色恋会議が始まったが古参の二人は気にしない
おはようございます。こんばんは。こんにちは。
ベッドで寝転がるハインは寝ぼけながら、重いまぶたをこすり外を眺め驚ている。
陽はなく、見えていた山あいは消え、夜の帳が下りる。
「ん・・・」
(おお、いかん。完全に寝過ぎたか。下でおっさんを待たしてるし、グレイとラスクにまだ会っていない)
急いで飛び起きたハインはノアの気持ち良さげな寝顔を見るとほほ笑み、鼻先にキスだけをして部屋を出た。
アデル達一同が待つ部屋の扉を激しく開け、ハインが入っていくとまずグレイに怒られる
「ハイン様、扉は仰仰しく開くものではありません。ラスクに示しがつきませんし、その様に育てた覚えも」
「あ? 今さら言うな。今、おまえはラスクの教育係であって俺のではない。それに俺の教育も少年の頃の話し、なぜ今、言う」
二人の様子に、アデルは紅茶のカップを片手に笑っている。
「フフ、まぁ。今回は多めに見てやれんか? グレイ」
「そうですね、今回は扉をぶち抜いていないので多めに見ましょう」
「扉ぐらいでガタガタ抜かすな。別に壊れた所で支障はない」
「ラスクが粗暴振りを真似るのは私がイヤなのです」
いがみ合うハインとグレイをクスクスと笑うラスクがおり、その頭を楽しそうにくしゃなでるハインがいる。
「ラスク、付き添いご苦労だった。これからも頼むぞ」
「うん。おじさん、ノアは? あと胎児の成長が速いってアデルお爺ちゃんが言ってた」
「まぁ。速い? 早い? すくすく育ってはいると思うが」
「ノアの魔気は治った? ぼくノアの横で寝たい。眠りたい」
(ノア。温かい、気持ちいい。ノアの横で眠りたいんだよ。ふぁあああ)
眠そうな表情をさせ、ルーは小声でハインに願い立てている。
「ああ。魔気はある程は吸った。あとは子が放つ魔気があるだけだ。安心して寝てくるがいい」
「ン。では、おやすみ。アデルじいちゃん、神様。またね」
「「ああ、おやすみ」」
ルーはまぶたを擦り、手を振るとハインの指の音とともに消えた。
「爺とおっさんはほんと、仲がいいんだな」
「まぁ、それなりに寝食をともにしたし」
「天使と悪魔だからといってなぁ?」
アデルとオリバーが顔を見合わせ互いに不思議そうにしているとラスクが笑う。
「いいな。うらやましい。僕もそういう友達出来るかな?」
「大丈夫、出来るさ。少年」
即答するオリバーにラスクは答えるように笑顔を返した。
「さて、話しを始めたい。がその前に、グレイ、ラスク。今回もご苦労。また、頼む」
ハインが二人に労いの言葉を言ったあと席に着いた。
「仰せのままに。ハイン様」
「ン。そしてグレイ、留守中の異変は」
「異変はありませんが、ただ」
「ただ──── ?」
ラスクは皆に茶を振る舞い、ハインがグレイに尋ねていると、部屋の扉を叩き、顔をひょっこりと出すシフォンがいる。
「ラスク、見ぃつけた。あっ、ハイン様、お久しぶりです」
「おお、久々。最近何をしている」
「最近? ん──。まっ、お菓子焼いたから持ってきたんだけど・・・・ハイン様、ちょっといいかなぁ」
ハインに、耳打ちするシフォンがいる。
腕に持つバスケットには、焼きたての菓子が盛り盛り入っており、それらをハインに渡し、
ハインの膝にシフォンは腰かけると口づけを始めた。
とんでもないシフォンの行動に、ハイン以外の者たちはくぎ付けとなり驚いている。
堂々たる態度でシフォンのキスを受け入れるハインは、抱きなおすと受け返し、ラスクの様子を見ている。
「・・・僕、槍が冷気に当てられたから、手入れしてくる」
ひと言、静かに漏らし静かに部屋を出て行くラスクだが・・・
部屋の扉が閉まると一旦、ラスクは外側で顔を赤らめ躊躇していた。
(なっ、なっ何あれ。どういうこと? シフォン。おじさんが好きなの?)
扉の外でぶつかる音がすると静まり返り、不思議に思うグレイがのぞくと倒れているラスクがいる。
「ハイン様。ラスクが倒れてます」
「うん、部屋へ運んでやれ。グレイ」
「では」
ハインの指示通り、グレイはラスクを運ぶために部屋を去った。
閉まる扉を見て溜息をつくハインは、膝の上のシフォンをうかがうと顔をうっとりとさせ胸にもたれている。
「コラッ、シフォン、言われるままに従ったが、たぶん勘違いしてるぞ」
「ンンッ・・・・・・」
ハインのキスはシフォンには刺激が強かったらしく、髪を撫でるだけでピクッと反応をするのでハインは指で楽しんだ後、頬を撫でる。
「おいっ、シフォン」
声をかけてもぽぅとしているシフォンに頬をぎゅっと抓み驚かすと口が尖り慌てて素に戻っている。
「うん、ヴンン。うっ。いちゃい」
「ハハハ。まったく、素直にラスクにすればよかったのに」
「だって、最近のラスク。様子がヘンなんだものぅ。目が合うと逃げるし、かといってキスしてくると思ったら突き放すしぃ」
話しを聞いてしまったと思うハインがいる。
(完全に二人の色恋沙汰に巻き込まれたな。まぁ、シフォンといいラスクといい愛情には飢えている子たちだが・・・)
凄惨な姿をした、昔のシフォンを知るハインはシフォンの村を訪れた時の様子を思い出す。
(あの頃に比べれば身体も少女らしくかわいくなった。あの時のガリで汚れの印象はどこにもない。かわいくなったシフォンにラスクは躊躇っているのであろうが)
「恋の駆け引きなら、あそこに古参がいるぞ。シフォン」
指をアデルとオリバーに差し向け、シフォンの気を逸らそうとするハインに気が付いた二人は、シフォンを見るもののまた視線をハインに戻しきょとんとしている。
「ハイン、こんなおじいちゃんの色恋が参考になるとでも?」
「そうそう、もう色恋云々から離れてはや幾年、もう枯れとるわ」
「「ネェ───────」」
意気投合する二人を見て腹を立てるハインがいる。
「シフォン、ちょっと待ってくれ」
今の状況のシフォンを心配するハインの横で基盤に駒を並べ、楽しそうに遊びはじめる大魔王と神に・・・・・
《バキッ。ゴン、ゴン、バキッ》
ハインは気が済むとシフォンの元に戻った。
「コホン、困った。俺も参考にならんし、駆け引きなど─────」
心配しながら茶化すハインに、答える前に頬をぷくっと膨らまし怒るシフォンがいた。
気づけばシフォンの相談役となり、この話しはいつまで続くのか不安になるハインがいた。
お疲れ様です。ありがとうございます。




