表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無責任な魔王は常に◯◯する。  作者: 珀武真由
47/62

地面の魔法陣と空中の魔法陣と魔王

おはようございます。


 草木は枯れ、川は日照り、荒れ果てた大地は暗く響めき人間を襲う魔の大地と化した村がある。寂れた村はグレイがハインに告げようとしていた村だった。


 「すごいな。大地に施された円陣、そしてこのどす黒く紫がかった瘴煙」

 「はい。ある意味すごく感服します」

 「フフン。エセ天使(パニシャ)め。天使あるまじき行為、ヤツの方が我々より悪魔らしいわっ。ハハッ」


 教会の屋根の上に建つ十字架を足場に、そそり立つハインが村の全貌を眺める。


 「さぁ、グレイ。久々に悪魔大神官らしいことをしろ」

 「よろしいのですか。この村を本当に壊滅させても、盟約以来、力を発揮したことがありませんから加減を知りません」

 「フッ、笑止。加減などいるか。それにこの村は放っておいても生命(いのち)が枯れる」

 「そうですね。この村に敷かれた円陣は」

 「ああ、禁術だ」


 村に敷かれた円陣は紫の光を放ち、ここに居る人間を瘴気で包み黒い姿に変えさすと崩れていく。足場の円陣は崩れた人間を飲み込むと、何かを孕んでいるのか、波打つように土は唸っていた。


 「大地は何を孕むのか」

 「さぁ、では」

 「ああ、始めよ。ただし、人が持つ残留思念や、魂は残せよ」

 「難しいことを」


 宙に浮くグレイが、足元の()()をコツコツと叩くと青い筋道を描く魔法陣が浮き上がった。


 「では、ハイン様」

 「うむ、やるがよい」


 十字架の上に腰を据え、グレイの魔法陣を眺めるハインは、薄気味悪く笑っている。

 杖を振るい詠唱の声と合わさるように魔法陣は濃い青紫色と変わり大きな光をを放ちながら村の上空に浮かんでいる。


 (すまんな。盟約により人間に危害を加えてはならない、特例以外。この新しい力なら何とかなる。それにおまえなら上手いこと人間の思念、魂を残し、無に帰すことができるだろう)


 十字架の上で胡座をかき、黙って青い魔法陣を見るハインは薄ら笑いをするとグレイを眺めた。


 (こいつは俺のわがままに黙って付き合ってくれる)


 ふと、ハインはグレイのことを考えた。


 «───・・・人芯(コア・)消滅(ディザァペレンツ・)幽魂詔 (ゴーッアポカリッンス)»


 光が放たれグレイが杖を振り落とすと、魔法陣は青紫色と水色、白色の三色が眩く光を放ち、回転し出すと村全体を包み込む。

 光に包まれた村に住む、すべての生ある者達は、青紫の魔法陣の中に魂だけが吸いこまれていくと人の形は分解され、音もたてることなくサラッと崩れ消えた。


 「グレイ、よくやった」

 「ハイン様の御希望に添えるよう、致しましたが・・・」

 「ん。良き仕上がり。魂は保管しておけ、すぐ使うからな。して、その前に──だ」

 「はい、承知しております」


 村をこのような姿に変えたのは、他でもないエセ天使(パニシャ)である。パニシャは(オリバー)が保管する幽閉牢獄から逃げ出し自分が持つ力で三界が結ぶ和平を崩そうと躍起になり始めていた。

 事の原因はすべて魔界が発端であるように仕向けて・・・・・・


 「さぁ、何が生まれようが備えはある」

 「はい、ハイン様」

 

 地面の円陣から這い出るモノの姿は醜く、異臭を放ち立ち上がるとハインを見つめる。生まれ出でた姿は醜く大きい、トロールのようだが一つ違うところは腹にも口を持つ二口の姿をした巨大なトロールだった。


 「グレイ、おまえに任せても良いか」

 「わかりました」


 高みの見物を決め込むハインの横で、杖を振り回し今度は攻撃魔法を唱えるグレイがいる。攻撃を受け、藻掻き苦しむトロールだが口から異臭が吐かれその息は黒く、当てられた植物、石、など、形あるモノが溶け始めた。


 「これは何ということでしょう」


 驚くグレイは障壁で防いだ後、ハインの安否を確認するため教会に目をやった。


 「あー、グレイ。心配するな、大事ない。が、おまえはどうだ。ヤレそうか」


 防御も何もせず、ただ自身が放つ覇気(オーラ)のみでトロールの息を防ぐハインにグレイは圧巻され息を飲んだ。


 「さすがは我が王にて我が主。障壁もなしに息を防いでおられるとは・・・」

 「ふむ、グレイよ。確かに普通のトロールではないが、禁術を用い造る程のことか」

 「分かりません。ただ一つ言えるのは、村全体の魂も全部を吸収しておりませんから、未成熟の可能性もあります。本来なら禁術の呪文を体に纏うがソレもないですから」

 「そう。確かに未成熟」


 二人は、顔を見合わせ考える。


 「罠かもしれんな」

 「そうですね」

 「だが、村人どもは戻さんといかん」

 「では、まず。トロールを」

 「ふむ、その後で大地の浄化と人間の復活といこう」


 (パニシャめ。どこかで見ているのか)


 顎に手を置き考えるハインがグレイの動きに待ったをかけ、ポツリとつぶやく。


 「グレイ、ひとまずコイツ。寝かすか」

 「えっ、そうなのですか」

 「うむ、何か情報が残っているかもしれん」

 「では、捕らえます」


 (ハイン様。何かお考えあってのことでしょう。雑用は全て(わたくし)が引き受けます。何なりと御用命を)


 「固定(セキュア)


 杖をトロールに振り瞬時に動きを止め、固定されているのを確認すると捕縛魔法へと移る。


 «玩具(マリオネット・)縛糸籠(スレッドケージ)»


 鳥籠が出てくると、その中で玩具縛りされるトロールにハインが感心を示すと意表をついた質問をグレイに持ちかける。


 「ほう、グレイ。この縛り方、女にすると綺麗そうだな。今はトロールの醜い姿だから興ざめするが・・・俺にも出来るかな」

 「まぁ、裸体なら綺麗でしょうがってハイン様! 今はエロは忘れてください」

 「手厳しい」


 宙に浮く鳥籠の横に立つグレイは、心の中では笑っており、表情筋が弛んでいるのを隠すのに必死だった。


 「グレイ、どうかしたか」

 「いえ、大丈夫です。ハイン様、«福音(ギフト)»の御準備を」

 「? おかしなヤツ」


 (フフフ、ハイン様には困ったものです。教えると、手籠めの女性に使いそうなので教えませんが、本当に困ったお人です)


 辺りを窺い何かを探すハインがいる。


 「うん、やはりあそこが高いか」


 教会の十字架の上に立つと背の翼を広げ瞼を閉じ意識を集中さしている。


 (ああ、ハイン様の神々しい姿が。悪魔の角が少し生えているにも関わらず銀と白の中に金色の翼を広げるとは、なんとも相まみえるシュールさに見蕩れてしまいます)


 傍らで、ハインを見守るグレイが思いはせ瞳を潤わせ感動しており、傍らには鳥籠のトロールが妖しく瞳を光らせハインを眺めていた。



お疲れさまです。ここ最近いろいろと勉強させていただいてますが、まだまだです。

またよろしくお願いします。ありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ