグレイとラスクの会話を小耳に挟み同じことを考える。
(ふむ。俺だとここまで綺麗に魂を保管出来ない。さすがグレイだ。俺だと面倒くなって半分は壊してしまう恐れがある)
銀の翼と金の翼と黒の翼の三種の翼が背から大きく羽ばたくと大きく息を吸い込むハインがいる。
(おやっ。ハイン様の翼が先ほどとは少し違います。もしやカノン様の翼を燃やすと見せておいて取り込まれたのですか?)
宙に浮くハインはグレイと瞳が合わさると口の端を上げいやらしい笑いをした後どや顔をして見せた。
(あの方は、タダでは転ばないお人ですね。自身に取り込めるモノは全て取り込むのでしょうか)
両腕を広げ両方の手のひらに魔刻紋を翳すハインを見てグレイは困り顔で頬に手を当てると溜息をついた。
「うわぁ、おじさんの翼。面白いね。金の翼もそうだけど、漆黒なんていつ生えたのだろう。おじさんは銀の翼と白と黒・・・もともと黒だけど、あそこまで漆黒では」
「あれは、カノン様の真の翼です。ハイン様を生み落とされた時には、病弱で色素が変異し銀に変わったのです。カノン様の翼はアデル様より素晴らしい艶めいた漆黒でした」
「へぇ、翼も遺伝だよね? アデルおじいちゃんの黒がさらに濃くなったってことかな? 銀もカノンさん?」
「ふふ、ハイン様は確実に遺伝です。上位級は翼とそれ以外に蝙蝠のような形状の羽も持ちますが新しい力の所為か今日は翼しか出せないみたいですね」
二人がハインを見つめ話しをしている。
話す二人を横目にハインは舌打ちをして睨んだ。
(フン、高みの見物を決め込むとは覚えておけよ。二人とも)
詠唱を口から奏で、舞を繰り出すハインの足元に魔法陣が渦を巻き組み敷かれていく。
さまよう魂がハインの魔法陣の渦に飲み込まれ淡いピンクの色彩が光りを放ち花びらが散るように舞っている。
蘇生 «蓮華»
福音の詠唱を終え、最後の韻を踏むと魂だったモノは、人の形を成していく。大地の木々は根を生やし、姿を見せていなかった鳥たちは囀り、花々が美しく咲き誇り風に身を委ね揺れていた。
「フッ。終わった」
宙に浮き、翼を携え腕を組むハインを神と間違えたのか、人々は取り囲むや否や跪き、深々と土下座をし始めた。
「ん? おかしいぞ人間。ま、今は許すか」
溜息をつき、ハインが指をならすと裸だった人間は簡単な服を纏い始める。
「どれ、もう一つサービスするか」
腕を伸ばし二カ所に向け、指を鳴らすと集会場のような建物と数本の丸太が横たわった。
「まぁ、エセ天使が仕出かしたこと故、ある程度の責は取るが後はおまえ達で何とかなるだろう。ったく」
土下座する人々の前で小言を言い捨て去って行こうとするハインの翼を掴む者がいる。
「ン?」
満面の笑みを浮かべる子ども達がハインを押し倒し襲いかかった。
「天使さま」「天使様」
「てんしさま」
(なにがこんなに嬉しいのだ。もとはわれわれの所為だと言うに、人間は翼を持つモノなら感動する生き物なのか。フッ)
「グレイ、悪魔の羽を生やして降りてこい」
言われる通り悪魔の羽を生やしたグレイが降り立つとハインはグレイの首に腕を回し教会に飛び立つよう命じた。
教会の上にハインは立ち、片翼に蝙蝠の羽を出し人々に見せると瞳を光らせ悪魔なほほ笑みを浮かべると見ている者の顔は歪み、不安と恐怖となんとも言えないもどかしさの色を落としている。
グレイは悪魔の出で立ちを見せ、ハインは天使の翼と悪魔の羽を見せびらかし牙を出しほほ笑む。
天使なのか悪魔なのか分からない姿を見せると人々の前から姿を消した。
「ハハ、見たか。あの顔、人間は面白い」
「おじさん、からかうの好きだよね」
「ふふふ、ハイン様はやんちゃが好きなのです。仕方がないお人ですね」
「グレイ、そもそもおまえがすぐ、迎えに来ておれば子どもに押し倒されることはなかったんだ」
グレイに抱かれ、体を預けるハインが口を尖らし文句を垂れている。
「このまま、魔王城に行け。出来れば監獄の方へ降ろせよ。エセ天使がいつでも出せるように」
「はい、ハイン様」
「ラスク、監獄に着くまで包んでおけよ」
「うん、おじさん。分かった」
「後な、グレイ。俺は子どもの前では翼を出さんようにする」
「はい、わかりました」
文句をたれるハインはほほ笑み、グレイは嬉しそうにハインを抱きかかえたままである。
「あれ、おじさん寝ちゃた」
「フフ、疲れたのでしょう。どうでしたか。勉強になりましたか?」
「うん、なったよ。グレイ、後で僧侶系の魔法教えてね。後、おじさんの蘇生大丈夫かな。悪魔なのに天使の力」
「フッ、それに関して心配は無用です。ハイン様は、混血ゆえに適性は十分です」
「えっ、ハーフなの。知らなかった」
驚くラスクの言葉を耳に捉えたハインは考える・・・・・・
(そう、俺は混血だ。母は魔王の娘、父はエセ天使だ。何が嬉しくてあいつの後片付けを・・・フン、まぁいいか。あいつらの間に生まれていなければ、俺は魔王ではなかったのだから)
疲れたハインは珍しくグレイに身を預け眠りに就いた。
自分が魔王に生まれた由縁を考え、深い眠りに就いた頃ハインは魔王城に着いていた。
お疲れ様です。冒頭にも触れましたが、50話です。ありがとうございます。まだ続きますのでお願いします。ブクマの登録がまだの方々お待ちしてます。また広告↓の☆ポイントもよろしくです。ものすごく励まされる上に心強さアップです。おかげで他の作品も進みます。ありがとうございます。




