新たな魔法を教えるが少年の心はモヤがかかり失敗している
おはようございます。こんにちは。こんばんは。
森の茂みが覗える窓りの部屋を持つラスクは外を睨み窓から弓を射る。
目をこらし、森を除き見ては野鳥を打つ腕は一流の狩人である。
「よしっ。打ち落としたおまえたちはきちんと活用させて頂くからね。ありがとう」
ひと言、野鳥に礼を言うと死骸を魔法で回収し足元に集め落とした。
「では」
床に座り、羽根をもぎ取り食する分と弓に使う材料とに鳥をさばき分けていると、目の端に素足を捉え慌てるラスクがいる。
「ワワワ。誰」
「よっ、ラスク。有頂天だな、あと素晴らしい腕前だ。さすが俺が見込んだ者だ」
ラスクの弓の腕前を褒めるハインがいる。
「ハイン・・・ なっ、何しに来たの。お、おじさん」
「オオ。今、俺を初めて名指ししたのに言い直すのは先ほどのことを拗ねているのかな」
「ちっ、違うよ。べっ、別にシフォンとおじさんがどうでアレ僕にはか、か関係は・・・なない」
「ほう、関係ないと言う割にはしっかり動揺しておるではないか」
頬を赤らめそっぽを向くラスクの頭をくしゃなでるとハインはほくそ笑み話す。
「おいっ、ラスク。また人界へ行くぞ」
「うん、分かった。それよりおじさん、雰囲気が変わったような」
「フッ」
ハインのまとう覇気の雰囲気に気がつくラスクが尋ねるとハインはニヒルに笑い、紫水晶の瞳は冷たく光ると隣で死していた一羽の鳥が動き始めた。
「ええ、生き返った。ゾンビ? それともホンモノ?」
悩むラスクの横でハインは鳥を持ち上げると刺さっている矢を抜いた。
「ピェエエェ」
「フフ、生き返ったのよ。ホンモノだ。ヨシヨシ痛いよな。すまん」
ハインは、鳥の傷を癒やし空に放り投げ飛ばし、ラスクは驚き見送ると声を荒らげる。
「ええ? 魔法の気配が感じられない。今のは、なに」
「フフン。新しく手に入れた力だ。後で説明するが、ラスク」
「なぁに」
鳥をさばく手を休め、ハインの言葉に耳を貸すラスクがいる。
「今回、人界へ行くと戻りも予想が出来ん。その前にシフォンはいいのか。俺が気にすることでもないが、ここにいる唯一の同種だぞ?」
「・・・・・・」
「まぁ、おまえが望めば悪魔にでも何にでも姿を変える異種交配はしてやるが、俺はまだ早いと思う。人間のままで良い」
「へぇ、おじさんでもそんなこと思うんだ」
「まぁ、おまえを冗談半分で拾いここまできたが最近いろいろ考えさせられる」
「フウン、父親になったから?」
「いや、違う。素直に言うとノアのせいだ。あの人間は調子が狂う。まさかここまでとは」
(本当にあの娘は・・・お陰でルーに対しても失態だらけだ。ここ最近自分でも魔王らしくない気がしてモヤモヤする)
ラスクがさばいた鳥を奪うと、瞬時に姿をターキーに変え豪快に頰張るハインがいる。
「ええ、おじさん。さすが魔王と褒めていいのかなぁ。先ほどから繰り出す魔法は、僕からしたら手品だよ」
「フフン、食うか? 美味いぞ」
「うん」
ターキーを受け取るとモシャモシャと口に運び、飲み込み腹を鳴らすラスクが照れる。
「へへ」
「何だ、食っとらんのか」
照れるラスクの前にハインは座ると、鳥を手にしターキーに姿を変えようとするがラスクが止める。
「それ、教えて。僕やる」
「おう、では持て」
鳥を渡すと、食べ物に変える呪文を教えるがなかなか上手くいかず、さばいた鳥はあと二本となった。
「ほう、珍しい。頭に雑念があるな」
「ぐう、いつもだと一発でのみ込むのに」
「まぁ、普段のおまえではない、ということだ。俺から言わすとシフォンのことは大打撃ということだ。目の前に関わった主犯もいるわけだし」
「主犯?」
「フフ、あれは頼まれてしたことだ。手が早い俺でも誰かさんの戦利品に手を出す野暮ではない」
腰を上げるとハインはラスクの髪をくしゃくしゃに撫でくり笑っている。
「なぁに、急いで考えることでもないが、明日からシフォンはノアの屋敷で暮らすから自由がきかんぞ」
「えっ」
「部屋の出入りも自由がきかんということだ。じゃぁな」
「わわっ。へ、ヘンなおじさん」
「そうか。では」
笑い、部屋から去るハインを見送るとターキーを手にし、モシャるラスクがいる。
「ウッ、不味っ」
ターキーを見て、顔を歪ませるラスクは何かを考え外を見た。外には、ハインが逃がした鳥が鳴きながら飛んでいる。
(僕の気持ちの確認に来たのか)
「おじさん、僕から言わすと魔王らしくないのは前からだよ」
ボソッとぼやくとターキーを見てまた頬張っている。
「だから、不味いんだよね」
(おじさん、そういえば最近柔らかい気がするが、何かの前触れかな)
何かに自問しハインの言葉を思い出し心がくすぐられるラスクがいると同時に不安に駆られるラスクもいた。
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