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無責任な魔王は常に◯◯する。  作者: 珀武真由
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さぁ、円陣を組み儀式をはじめよう

おはようございます。こんにちは。こんばわ。


 ポツリとぼやき、本を読み思案にくれるとハインは外を眺めてる。

 ハインの手には、飲みかけていた白のスパークワインがあり、グラスを通して見える山あいの景色と夕陽を楽しんでいた。


 「綺麗だ。オレンジと言うより金に近い」

 「そうだな。金色だ」


 グラスから湧く気泡を見つめるハインの手からワイングラスを奪った者はワインを飲み干すと話し笑う。


 「うん、うまい。特に戦い(バトル)の後は格別に・・・・・・」

 「(じい)帰ってきたか」

 「ああ、ハイン。体は」

 「大事ない。あいつらに癒やされたから大丈夫だ。爺は」

 「私か? オーちゃんが治癒を掛けてくれたからね。大丈夫だよ」

 「そうか」

 

 ほほ笑み合う二人が息をつくと言葉を同時に漏らした。


 「「大魔王の」」

 「あー、コホン」


 二人同時に言葉を止めると、アデルが咳払いをする。


 「すまんが、大魔王は私のままで良いな」

 「・・・ああ」

 「まぁ、確かに()を手にすると同時に与えれる能力もある。それぞれ、神だと«福音(ギフト)»魔王だと«闇の訃報(デス・オンテッィス)»だが」


 黙りを決め込み、下を向くハインの頬をつまみ上げアデルは顔をのぞく。


 「珍しく欲張るがどうしたのだ。我が孫よ。おまえならオーちゃんではないがゆっくり時間を掛ければ両方とも手にすることが出来る」

 「ゆっくりはダメだ。今すぐ必要だ」


 子供のようにごねるハインは、アデルに文句を言うと寝ている二人を見つめる。


 「・・・・・気持ち良さげだ」

 「ふふ、ほんと。気持ちよく寝ているなぁ。かわいい、()たち」


 寝ている二人の頬にキスをするアデルの表情はにこやかに緩み、それを見たハインもまた、顔を緩ませるなりワインを飲んだ。


 「フフ、俺の嫁と恋人だぞ。当たり前だ」

 「そうだな。良き孫が増えて爺は幸せ」

 「フン、タヌキがほざく」

 「嫌っ。本心! だが、一番はハインがここ最近落ち着いていることだ」


 笑い話すアデルに照れるハインがいる。


 「もう、そんな照れることを言った所で子どもではないから・・・な」

 「いや、いや。本心だぞ。昔のおまえは何でも壊しては無表情だった」

 「・・・・・・」

 「ルーちゃんと私の前だけは素直で優しく」

 「(じい)また・・・壊し暴れまわるがいいか」


 グラスに注いだワインの気泡を見て話すハインにアデルは静かに答える。


 「ああ、後始末は出来る限りやろう」

 「すまん。だが、その為にも福音(ギフト)がほしい。オリバー()はどこだ」

 「まだ、諦めとらんのか。あれは───」

 「分かってはいる。だが、いるんだ」

 「むう」

 「先ほど、爺は()()()と言ったがその始末に必要となる」


 いがみ合う二人の間に、オリバーが部屋に降り立った。

 二人のやり取りに気づき宥めようとやんわりと口を挟みだした。


 「いやぁ、ケンカか。ケンカはダメ。それよりこの部屋の結界は凄いね。来るのに難儀するとは思わなかった」

 「さすがだな。俺の結界を筒抜けてくるとはさすが神だけはある」


 オリバーに感心するハインは、ワインを瓶ごと咥え飲み干している。


 「ふむ。ハイン、話しは聞いていた。福音(ギフト)は諦めらてないのか」

 「ああ、そもそも俺は貰うに価する功績を収めているはずだ。違うか? 神よ」


 覚えのあるオリバーは指で顎をかくと、顔をしかめた。


 「まぁ、確かに、魔王(ハイン)のお陰で我々の天界は安寧の地を約束されたが」

 「ああ、そうだ。恩着せがましく言うつもりはなかったが、昔、天使の不祥事を片付けたのは俺だよな」

 「そうだ。ハインのお陰だが魔王に福音(ギフト)をやると天使共に示しが」

 「どの口が言う。爺も知り、ごく内輪界隈の者は俺のことを知っている」

 「・・・・・・」

 「さぁ、どうする。神よ」

 「脅されている」

 「ああ、脅す? 上等な物言いだな。いいのか。あの時の元凶を地獄から出しても」


 かなり強めに脅すハインに、オリバーはもちろんだが、アデルもたじたじである。


 「フン、地獄の管理は貴様だけではない。俺にも権限があるし、爺にもある。ただ天界は神一人にしか権限がないだけのこと」

 「ううっ」

 「いいか、俺がその気になればまた地獄絵図が出来上がるがどうする」

 「なんて脅しだ、幾らアーちゃんの孫でも」

 「ハイン、やめろ! それ以上の発言は()せん。いいのか、今度は二人が、相手をするが」

 「ハハ、タヌキが。いいとも」


 ゆっくりハインが椅子から立ち上がるとオリバーとアデルが少し後ろに下がり様子を見る。

 手の平を広げハインは二人に翳すと口の端を上げ笑った。

 

 「なんてな。すまん、冗談だ。実は福音(ギフト)に関して提案があるが、先にこっちだ」


 ハインはまた椅子に座ると、ベッドで寝ているノアとルーを指さした。


 「(じい)、儀式をはじめよう。【子移し】の儀式だ」

 「ああ、だが」

 「ルーの腹の子ならもう()が出来てるぞ」


 椅子の背を股に挟み座り直したハインは、新しいワインを手に持ち瓶を開けるとラッパ飲みをしている。


 「子移しだと? そこな天使は確か」

 「ルーだ。幼なじみにして今は恋人のルーだが、俺の子を身篭もっている」


 説明するハインを、おおまかに黙って見聞きするオリバーはアデルを見た。

 頷くアデルが、オリバーの肩を(たた)き話しを続けノアとルーを見せる。


 「珍しくはないが、訳有りで【子移し】をする。オーちゃんも聞いたことあるだろう」

 「まぁ、それはあるが。堕天回避か」

 「ン・・・ルーの意見でもあるが、俺は堕天するルーは見たくない」


 二人が寝ているベッドの周りに赤い円陣が引かれ、ハインが椅子から立ち上がる。


 両手の平には、魔刻紋が浮き出ており魔気を纏うハインがゆっくりとベッドに近づいてくと腕には呪印が焼き浮かぶ。


 「では、儀式を。【子移し】を」


 ベッドの上では、静かに寝息を立てあどけない顔で寝る二人、ルーとノアがいた。



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