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無責任な魔王は常に◯◯する。  作者: 珀武真由
30/62

両者ともに○○を譲るつもりは一歩もない!②

おはようございます。こんにちは。こんばんは。

 

 先ほどの吹雪は止んでおり、すべての物を凍らし見る者に美しい光景を与えていた。

 白く凍てつく木々、真っ白に広がる地平に見た者すべてが感動を覚えている。この会合に参加した者が驚き声を荒げた。


  「フン、今は「白」だが、そのうちに黒くなる。このままにしておきたいが」

 「そうだな。取り残せるならそう願いたい」


 似た感想を述べるハインとアデルは、互いに合図しあうと海の方へと飛び出した。


 なにが起こり始めるか察したオリバーは、急いで会合に訪れた人たちを、自分の(扉)で送り出している。


 (まったく、急すぎるよ。二人は)


 「神よ。今日は、ありがとうございます」

 「何。まとまる話がまとまっただけのこと。お気をつけて、人間の代表者よ」


 すべての者を送り出すと、オリバーは高みの見物と決めこむ。


 「さてさて、見ものだぞ。どちらが勝つと思うかね。我が従者よ」

 「私には、考えつきません。神様はどう読むのですか」

 「どう、読むかねぇ」


 どっしりと石の上に構えるオリバーは、口の端をものすごく上げほほ笑む。

 その顔は、悪だくみなことを考える子供のようである。


 海の上を走るハインの足元は軽やかに波立つが、アデルの足元の波は重く沈み割れている。


 (やはり狸だ。自分の力量を押し隠してそれか。一発で決めたいが・・・)


 「ハイン、小さい頃を覚えているか? まだおまえが未熟なときのことを」

 「ああ、覚えているさ。いろいろ教わった」

 「フフ、先のひと言のせいで私の気は変わったよ。おまえに『大魔王』はまだ早い」


 静かな口調で放たれた言葉だが、ハインには重くのしかかり、体の自由が奪われすくみあがる。アデルと疑似対戦をしている時に起きたことのない自分に先ほどことを思い出した。


 「クッ、言霊か。あの時の「拒否権」の発言に体の自由をすでに奪われていたか」


 耳元で、ささやかれたアデルの言葉を思い出し、目を見すえるハインの姿にアデルはほくそ笑むと姿を変える。

 かつて『魔王』として君臨していた時の姿、頭に小さい角が二つ、うねるように頭の輪郭にそって生え、大きな角二本は額に向かい重々しく生えている。

 背には、綺麗な漆黒の翼が十六枚携わる。


 「ハイン、未熟児よ。仕掛ける狡猾さも無ければ、誘い込むという手管も無いおまえの甘さには目に余る。()()()かね、クックッ」


 本来の姿を見せ、笑うアデルに応えるかのように海は割れた。


 「おおと、翼は別に『位』を示すものでなくてもよかったな。孫の前だからとこっちの翼でなくていい」


 大きく声たかだかに笑うと、アデルの翼は変貌をとげる。

 鳥のような翼は、コウモリのような大きな羽となり、骨組みは太く【皮膜】の部分に眼状紋が施されている。この眼状紋は生きているかのように赤くハインを睨む。


 「今日は嫌というほど本性を見せてくれるな狸じじいが・・・」

 「フフ、なに甘ちゃんな孫にひと泡吹かせるためにな」

 「言霊で俺を縛らないと勝てんのか。(じい)

 「それだけ(おまえ)を高く買っておる」

 「そうか。買われてやろう。爺」


 手を軽く合わせ、ハインが何やら唱えると大きく手を打ち鳴らす、その後ろに波が高くせり上がるとアデルを飲み込んだ。

 間髪入れずに、波に飲まれたアデルが這い上がる。


 「ペペッ、ほほう。やるな」


 海上に立つと、塩水を吐き出すアデルは身構えハインに微笑んでいる。


 「海を割られた時は驚いたが何、閉じれば良いことよ。そして」


 ハインも背中に翼を出すが、片方は鳥のような銀の翼でもう片方はコウモリの大羽だった。

 コウモリのような羽には、アデルと同じ眼状紋がある。


 「母殿と爺の翼だ。俺も魔王本来の姿を曝け出すのは久々よ」

 「ほう、白い三本は出さんのか?」

 「あんな翼・・・誰が曝け出すか」


 腕を振り下ろすハインの手には、大きな炎の塊が作られ、轟音とともにアデルに放たれる。


 「むう、これは」


 驚くアデルを飲み込むとさらに雷球と風球が放たれた。こちらは先ほどのモノとは違い音速を超えたがため静かである。

 威力も絶大で、アデルは後ろへと押されハインとの間合いは確実に離された。

 «壁»を張るも役に立たず、攻撃を防ぐために前に出されたアデルの腕は火傷を負う。

 服もほぼ焼かれ肌が露出するが・・・・


 不適にほほ笑み、間合いを詰めるハインと目が合うと、アデルは指を鳴らし服を整えた。

 服を整え、息を正すアデルの様子にハインが気付くと勢いよく近づいていたが静止する。

 

 「だが、爺の服が焼けただけだろう?」

 「いや、腕に()()ができたぞ。少し腕をあげたな。ハイン」


 残念そうにポツリと言い捨てたのだが、あまり褒められことのないハインはニヤけ頬をゆるませた。


 「油断は禁物」


 褒められ笑みを浮かべるハインの頭を叩き、直ぐさま蹴りを入れるアデルがいた。

 腕を出し蹴りを防ぐハインだが、かなり後ろの方へと飛ばされその上、蹴られた腕は腫れ上がる。


 「なんて蹴りっとと」

 「フン」


 ハインの腹目掛け拳が放たれるとアデルは蹴りと拳の連打を繰りだした。そして、右手に炎球、左手に雷球を纏うと呪文を唱える。


 «超対称性炎雷粒子(グラビティーノボール)»


 「ガァッ」


 胸に直撃されるハインだが、叫ぶとアデルの両手をつかみ、口の端を上げ笑うと大きく息を吸う。

 放たれた魔法はハインの胸で止まり、渦を上げ膨れ上がっていくと今度は、二人を飲み込む寸前で止まり球体が出来上がりうねっている。


 「残念」


 食いしばる口元から血が垂れるが、ハインはアデルを鋭く睨むと高々と声を上げ唱えた。


 «炎雷招来混沌(ワットケイオス)黒点渦空儀(ブラックプロシブ)»



 見事、放たれた魔球はアデルを球体で包むとその身を焼き焦がし海へと落としていく。

 ゆっくりと、球体の中に溶け込み焼かれ、海へと落ちていくアデルを拾うためハインも急ぎ海へと落ちていった。

 アデルを拾い上げ、抱きしめると包んでいる炎雷を浄化し、ハインはさらに強くアデルを抱きしめた。


 「フン、これだけやれば後は自分で治せるだろう。爺」

 「フフフン、小癪な孫よ」


 海に降り立つと今度はハインの足元の海が割れていく。


 地面に降り立つとハインは、笑い小声でぼやく。

 

 「なにが嬉しくて爺をお姫様抱っこしてるのか、俺は・・・」

 「まぁまぁ、本当に腕を上げたと言うかお前の本質は本当に困る」


 笑い合うハインとアデルに拍手を送るオリバーがいた。



お疲れさま。さてさて、今も今も自分の悩みの種は尽きぬ。それは皆様も一緒でしょう。何とか乗り切るために一つ願いがあります。面白ければブクマの登録お待ちしております。日頃アホゥな自分に励みの一つを!!!ありがとうございます。

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