互いが持つ翼と翼の物々交換といこう
おはようございます。
チェスで遊ぶ古参の手は止まることなく盤上で争いが続く。
床に寝転がり、互いに笑い、顔をしかめ、仲睦まじく遊ぶ二人にハインは、痺れを切らすと机を蹴りあげ、床に組み伏せた机の上に乗り立つ。
「おいっ、もう良いだろう。待ちくたびれた」
シフォンが用意した菓子を食べ尽くし、二人の遊びを眺め待っていたハインが苛立ち急かしはじめた。
「俺は、もう待てん。」
(クソッ。なぜか知らんがモヤモヤする)
自分の私情で動くハインがいる。
いきなりオリバーの背中に手のひらを当てると自分の所有する魔刻紋を出した。
「ハイン、待て! それは」
「そうだよ。ハイン、それは敵意と見なされ防御壁が働くけどいいのかな」
「フッ。それが狙いだ」
発動される紋を防御するためにオリバーの金色の翼が背から広がる。
「そうコレさ。コレを待っていた」
紋が発動された手のひらでオリバーが持つ翼、十六枚の内の小さい翼を見つけ無理にもぎ取りハインは冷ややかに笑う。
「ナッ、何」
「チェスに夢中で油断したきさまが悪い。爺すまんな。楽しんでいるところを」
「フン。まぁ、仕方ないかなぁあ。遊んでいた私たちが悪い」
ニヒルな笑みを浮かべ、アデルの紫水晶の瞳は寒々と光る。
「アーちゃん、ひどい」
「ハッハ。目をつぶるか、さすが爺だ」
「だって、計画ある行動だよね。計画ナシなら目はつぶらん」
チェスの駒を指でクルクル回し、ハインのやることにニヤけるアデルの表情にオリバーが文句を言う。
「ひどい。アーちゃんはやっぱり悪魔だ」
「オーちゃん、それほめ言葉。ありがとうだよ。ハイン、早くなさい。順番がつかえてる。次、オーちゃん」
ニヒルな笑みを浮かべ、アデルの紫水晶の瞳は寒々と光る。
もぎ取られた翼は生えはじめるがそこにハインは自分が持つ小さい白い翼を刺し立てた。
「さぁ、譲渡契約による物々交換だ。おまえが持つ福音。俺が持つ訃報の欠片交換。翼を媒体とした物々交換といこう」
「!!!」
「強引に翼をもがれ交換略奪されたとあれば天使どもも文句は言うまい」
「グウゥ、考えたなハイン。狡猾な」
「それもほめ言葉だよ。オーちゃん。なっ爺」
「フフ。アーちゃん、ごめんね。だって」
「「悪魔なモノで」」
アデルとハインが声を重ねささやくとオリバーは呆れたかのように深く息をつく。
「とんでもない幼なじみにして親友を持ってしまった」
「フフ、あきらめよ。わが友よ」
「あきらめてるよ。生まれたときからね」
笑い合うアデルとオリバーを見てほほ笑むハインがいた。
「フッ。すまんな。では、この翼を媒体として福音の構築にかかろう。気にせず駒を進めてくれ。爺が待っているぞ。オーちゃん」
「言われんでも分かっている」
駒を進めるよう急かすハインに、苦笑いをして駒を進めるとアデルが鼻高々に言い放つ。
「チェックメイト」
「ええ、うそ。どうして」
「読みが甘いよぅ、オーちゃん。だからすきを突かれるんだよ」
また、クルクルとキングの駒を回すアデルに
オリバーは悪態をつき、叫いている横でハインは円陣を引き、奪った翼を身体にとりこみ、福音を構築していた。
魔王城の一角の部屋で、円陣を引き、神から奪った力を自身に取り込み新しい力を得ようとする魔王がいる。
傍らで、チェスを嗜んでいたアデルとオリバーが瞳を見開き魔法陣の凄さに鳥肌を立て唾を飲み怯んでいた。
「アデル、おまえの孫のおどろおどろしいことよ。私は奪われないよう、踏ん張る必要があったかも」
「後の祭りよ」
円陣が放つ光──構造色はとても言い様がなく、ハインを取り込んだまま半日が過ぎた。
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