ベッドに潜り込む二人は楽しそうに手をとりあう
おはようございます。
夜が深まり静かな魔王城のはずがまだ騒ぎ立てるモノもいる。
ラスクもその内の一人であるが、別に騒ぎ立てる訳ではなく、足は静かにある部屋へと向かっていた。
「かわいいな」
(部屋の自由かぁ。こうやって考えるとほんと自由だ。これがきちんとした家だったら叱責どころか殴られているだろう。男が女の部屋に出入り自由なんて)
寝静まるシフォンの部屋に勝手に侵入し、寝顔を眺め髪に触れるラスクがいる。
(シフォンがここにきた当初はよく一緒に寝たなぁ。あの時は寝てる最中よくぐずってた。淋しさからだろうと思うけど)
「ふふ、ほんと。あの時とは」
気がつくとラスクは、シフォンの横に寝そべり柔らかい身体を抱きしめていた。
(あっ、しまった。勝手に────)
「やっぱり。かわいいなぁ」
瞳を閉じ、もの思いに更け浸りシフォンを抱いているとラスクの耳元に甘くささやく声がする。
「フフ? かわいいだけなの。いけない気を起こすほどかわいい。どっち?」
「はわっ、ごめん」
離れようとするラスクをシフォンは強く抱き離さないでいるとラスクが焦っている。
「ごめん、シフォン。起こしちゃったかな、でね。そのね」
「フフ、最近ラスク変。いきなりキスするかと思ったら、突き放すし、この間も寝てる最中に身体にイタズラしたでしょ」
「・・・かわいかったからつい」
「フフフ。犯罪だよぅって、ここでは関係ないけど」
「うん?」
「だって、魔界で悪魔たちの巣窟だよ? 過ちがある方が普通だよ」
「あれれ。言われてみればそうだ」
(ほんとだ、今まで考えてなかった)
考えるラスクに気づくシフォンがなぜ自分が部屋で静かにしていられるかの理由を話す。
「ハインとグレイのお陰だよ? あの二人が部屋に結界を張ってくれているから私は無事なの。もしなかったら、今頃は、私は私ではないよぅ。でも、あの村にいることを考えると」
「言わないで、昔のことはいいよ」
昔のことに腹立たせ苛立つラスクはシフォンを力強く抱く。怒りに震えるラスクを撫でそっと抱きしめ返すシフォンがいた。
(シフォンは村で孤児の上、迫害と凌辱を強いられ、僕は盗賊に親を殺され、二人ともある意味人間に裏切られた子どもだ。ハインのお陰でここに居る・・・)
二人は、あの気ままな魔王に拾われなければ、不運な過去を歩む日々を送っていただろうことを痛感している。
「あっ、やん。痛いラスク。くるしぃ」
「あっ、ごめん。だいじょう──っ」
口を動かすラスクの口に吸いつき言葉を止めるシフォンに驚くラスクがいた。
「シフォンからされるとは思いもしなかったよ。びっくり」
「フフ、でもハインほどではないよぅ」
「ごめん、ならないで。おじさんはそっち関係は百戦錬磨だと思うからね。怖いから見習わないで。僕がショック受けちゃう」
「ええそうなの。まぁ、スケベな魔王だけど、ラスクもスケベ」
「ん、否定しない。昔それで、ルーにブタになる呪いかけられてブタになったよ」
「ええ、見たかったな」
「やだよ。ピンクのブタなんてコリゴリだよ」
「わっ、可愛い。ますます見たい」
「やだよ」
「ええ、ケチ」
「ケチじゃない。僕なるなら虎か狼がいい」
「えー」
「強そうでしょう」
「まぁね」
いろいろと、たわいない会話を楽しむ二人は今までのこと、これからのことを笑い話している。互いに笑い合い楽しそうに話していると眠くなってきたのかまぶたをバシバシと動かせ、見つめほほ笑む。
「眠いの、ラスク」
「シフォンも眠いでしょう。ねぇ、たくさんキスして寝ていいかな」
「ええ、フフ。いいよ、また、どこかに行くの? ハインと」
「うん。でもシフォンもでしょ」
「うん、ノアのところに。でね、ラスク。さっき、ならないでのあとショック受けるって言ってたけどあれって」
「ええと。僕、シフォンが好きだよ。だけど、ごめん。おじさんが気になって」
「ええッ! 私、ハイン以下なのおぉ」
頬を膨らませ、哀しげな瞳をラスクに向けるとラスクの唇に軽く指を置く。唇に置かれた指をラスクが握り戸惑うとシフォンは瞳を閉じ額を重ねた。
「シフォン、かわい。でもごめん、なにが気になるか分からないけどおじさんを一人にしてはいけない気がして。でも、シフォンも気になって ん、言ってることおかしいかなぁ」
「もうっ、知らないってでも分かるよう。ハインもおかしいぃ。最近、悲しそう」
「あっ、シフォンも感じてる」
「うん。感じてるぅ。でも気丈に振る舞うんだよね。あの人、本質がスケベだから?」
「クス、スケベは関係ないよ。ハインはスケベだけど格好いいよ」
「あれれ、スケベはつくんだね。ふふ」
「あれ? ほんとだ。クスクス」
強く手を握り合い、吹き笑うと布団に潜り楽しそうに見つめ合う二人がいる。
「よくこうやって寝たよね」
「うん。気がつくと二人して布団蹴飛ばして大の字になってぇ、クスクス」
昔を振り返ると互いに何かを確認しあい聞き返す二人がいる。
「離れていても一緒だよ」
「離れているのに、一緒なの?」
二人は互いに甘え、眠りにつくが口から出す答えはうやむやにして眠りについた。
シフォンは、ハインが告げたように、ノアの屋敷へと移った。
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