生と死がこんなに身近にあるとは面白い
おはようございます。こんにちは。こんばんは。お陰様でハインは父です。ありがとございます。
魔王により子を宿したノアに、今日、生まれる予定ではなかったが魔王の手によって生まれることとなった赤子がいる。両肩には魔王の所有紋である魔刻紋を持ち、魔王と同じ色の瞳を輝かせ初声を上げた。
ノアの寝室で、濡れた服の着替えを手伝い、身体を渇かせ、ノアが寝つくまでハインは傍らで髪を撫で見守っている。
ノアの枕元には、白い肌、紫水晶の瞳を持つ純真な赤子がもがき、時には小さい声を上げ笑っている。
「ノア、お疲れ様。ふう、軽く出て来て助かった」
「ふふ、本当に。でもこの子は、早くすんなり出てくると思っておりました。あと、二人はゆっくりと出てくるわね」
ノアが腹をさすりほほ笑むと、ハインが口付けている。
「おやすみ。すぐ、爺が駆けつける。それまで横にいる」
「はい」
ゆっくりと、まぶたを閉じ寝つくノアを見つめ、安堵するハインはラスクに肩を叩かれる。
「おじさん、おめでとう。そしてこれ、オリバー爺ちゃんから」
ラスクは、預かっていた柘榴を差し出した。
「オオ、気が利くが怖い食べものを差し出すな。あいつ」
「怖いの。普通の柘榴では」
「ああ、これは【生命のザクロ】と言われる地獄に生える実さ。滋養が高いが、人間が口にすると迷宮に落とされるか、地獄に囚われる」
「ええ。僕、素手で受け止めて自分でラッピングして持って来たよ。大丈夫かな」
「さぁ? ラスクだから大丈夫と思われたのでは。おまえは魔力量が人間を遙かに上回っているからな。それに、おまえが口に入れなければいい話しだ」
「うわぁ、怖っ」
(間違って口にしてたら僕は─────)
考え青ざめるラスクがいるが、魔王はただ笑うだけだった。
《ザッシュッ》
柘榴をかじり飲み込むと舌を出し、口の回りを舐め取るハインが子どもが何かを欲しそうに強請っているのに気ずくが何もないのでラスクに尋ねる。
「しまった。子が何か強請っている。ノアも疲れて寝ているし・・・まだミルクが足りんかったか」
「ごめん。僕もなにもないや、スクリューはどこにいるの」
「ああ、あいつは暇が欲しいと魔王城で寛いでいる」
二人が思案にくれる中、グレイとシフォンがレインの所から戻って来た。
「ハイン様。良き御子が生まれ、おめでとうございます。男の子ですよね」
「ああ、そうだが女のようにかわいいんだ。これが・・・ノアに、似たのかな」
「いえ、お二人のでしょ。いいとこ取りです。おやっ、両肩に紋がくっきり。これはハイン様の」
「まぁな。ノアの言う通り持って生まれた。ノアが言うには、今いる腹の双子にはないらしい」
「ほう、分かるのですか。母親だからかそれとも魔王様の魔力を多少は受けたからですか」
「たぶん、両方。グレイ、ある報告をしたいと思うがその前にコレが獲物を欲しがっている。どうすれば良い」
「解決済みですよ。シフォン」
「はい、ミルクの粉を人界で購入して来ました。あと、果物とノア様の滋養に良いものもあります。魔王様の言う通り、今日からノア様の身の回り兼、花嫁修業をさせていただきまずッ」
「ずッ? どうした。シフォン、語尾が」
心配するハインがいる。
スカートの裾を持ち上げ、ハインに頭を垂れ挨拶しているシフォンが、そのままで小刻みに震えだした。
「う゛う゛、じた噛みまみた」
丁寧語を使い慣れてないシフォンの頑張りの結果だが、恥ずかしい結果となり顔が上がらず固まっていた。
(うう、恥ずかしい。こんなことなら普通に話すのだった)
横で心配するグレイに笑顔を向けるシフォンだが、激痛に話すことが出来ず口の端が歪んでいる。
「シフォン、痛いのですか」
「僕が治すよ」
ラスクは膝を床につけ、頭を垂れるシフォンを見つめると頬に優しく手を添えあごをゆっくり引き口の中をのぞく。
「ごめん。怪我の部位が部位だし、粘膜を覆い治癒するから、そのぉ恥ずかしいけど」
皆の前で口づけ、舌に治癒魔法を施すラスクに驚くシフォンが顔を赤らめ、人前でするラスクとの行為に驚き固まった。
(ふぇぇ。皆の前でぇ。ハインとしてる時はなにも思わなかったのに、恥ずかしい。ラスクとも人前は初めてってだけでなのにどうして)
何回か繰り返される舌の交わりに恥ずかしさも合わさるシフォンは、顔は赤くなり瞳は泣きそうに潤む。
「ん・・・ンンッ」
「うん、治った。結構深く噛んだね。痛くないかな」
「ハフゥ、うぅん。ありがとう」
「シフォン。この間は曖昧だったかも知れないけど、僕は本当にシフォンが好きだよ」
「えーと、えーと」
「皆の前で舌出すの恥ずかしいでしょってこっちの方が恥ずかしかった?」
首を横に振るシフォンを見て、喜び照れるラスクの様子を伺うハインは鼻で笑う。
「フッ、こそばゆい奴らよ。ほら、二人で子のミルクの用意をしてこい。至急だ」
手で追い払うしぐさをし、ラスクに二人になるよう目配せするハインに気づくラスクが笑い言葉を返す。
「これでいいんでしょ。おじさん」
「知るか、早うせい」
部屋を出て行く二人は手を握っている。
「まったくもって、人間とはこそばゆい者だな。少々、面倒くさい」
「そう言いながらも楽しそうですよ」
「ああ、人間は飽きん」
テーブルでポットに茶葉を入れ、飲み物を用意するグレイと会話をしているとアデルが横から降って来た。
「ウオオ、着地が」
部屋の壁に出来た魔法陣の穴から出てくると床に落ちるアデルにハインが笑いを堪える。
「爺が久々に慌ててる。落ち着け。ひ孫は逃げんぞ」
赤子の手を取り遊ぶハインに釘付けの赤子はカタコトだが言葉を放つ。
「アー、アー、チチ。チチ」
「やはり、早いな。まぁ、腹の中で話すぐらいだ。で、話しと言えば報告だが」
カップに紅茶を注ぎ、グレイがゆっくりとテーブルの端に動かし置くと、それに合わせ移動するハインに代わり、赤ん坊と遊びだすアデルがいた。
「フウ、子は嬉しいが疲れる。ほんの少し見ただけだが、コレがずっとか。母親はすごいなそして、コレはエセ天使に知られてはいかん」
「そうです。知れると昔と同じように迎えくるでしょう」
椅子に腰かけカップの紅茶を味わうハインにグレイが頷く。
「さて、爺も来たことだし、ノアにも«健康»を与えた。新しく得た力がどこまで働くか知らんが実験に村を一つ、焼くとしよう」
「ふふ、«福音»ですか」
「エセ天使のお陰で村一つ壊滅か────いけ好かん」
「今回は、私がお供を」
「ああ、来い。今回はラスクは置いていく。感動の後に悲嘆を迎えるのは可哀相だ。まぁ、本来は慣れてもらわんといかんのだが」
二人は、ひ孫と遊ぶアデルを見て溜息を漏らしアデルに声を掛け、部屋を去って行く。
「爺、留守を頼む。すぐ戻るが」
「ああ、行ってこい。無茶はするな」
頷く二人は、ハインの指が鳴らす音とともに消えた。行き先はグレイが報告をしようと調べていた、ある寂れた村だった。
お疲れ様です。一話完結モノが気がつくとある程度続く話へと読んでいただいている方のおかげですかね。ふむふむ。まだまだお付き合いを。もしよろしければブクマの登録お待ちしてます。
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